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平安京エイリアンズ  作者: 岬口大鴉
【八日目】

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逃げない決意

 目が覚めたとき、どこにいるのか、すぐには分からなかった。天井が白い。低い音で空調が回っている。


――ああ。


 現実だ。身体を起こそうとして、思わず息を止める。


 重い。


 筋肉痛とは違う。疲労とも、少し違う。もっと内側、骨と神経のあいだに、何かが溜まっている感覚。


 昨日のログイン、その後半は、ほとんど実感がない。ほとんどすべてが圧縮されて、逃げて、隠れて、考えていた感覚だけが残っている。

 洗面所で顔を洗う。鏡に映った自分は、少しやつれて見えた。


「……山の顔してるな」


 小さく呟く。

 髪を整えながら、昨夜のことを思い返す。


――答えは、もう出ている。迷ったままでも、戻る。正しいかどうかは、あとで考える。


 食堂で簡単な朝食を取る。周囲には、同じ施設の参加者の姿が見える。だが、誰とも話さない。いや――話せない。

 昨夜まで、同じ世界で同じ山を見ていた人間たちだ。それなのに、今は、全員が少しずつ違う場所に立っている気がする。

 端末が震えた。ログイン準備完了。開始まで、あと十五分。


 満足は、部屋に戻る。

 ベッドの端に座り、深く息を吸う。


……今度は、逃げない。


 そう決めた。怖さが消えるわけじゃない。自信もない。ただ、戻らない理由が、もうない。


 装着したゴーグルの視界の端に、システムメッセージが浮かぶ。


――ログイン上限:8時間

――体感時間補正:有効


 一瞬、眉をひそめる。


……長く、なるんだよな。


 それが救いなのか、罠なのかは、それは分からない。

 カウントダウンが始まる。


五。

四。

三。


 最後に、もう一度だけ、思う。


 美羽なら、きっと――。


二。

一。


 視界が、ゆっくりと暗転する。


今回分、短いので、20時にもう一本投稿します。

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