第六話 結果
(呆気ないな《・・・・・》・・・。)
地面に倒れている武を見て、光夜はそう思った。
(しかしまあ、こんなところかな?)
光夜は、今の戦闘における武の強さ――いや、弱さに納得した。
しかし、さっきまでと思ったことは違っているが、それも仕方のないことだ。
光夜は軍人である。しかも、数々の修羅場を経験し、潜り抜け、多くの組織や、強者とも死闘を演じてきたのだから。
そんな人間が、只の腕っぷしが強く、少々魔法が使える程度の学生に負ける訳がない。
まさに、赤子の腕を捻ることよりも簡単である。
「さて、
誰か―!手を貸してくださーい!」
光夜は、倒れている武を運ぶためにみんなに呼びかけるのであった。
―――side蓮歌―――
「わぁー」
蓮歌は驚いていた。
(吉田君も凄かったけど、新藤君の動き速すぎて見えなかった)
もともと武の実技は悪くはない。むしろクラス内ではトップクラスである(筆記は下からトップクラスだ)。
最初は武が優勢だと誰もが思っていただろう。しかし、終わってみれば光夜が武をいつの間にやら倒していたのである。
驚くのも無理はない。
(2人とも本当にすごいな~。
それに比べて私は・・・)
そう言って蓮歌は俯いた。その表情には深い羨望と少しの嫉妬が垣間見えていた・・・
―――side 瑠璃―――
「凄い」
最早、そんな言葉しか出ない。
周りのみんなも、呆然としていた。
無理もない、それほどまでに彼らの戦いは凄まじかった。
武は、素早さのある動きと、ラッシュで攻め、近距離型かと思いきや、魔法により中間距離攻撃を行ったのだ。この場にいるものでもこれだけの力を持つものは10人といないだろう。
そして、最も注目すべきは光夜である。
光夜は、武の動きを見切り、その手に持つ六角棒で易々と防いでみせた。そして、最後はいきなり武の目の前に現れたと思ったら、またもや武の後ろにいきなり現れて、一撃で倒してしまったのだ。
(でも、一番重要なのは、彼がかすり傷も負わず、更には一度しか攻撃していないということね。)
そう、光夜は一度しか攻撃していないのだ。
そして、その一撃だけで武を昏倒させたのだから、力の差は歴然である。
(本当に凄い子ね。)
と、その時、「誰か―!手を貸してくださーい!」と言う、光夜の助けを求める声が聞こえた。
その声を聴いた瑠璃は、仕方ないという風に、彼らのもとへ近づいて行った。
―――その顔に期待と言う表情を浮かべて。
第六話を投稿しました。
忙しくてなかなか書けなくて、すいませんでした。