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日陰日記  作者: 十奥海
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面倒だから一旦帰宅

 ぴー・・・ぴー・・・ぴー・・・

 等間隔に鼓動する僕の心音を示し続ける生体情報モニター。

 僕はその音が煩わしくて目を覚ました。

 まるで僕と生体情報モニターしか存在しないかのように静かな場所はどう考えてもどこかの病院の入院棟であることは確かだった。

 だが、自分が病室に入ったことも、病院に入った時のことも僕は覚えていない。記憶喪失?いやいや、ちゃんと過去の記憶は残ってますよ。

 外界と完璧に遮断された、静かなこの空間は自分がもっとゆっくりとすることが許されているような気がする。そんなことを悠長にも考えながら状況を確認することも含めて目を開いた。

「ん・・・ぁぁ」

 少し眠りすぎた気がする。体がだるくて目もしばしばする。

 目を開けて気づいたのは、自分の体に点滴の針が通されているのと、酸素マスクを着けられている事に気づく。

 察するに、意識不明状態だったのだろう。周りに、お見舞いの人が居ないことを考えると一日以上は昏睡状態が続いたと考えられるだろう。

 周りを見回して気づいたが、ここは窓からの眺めが実に良い。ビルの6階以上の高さぐらいには位置するのではないだろうか。だからと言って、何がどうというわけでもないが、月がよく見えて今が夜なんだということも分かる。

 しかし、夜に目が覚めるとは中々面倒なものだ。目が覚めても誰も気づいてくれないじゃないか。

「はぁ~」

 起きて早々だが、退屈でため息が出る。ため息の所為でマスクの中に息が充満してマスクが曇る。・・・これ、はずしていいかな。

 とりあえず、右手は点滴の針が通されてて動かすのはどうかと思い左手でマスクを取る。

 ‥‥‥‥‥‥‥おなかすいた。

 推測だが、ここ数日眠っていて点滴で栄養を保持している状態なのであろう。

 ふと、遠くから足音が近づいてくることに気づいた。

 ナースだろうか。これ幸い。意識不明の男の子がおきましたよ、と報告せねば。

 だが、点滴の針を通したままでは動けないな。点滴は、高いところに設置されている。勝手に外していいものなのかも分からないし、困った。

「すいませーん」

 足音が聞こえるぐらいだ、この静かな夜の病棟で声を発すれば聞こえるはず。聞こえなかったら、まぁ今は寝て明日にでも、見回りに来たときに「おはよう」とでも言ってやろう。

 カツン、カツン、カツン

 どうやら、案の定聞こえなかったらしい。これは後者の選択になりそうだ。

 むしろ、今報告したからと言って夜に何ができるというわけでもあるまい、昼なら親に連絡してお見舞いに来てくれるだろう。

 カツン、カツン、カツン

 足音が大きくなっていく。こちらに近づいてきている?

 声には気づいてもらえたってことだろうか。

 そんなことを考えていると、個室の僕の部屋の扉は開かれた。

 その瞬間を僕は一生忘れることはないだろう。


 扉を開いたのは紛れもなく「僕」だった。


「お前‥‥‥‥誰だ」

 僕の声は驚嘆に溢れていたはずだ。自分で聞いていて情けなくなるほどの声なのだから相手からすればそれは情けないものっだたろう。

 目の前の「僕」は、徐々にこちらに近づいてくる。

 待てよ、だったら僕は誰だ。もしかしたら、僕が違う人間なんじゃないだろうか。そんな馬鹿げたことを考えてしまうが、目の前に「僕」が居る時点で馬鹿げている。

「ようやく、目覚めましたか。僕の名前は『本井 クルス(もとい くるす)』」

 声は紛れもなく僕そのもので、自分の声を自分で聞いているとなんだか妙な気分だ。体も何一つ僕と違う部位が見つかりもしない。強いて言えば、服装の趣味だろうか。どうも気に入らない。

 そして、クルス?

 僕の名前は「本井 繰也くるや」。あれか、実は隠し子がいて双子の弟です。みたいなことか。

「はっはっは。馬鹿げてるな。僕に双子なんて居た覚えはないんだが」

「僕は、母さんに作られたホムンクルスのクルスです。貴方の細胞を元に作られたので全く同じ姿をしているだけです」

 そう言って悠長にもパイプ椅子を組み立てて僕の目の前に座るクルス。こいつは、自分が目の前に居ると言うのに、全く動じることがない。どういった神経をしていることやら。

「なるほどね。って納得できるほど僕は頭がよくないんだよ!母さんって誰だよ。あのネジが一本ぶっ飛んだような母親の『本井 みやび』のことか!?」

「いえ、雅さんは近頃別の地に移住してしまいまして‥‥」

「ちょっとまった!お袋が引っ越した!?僕を置いて?」

 ネジの一本や二本抜けていてもおかしくない、と思っていたが、何本ネジが抜けたら意識不明の息子を置いて引っ越せるんだ。驚いて危なく点滴の針が通ってる右手を動かしそうになったじゃないか。

「とりあえず、母さんに貴方が起きたことを知らせますので少しお待ちください」

 そう言って、クルスは僕と同じ赤い髪を揺らしながら病室から立ち去ろうとしていた。

 言葉で言うより実際に僕の母さんを見た方が早いだろう、と解釈するべきだろうか。それとも、ただ単に説明が面倒なだけか。

 どちらにせよ、

「病院内は携帯使用禁止だぞ!」

「‥‥‥‥面倒だからやっぱ、一度家に帰って明日母さんを連れてきます」

 こいつ!‥‥‥面倒くさがり屋なのも僕と同じか。

 そんな訳で、夜も遅いので今日はこれでお開き。おやすみなさい。

とりあえず、序章完了


まだ、あらすじ分も終わってないけど

随時更新していけばすぐにあらすじを通り越すはずだからご勘弁


まだ、女の子すら出てこず書いててつまらないの早く女の子だしたい!

と言うわけで、次には絶対女の子だすです。

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