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プロローグ
むかしむかし、あるところに、竜王がくらしていました。
竜王のおおきな口からは巨大な炎がふきだし、その口元にはするどい牙がいつも光かがやいていました。
そんな竜王のまわりにはいつも何もありません。
真っ暗な世界です。
永遠ともおもえるような長い時間を、竜王はひとりですごしてきました。
あるとき。
竜王の目の前に、一人のヒトが現れました。
ヒトは言いました。
あなたが私たちが求めていた全てです、と。
竜王は感激し、ヒトと共に生きようと決めました。
しかし竜王は気付くのです。
ヒトの目の中にある冷ややかな感情に。
恐れ、敬われ、そして遠くから見つめられ。
結局竜王はどこにいても一人。
ひとりぼっちなのです。