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王牙転生

王牙転生Ⅲ外伝if~打ち切りエンドⅤ~希望を見る島

掲載日:2026/05/29

 ウオザは堕ちた。

 この世界を自分の物とするために。


 グレートソード二刀流。そして翼。世界の改変を纏うにはあまりにも普通過ぎた。


「聞いてもいいのだろうな?」

「俺はここで王になる。この世界の全ての理を変えてもだ」

「それが幻想だとしてもか?」

「幻想じゃない。俺の世界はここに在る。この世界の神になるために、俺が作り上げた世界だ」

「与えられただけだ。世界を歪めどこに行く?」

「ここに! ここに俺の全てがある! 俺が王になりこの世界を治める! 精霊の王だ!」

「それはお前が殺した片割れの事か? なぜ彼女の台頭を受け入れなかった」

「ピシスはここに居る! 俺と一緒にここで王になるんだ! 二人で夢見た群れの長だ! 俺の夢は終わっちゃいない!」

「ここに誰が居るというんだウオザ? 栄光の中で輝いていたピシスは死んだ。何故祝えなかった」

「俺は祝ったさ! ピシスは俺達の英雄だ! 誇らしかったさ!

 だが! 俺も成し遂げたんだ! ピシスには及ばない! だけど確かに俺も成し遂げたんだ! それがピシスという光に呑まれ消えてしまった!

 俺は何を祝えばよかったんだ!? ピシスの巨大な偉業か!? 消えてなくなった俺の小さな功績か!?」

「祝福だ。精霊の地を救った英雄の凱旋に涙していたお前は何だったのだ?」

「俺の踏みにじられた小さな功績さ爺様。あの光の中で、転がり、地に降ち、踏みにじられた。悪意じゃない。誰も気付かなかったんだ。みなピシスを見上げていた。踏みにじられた俺は、ただ見えなかっただけなんだ。踏んでいることにすら気付かれない。路傍の石だったんだ。

 俺は泣いたよ爺様。自分の小ささに、ピシスの大きさに、そして泣いて喜んでくれていると信じて疑わないピシスに! 俺が絶望に泣く姿が、奴には祝福に見えたんだ。そこまで俺は取るに足らない存在に堕ちたんだってな。

 俺は嗤ったよ。これが俺の現実なんだってな」

「ピシスを恨んだのか?」

「違うよ。俺はアイツに振り向いて欲しかったんだ。俺はまだお前の隣で剣を振るっているってな。それがこれさ爺様」

「お前の道は道半ばという事か」

「ああ。俺達の栄光の道はここからだ!」


 俺は襲い来るウオザに世界の改変の禁止を展開する。そして解体。

「なんだこりゃあ!」

「お前の姿だ。借り物の力で何を成せると思った。道を示してみろウオザ。それがあるのならな」

「くそお! 俺が道を間違えなけりゃこんな結末はあり得なかった! 俺が愛なんて選ばなければ! 俺は栄光に手が届いたんだ!」

「サピールを愛したことに後悔したか?」

「してねぇ! するわけがない! サピールはここに居るんだ!」

 元凶か。そこにいたのか。

「・・・それが偽物だとは思わないのか?」

「知っているさ。だがこれが俺が信じた家族の姿だ。そして俺はサピールの魂を取り戻す! 俺が新たな神になり、この地の王になる! そしたらみんなが帰ってくる! 俺の栄光が帰ってくるんだ!」

「その偽物に囲まれた世界でお前は何を得るんだ」

「失った家族だ、爺様! 俺は取り戻したいだけなんだ! 俺の力でみんなの笑顔を取り戻すんだ!」

「そうか。ならば俺はお前の敵だ。打ち倒してみろ。それでお前の希望が叶う」

「ああ! 愛してるぜサピール! これが最後だピシス! 俺達がこの世界の王だ!」


「手ごまは無くなったぞアンデッド」

 俺はサピールに話しかける。

「何故真実を話さなかった」

 俺はサピールに攻撃を続ける。

「ウオザへの愛を語ってみろ。そうすれば許せるかもしれんぞ」

 サピールは許しは請うても、ウオザへの愛だけは口にしなかった。


 俺は、愛を語らぬサピールの不老不死を解除した。


ーーー


「この顛末は何だったのだ?」

 俺は崩れ行く島から阿修羅ゴリラで脱出する。

「・・・彼女は産めなかったんです。お腹には何もいなかった。不老不死はそれを彼女に許さなかった。だから彼女は精霊獣に戻ったんです。そしてウオザさんはサピールを連れ戻そうとしてあの体に。サピールはそれを元に戻すために、死を偽装し世界の改変を得ました。世界の改変はただウオザさんの体を元に戻すために。そして希望を見せるためのこの島です」

「何故だ? 真実を話せば解決ではないのか?」

「サピールはウオザさんに元に戻って欲しかったのでしょう。真実を打ち明けたら、ウオザさんは元の日常に帰るでしょう。そこにかつてのウオザさんの姿はありません」

「それでは駄目だったのか?」

「王牙さん。なぜサピールが本物だと伝えなかったのですか? それが答えです」

 その時は、ウオザは折れてしまうだろう。もしもサピールがそれを伝えてたとしも、今のウオザでは受け止めきれなかった。

「擬態を解除は出来なかったのか?」

「その時は戻れなくなるでしょう。そして精霊人でさえなくなる。それはあの状態よりも悲惨な事になったでしょう」

 俺達は消えていく希望の地を背に地上へと降り立つ。


ーーー


 その後リンセスは急激に老け込みこの世を去った。

 それを追う様にリンキンの魂は消え去った。

 そしてレオニスは外海にリセットをかけた。この悲劇が二度と起こらない様に。

 それは俺達の旅の終わりを示していた。


 さて、次の転生は、俺に応える世界になるだろうか。

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