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君の名  作者: もくず
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来訪

数年ぶりに小説を書き始めました。

のんびり書いていこうと思いますので、温かく見守っていただけると幸いです。

『――のこと、思い出してあげてね』

夢を見ていたようだ。

どんな夢だったかは覚えていないが、最後のセリフだけが頭にこびりついている。

『――のこと、思い出してあげてね』


一体、誰のことを言っていたのだろうか。


そんな夢のことは時計の針を見た瞬間に記憶の底へ消えていき、俺―坂城直(さかしろなお)―は洗面所へ向かった。

なんの代わり映えもしない日常。ただ起きて、大学へ行き、アルバイトをする。それだけに費やされていく。そのこと自体に何の疑問も不満も持つことなく気がつけば大学3年、二十歳になろうとしている。

支度を終え、家を出る。今日も昨日と変わらない一日が始まる。少なくとも朝のあの時点ではそう思っていた。


講義が終わり、家へ帰る。今日はバイトもないのでこのまま自宅でゆっくりしよう。

自宅である2階建てのアパートは大学から徒歩10分ほど、俺の部屋はその1階にある。

部屋の前に人が立っていた。ノックをするでもなく、ただ立っていた。

見覚えのない女性だった。年齢は俺とさほど変わらないように見える。一体何の用だろう?

足音が聞こえたのか女性がこちらを向く。やはり見覚えはない、いや、この顔は・・・。

「久しぶり、坂城君。わたしのこと覚えてる?」

「・・・すまん、思い出せそうなんだが」

「いいよ、気にしないで。思い出せないのも無理ないよ。最後にあったのは4年前だし。わたし、宮野沙希(みやのさき)田上(たのうえ)中学の元クラスメイト」

「宮野・・・あの宮野か?」

「うん、そう。改めて久しぶり、坂城君」

たしかに宮野とは中学の時の同級生で、3年の時は同じクラスだった。だが、特別親しかったわけでもない彼女がなぜここに?

「本当に久しぶりだな、同窓会以来か?というか、どうしてここに?大学に入って実家を出たのに」

「住所なら同窓会の名簿に書いてあるわよ?毎年確認の手紙を送って、それを名簿にしてるの。もしかして、見てない?」

確かに毎年そんな手紙を送っている記憶があるが、そんなもの気に留めていなかった。名簿に住所を記載しなくてもいいのだが、特に拒む理由もなかったのでそのまま出した気がする。

「ああ、見ていないな。それはわかったが、なぜ宮野が俺の家に?同窓会の連絡ならそれこそ手紙でもいいんじゃ・・・?」

「今日は坂城君に急いで伝えないといけないことがあったから来たの。電話はつながらなかったから私が代表して」

「ああ、この間携帯を買い直して番号も一緒に変えたから名簿の古い番号だとつながらないのか」

「うん」

「で、伝えないといけないことってなんだ?」

「うん。・・・古森(こもり)君が亡くなったの」

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