016話 『敗北の海斗』
今回来豪以外の敵が現れます。
そして放課後…。
一同は部活が終わった後、言われた通り保健室にクリス以外は集まっていた。
「ご苦労さま。クリスさんはまだみたいね? それで一応聞いとくけど力は抑えることはできたかしら?」
「はいです!」
すると瑪瑙以外は返事をしなかった。
「…あれ? 瑪瑙ちゃん、三年生なのに何かに入ったの…?」
「今年だけですが女子の剣道部の大会の助っ人を頼まれたです!」
「そうなんだ。それはもうかなりの人気だったぞ?」
秦が背の低い瑪瑙が道着を着て一生懸命剣道をする光景を思い出したのか「うんうん」と頷いていた。
「そうでしょうね! 隣の体育館にまで生徒の声が響いてきましたから…」
「俺は体育館のほうがうるさかったと思うぞ…?」
「そういえば翔! 確かあなたって何の部活に入っているんだっけ?」
「あ? 俺はサッカー部だぞ? それが聞いてくれよぉ~…今日一個ボールをダメにしちまったんだ! パンクが原因だろうとは言われたがかなり力入れて蹴っちまったからなぁ…」
「俺は軽くやったつもりが危うく部員に怪我をさせてしまうところだった…」
翔に続いて秦もそう答えた。
「私は…少しだけボールが見えないスマッシュでしたね…」
「私もそんな感じです…」
真紅と鈴架も概ね同意見だった。
「それぞれ苦労していたみたいね…それじゃクリスさんが来たら始めますね?」
そしてちょっとしてクリスがやってきた。
「すみません、遅れましたわ!」
「あ、クリス! 平気よまだそんなに時間は経っていないから…」
「あなたがクリスさんですか?」
「そうですわ。もしかしてあなたが噂の瑪瑙さんですか?」
「はい、そうです!」
「可愛らしい方ですね…これからよろしくお願いいたしますね!」
「はいです!」
クリスと瑪瑙が穏やかに挨拶をしていた。
「それじゃ全員集まったところで今日話した“力量制御の法”の仕方を始めますね?」
『はい!』
全員は返事を返す。
「平気だと思うけど一応瑪瑙ちゃんも習っておいた方がいいわ」
「はいです…もし本気を出してしまったら竹刀でも人なら軽く真っ二つにしちゃうかもしれませんから…」
「うわぁ、こえぇ…昨日かなり手加減してもらっておいて助かったぜ…」
「確かにな…」
「何をいうですか! 秦様だってそのくらいやればできるですよ? きっと!」
「そ、そうだな。悪かったな瑪瑙…」
「いえ、わかっていただければそれでいいのです!」
秦は瑪瑙に少し弱いらしいようである。
「ごほんっ!…では始めますね!まずは気を集中させてください…そして力を押さえ込むイメージをして、そしてこう唱えるのです…『封咒』と…!」
『封咒…!』
すると全員はなにか体の中で力が封じられるような感覚をしたらしく表情を驚かせていた。
「はい、これでみなさんは力を制御できたはずですよ! 簡単でしょう?」
「ほ…本当ですか…?」
鈴架が本当に封じられたのか疑問顔になる。
「えぇ、なら試してみますか? 舞虎さんは武器が拳でしたから力が制御できてなければ壁ぐらいなら軽く壊せると思うわ」
「えっ…、でももし壊しちゃったら…?」
「大丈夫よ。その時は直しますから」
「そうですか…それじゃ!せいっ!」
壁に向かって鈴架は拳を当てた。
しかし、
「………」
『………』
鈴架は壁を思いきり殴った後しばらく無言であった…。
そして時が動き出したのか、
「い…いったぁ~い!!」
「すげぇ…マジで力がもとに戻ってるぜ!」
「はいです! 私は手刀で傷が出来なくなっちゃいましたです!」
「…それより大丈夫? 鈴架?」
「手がヒリヒリするよぉ~…」
赤く腫れた拳を鈴架は涙目でさすっていた。
「わ、悪かったわ鈴架さん。それと力を解放する時は縛った力を解き放つイメージを浮かべて『解咒』と唱えるのよ。みんな覚えといてくださいね?」
「……解咒……!」
『え…!?』
すると鈴架が突然力を戻す呪文を唱えた。
「こんな…こんな壁なんかぁーーーっ!!」
「わぁ~! 鈴架さんおやめください!!」
「サ、サイレント!」
ガリウスが呪文を唱えた瞬間、鈴架の壁を壊す音は全て消え去っていたが結局壁は壊れてしまった…。
そしてガリウスはすぐに外に顔を出し誰もいないことを確認するとすぐに、
「リペア!」
すると壊れた場所は逆再生のようにもとへと戻った。
「ふぅ~…今のはさすがに私も焦りました…」
「鈴架、落ち着いて! 拳が痛いのはわかるけど!」
「そうだぜ! こんなんが他の奴らにばれたらシャレになんねぇぞ!?」
「…はぁ…はぁ…はぁ…ごめんなさい。つい頭に血がのぼっちゃって…」
「(鈴架には冗談は聞きそうにありませんから今度から煽らないように気を付けたほうがいいですね?)」
「(…そ、そうですね)」
秦がガリウスに小声でそう話していた。
そして術も教わりガリウスと別れ学校を出て6人は帰り道を歩いていた。
「しかしこれで普段の生活は大丈夫になったな!」
翔がそう声を出す。
「そうだな。しかし一つ疑問が残るのだがガリウスさんはどうして過去の俺達の事をよく知っているのだろうか…?」
「あ、私も前から気になっていました」
「そうですわね…前にも話したと思いますがまだそれほど歳はとっていないように見えますし…」
秦、鈴架、クリスが疑問をのべる。
「見た目はまだ20代だもんな…」
「瑪瑙はなにか知らないか?」
「そうね…ガリウスさん、私達が瑪瑙ちゃんと初めてあった時も知っているような口振りをしていたから…」
「わかりませんです…。それに昔は今と違いまして意志や感情といった行動は自由に表に出すことがでせませんでしたからガリウスさんの事を覚えてないのかもしれませんし…」
瑪瑙が申し訳ありませんと言っている時だった。
「おい!」
『!?』
その時何者かの声が…!
◆◇―――――――――◇◆
…一方、先に帰っていた海斗は、柳神社で住職さんと話をしていた。
「いつもすまないねぇ…」
「いえ…それでは!」
そして海斗は神社を後にした。
「ずいぶんと日が暮れてしまいましたね…真紅さん達はもう家に帰っているでしょうか?」
「……!」
「殺気!? 何者だ!」
海斗が殺気を感じ叫んで上を見る。
すると電柱の上に仮面をつけた女性が立っていた。
「私は闇の王、配下の“仮面の女”…美薙海斗…お覚悟を! 凪!!」
仮面の女と名乗る女性はその手に海斗と同じく針を出現させて海斗に放ってきた。
「っう!? 解咒!! はっ!」
海斗は仮面の女から放たれた針をジャンプをして交わしすかさずこちらも針で応戦し追ってくる針をすべて弾いた。
「ちっ…!」
「なぜ貴様が美薙流の術を!? そしてなぜ僕の名を知っている!?」
「…わからないか?」
「なに!!」
「ならこれを見れば少しはわかるはず…」
すると仮面の女は手に持っている玉を海斗に見せた。すると海斗の顔が急変した。
「…な、なぜ貴様がその“針水晶”を持っている…?まさか…おまえは…!?」
「ふふふっ…」
「おまえはぁぁぁぁ!!」
海斗は両手に水の針を持って仮面の女へとかかっていった。
「うおぉーーーっ!!」
「ふっ…」
◆◇―――――――――◇◆
そして真紅達は、突然の声に驚きながらも振り向く。
そこには自らを影使いと呼称する来豪ともう一人謎の少年が立っていた。
「よぅてめぇら! また会ったな! あらためて自己紹介だ! 俺様は闇の王、配下の“影使い”! 大影来豪だ!!」
「来豪!?」
「…あの方が翔さんを襲った来豪という御方ですか?」
「あぁ! しかしもう一人は見たことがない…!」
「我は闇の王、配下…“魔刃”………『諸刃滅』だ」
諸刃滅という黒髪黒目の瑪瑙と同じくらいの身長の少年はいきなり刀を抜刀した。
「あ…あの刀は!?」
滅が抜いた刀に瑪瑙はなにかに気づいたのか反応する。
「瑪瑙ちゃん何か知っているの!?」
「あの刀は『断絶刀』という刀です! かつて昔にご主人様達を苦しめた“十字暗殺部隊”の武器の一つなのです! でも…なぜあれがここに…?」
「…よく知っているな…おまえ……何者だ?」
「私は瑪瑙…そして皆さんは…むぐっ!?」
瑪瑙が話そうとするが秦に口を塞がれて全部言うことはなかった。
「(待て瑪瑙! 不用意にこちらの正体を教えるのは得策ではない!)」
「(は、はいです!)」
それでなんとか踏みとどまった。
「おい、話をしているところ悪いがおめぇらのもう一人の仲間がピンチになってるぜ?…いいのか?」
「海斗くんが!?」
「おい、来豪……」
滅が余計なことを喋るな…と言う感じで来豪に睨みを効かせる。
「いいじゃねえか! どうせアネさんには勝てるわけねぇんだからよ?」
「確かに…では殺し合いを始めようか…!」
そして来豪は影を呼び自身も斧を携えてかかってきた。
『解咒!』
一同は一斉に解咒をして力を開放する。
「瑪瑙!」
「はいです!」
瑪瑙はすぐに刀へと変化し、秦に握られる。
「こい! 双極幻滅星!」
「でてきてください、閃光鉄扇!」
「「「はぁっ!」」」
秦、翔、クリスの三人は武器を構えて前線の影達を蹴散らした。
「二人は海斗くんのところへいってやれ!」
「で、でも…」
「いってください! ここはわたくし達が食い止めますから!」
「そうだぜ! 早くしねぇと海斗のやつがやられちまうぞ!?」
「………うん、わかったわ! 飛んでいくわよ! 鈴架!」
「うん! お姉ちゃん!」
そして二人はジャンプをして海斗の帰り道へと飛んでいった。
「させるかよ!」
すると来豪が真紅達にむけて影を飛ばした。
「やらせるかよ! おらぁっ!!」
「ギャアッ!」
翔が空に飛んで影達を切り裂いた。
「ちっ!」
来豪はそれで舌打ちをする。
そして秦は滅に、翔とクリスは来豪と影達にかかっていった。
「むんっ!」
「はっ!」
秦と滅が刀同士を打ち合い鍔迫り合いになる。
「なかなかやる…! だが、まだまだ力不足だ…!」
「なんだと!?」
秦は必死に戦っているが滅からすればまだまだ弱いと判断されたらしくその表情に笑みを浮かべている。
そしてクリスと翔の方では、
「いかせませんわ! やあっ!」
クリスが扇を振り光の光弾を飛ばす。
「っ!」
「おりゃあっ!」
「ぐおぉっ!? 二人がかりは少しばかりつれえなぁ…」
◆◇―――――――――◇◆
そして海斗の元へと向かっていった真紅と鈴架は、
「お姉ちゃん、間に合うかな…?」
「海斗くんならきっと大丈夫よ! きっと…」
するとある道に人影が見えた。
「あ! お姉ちゃん、あれ!」
「か…海斗くん!?」
そこには仮面の女の手によって倒されてしまった血塗れの海斗の姿があった。
「…少し遅かったみたいね……二人とも聞こえる?」
そして少し念会話をして仮面の女は姿を消した。そして同時に来豪と滅も姿を消してしまった。
「に…逃げられちゃったよ…!」
「海斗くん! 海斗くん! お願い目を覚まして!」
「………」
真紅は泣きながら返事をしない海斗に泣きついていた…。
「お姉ちゃん…」
「真紅!」
「真紅さん!」
そこに四人が駆け付けてくれた。
「うっ!?……こ…こりゃひでぇ! 針が体中に刺さっているぜ!」
『ひ、ひどいです…』
「海斗くん! いやぁぁーーっ!!」
「落ち着け真紅! ちょっと待て…」
そして秦は海斗の口元に耳をあてた…。
「…はっ!? まだ息はある!」
「! 本当ですか!? それじゃすぐに病院へ…!」
「いやだめだ! こんな状況普通の人たちには説明のしようがない!」
「それじゃ俺達の家に運ぼうぜ! 親父達なら事情は知ってるからな!」
「は、はい!」
「わたくしと鈴架ちゃんはガリウスさんを呼んできますね!」
「待っててね!」
それぞれが動き出す中、真紅は海斗の手を握ってあげていた。
そしてその夜、重傷の海斗は雲隠家へと運ばれていった…。
――to be continued.
海斗、敗北しました。色々とワケありでしたね。




