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いじめ

作者: 見崎志念
掲載日:2012/06/20

 私は、いじめをうけている。

 登校してきて内履きがなくなっていた。仕方が無く事務室に行くと、

「またか」

 イヤイヤそうにぼろぼろのスリッパを渡してくれた。

 そのスリッパで教室に入ると、嘲笑と視線。誰も助けてくれようともしないし、みることもやめてくれない。机の前まで来て、沢山の言葉が書かれていた。


 しね。学校来るな。死ね。目障り。カス、クズ。

 

 嘲笑。

 油性マジックで、たくさんのせんがそんな言葉を作っている。

 消えないんだろうなぁ。

 どうすることも出来ないと思い、椅子に座ると、肌触りがおかしい。

 嘲笑。

 液状の糊がまかれていたらしい。すでに乾いていて服につかなかっただけよかった。

 カバンから授業の道具を取り出して、机の中に入れると、紙の擦れる音がした。

 嘲笑。

 覗くと、机の中いっぱいに、ゴミ箱の中にあったであろう、チリや丸められた紙が、敷き詰められていた。このままでは教科書が入らないので、書き出そうと手を中に入れて奥の方に指を入れると指先に痛みが走った。

 ばっかじゃねぇの。

 反射的に引っ込めた手を見ると、指先から血がたれている。画鋲か何かが中に入っているらしい。

 手で出すのは無理だと思い、机を傾けて全部中身を出した。


 授業中も標的は私のまま。

 先生が見ていない間に消しカスや紙くずを投げつけられて、私の周りはゴミだらけ。

 全ての授業じゃなくて、私のことを嫌いな先生のときだけそれをやってくる。

「また散らかしたのか。とっとと片付けろ」

 そういって先生は私に箒とちりとりを渡して授業を続ける。

 

 昼休みは、教室に居たらお弁当をひっくり返されてそれを食べさせられるから、すぐにどこか人気の無い場所に移動して食べている。

 一時期はトイレの中しか安心できなくなって、そこで食べていたけど、今は大丈夫。中庭の端っこはどの窓からも見えないし、誰も通らない。


 放課後、残っていても何をされるかわからないから。水につけられてしわくちゃになった教科書を千切れないように慎重にカバンの中に入れて、すぐ教室から出る。先生が早く教室から出るととめられるけれど、今日は先生がちゃんと居てくれた。


 帰り道、後ろから誰かが付いてくるようなことは今回は無くて、無事に家まで帰ることが出来た。


 家について見つからないように教科書を部屋の奥で乾かす。夕食を食べるまでに着替えを済ませて青あざとか、傷が目立たないようにフードを被る。心配なんて、させたくない。


 今日は、幸せな一日だった。少し、辛い思いしたけど、笑われたけど、傷だって指だけだし、他に目立ったものは何もない。教室で縛られなかったし、帰り道でどぶにも落とされなかった。今日は、幸せなんだ。


 そうやって、自分を騙すしか、自分の気持ちを守る術を、なくしてしまった。

 手首の傷が減ることは無く、深く、深く、傷は広がっていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 毎日がいじめの連続で、心がマヒしているような主人公だと感じました。 淡々とした文章が逆にいじめの凄惨さをものがたっている気がします。
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