王牙転生Ⅲ外伝if~打ち切りエンドⅤ~希望を見る島
ウオザは堕ちた。
この世界を自分の物とするために。
グレートソード二刀流。そして翼。世界の改変を纏うにはあまりにも普通過ぎた。
「聞いてもいいのだろうな?」
「俺はここで王になる。この世界の全ての理を変えてもだ」
「それが幻想だとしてもか?」
「幻想じゃない。俺の世界はここに在る。この世界の神になるために、俺が作り上げた世界だ」
「与えられただけだ。世界を歪めどこに行く?」
「ここに! ここに俺の全てがある! 俺が王になりこの世界を治める! 精霊の王だ!」
「それはお前が殺した片割れの事か? なぜ彼女の台頭を受け入れなかった」
「ピシスはここに居る! 俺と一緒にここで王になるんだ! 二人で夢見た群れの長だ! 俺の夢は終わっちゃいない!」
「ここに誰が居るというんだウオザ? 栄光の中で輝いていたピシスは死んだ。何故祝えなかった」
「俺は祝ったさ! ピシスは俺達の英雄だ! 誇らしかったさ!
だが! 俺も成し遂げたんだ! ピシスには及ばない! だけど確かに俺も成し遂げたんだ! それがピシスという光に呑まれ消えてしまった!
俺は何を祝えばよかったんだ!? ピシスの巨大な偉業か!? 消えてなくなった俺の小さな功績か!?」
「祝福だ。精霊の地を救った英雄の凱旋に涙していたお前は何だったのだ?」
「俺の踏みにじられた小さな功績さ爺様。あの光の中で、転がり、地に降ち、踏みにじられた。悪意じゃない。誰も気付かなかったんだ。みなピシスを見上げていた。踏みにじられた俺は、ただ見えなかっただけなんだ。踏んでいることにすら気付かれない。路傍の石だったんだ。
俺は泣いたよ爺様。自分の小ささに、ピシスの大きさに、そして泣いて喜んでくれていると信じて疑わないピシスに! 俺が絶望に泣く姿が、奴には祝福に見えたんだ。そこまで俺は取るに足らない存在に堕ちたんだってな。
俺は嗤ったよ。これが俺の現実なんだってな」
「ピシスを恨んだのか?」
「違うよ。俺はアイツに振り向いて欲しかったんだ。俺はまだお前の隣で剣を振るっているってな。それがこれさ爺様」
「お前の道は道半ばという事か」
「ああ。俺達の栄光の道はここからだ!」
俺は襲い来るウオザに世界の改変の禁止を展開する。そして解体。
「なんだこりゃあ!」
「お前の姿だ。借り物の力で何を成せると思った。道を示してみろウオザ。それがあるのならな」
「くそお! 俺が道を間違えなけりゃこんな結末はあり得なかった! 俺が愛なんて選ばなければ! 俺は栄光に手が届いたんだ!」
「サピールを愛したことに後悔したか?」
「してねぇ! するわけがない! サピールはここに居るんだ!」
元凶か。そこにいたのか。
「・・・それが偽物だとは思わないのか?」
「知っているさ。だがこれが俺が信じた家族の姿だ。そして俺はサピールの魂を取り戻す! 俺が新たな神になり、この地の王になる! そしたらみんなが帰ってくる! 俺の栄光が帰ってくるんだ!」
「その偽物に囲まれた世界でお前は何を得るんだ」
「失った家族だ、爺様! 俺は取り戻したいだけなんだ! 俺の力でみんなの笑顔を取り戻すんだ!」
「そうか。ならば俺はお前の敵だ。打ち倒してみろ。それでお前の希望が叶う」
「ああ! 愛してるぜサピール! これが最後だピシス! 俺達がこの世界の王だ!」
「手ごまは無くなったぞアンデッド」
俺はサピールに話しかける。
「何故真実を話さなかった」
俺はサピールに攻撃を続ける。
「ウオザへの愛を語ってみろ。そうすれば許せるかもしれんぞ」
サピールは許しは請うても、ウオザへの愛だけは口にしなかった。
俺は、愛を語らぬサピールの不老不死を解除した。
ーーー
「この顛末は何だったのだ?」
俺は崩れ行く島から阿修羅ゴリラで脱出する。
「・・・彼女は産めなかったんです。お腹には何もいなかった。不老不死はそれを彼女に許さなかった。だから彼女は精霊獣に戻ったんです。そしてウオザさんはサピールを連れ戻そうとしてあの体に。サピールはそれを元に戻すために、死を偽装し世界の改変を得ました。世界の改変はただウオザさんの体を元に戻すために。そして希望を見せるためのこの島です」
「何故だ? 真実を話せば解決ではないのか?」
「サピールはウオザさんに元に戻って欲しかったのでしょう。真実を打ち明けたら、ウオザさんは元の日常に帰るでしょう。そこにかつてのウオザさんの姿はありません」
「それでは駄目だったのか?」
「王牙さん。なぜサピールが本物だと伝えなかったのですか? それが答えです」
その時は、ウオザは折れてしまうだろう。もしもサピールがそれを伝えてたとしも、今のウオザでは受け止めきれなかった。
「擬態を解除は出来なかったのか?」
「その時は戻れなくなるでしょう。そして精霊人でさえなくなる。それはあの状態よりも悲惨な事になったでしょう」
俺達は消えていく希望の地を背に地上へと降り立つ。
ーーー
その後リンセスは急激に老け込みこの世を去った。
それを追う様にリンキンの魂は消え去った。
そしてレオニスは外海にリセットをかけた。この悲劇が二度と起こらない様に。
それは俺達の旅の終わりを示していた。
さて、次の転生は、俺に応える世界になるだろうか。




