憂いを帯びた天気
今日は晴れ。友晴君は居るから、直接話しに行く。
花邑さんに話を聞いたけど、イマイチだった。これはもう本人に聞いた方が早いのでは、という考えだ。その方が解決への一番早い近道だ。
朝のホームルーム前、友晴君が一人になったタイミングを見計らって話しかけた。
「おはよ。昨日は大丈夫だった?」
「おはよう。うん、もう大丈夫。有難うね」
「そういえばさ、友晴君って雨嫌いなの?」
直球で聞けば良いものの、僕は何故か躊躇してしまった。
「雨? なんでそう思うの?」
「何かよく雨の日に休むじゃん」
「嗚呼……。雨は嫌いじゃないよ、霧雨が好きじゃないだけ」
「そうなんだ。……その、偏頭痛とかそうゆうの?」
「いや単に……姉ちゃんがさ、霧雨が嫌いでね」
家族の影響で嫌いになった、というのかな。よく母親が虫を嫌がる素振りを幼い頃から見てると、子も虫を嫌がるようになるみたいに。
「お姉さん居たんだ。何個上?」
「三つ上だよ。姉ちゃん、高校生だったんだよね」
ふと時計を見るとホームルームが始まる三分前だ。
「そうなんだ。そろそろだから戻るね」
「うん。それじゃ」
後で林たちと共有しよう。
昼休み、林たちと給食を食べていると林が早速話し始めた。
「堀さ、この前佐竹のこと調べてたじゃん? あれどうなったの?」
「今朝、本人に当たった」
ぶい、とピースをして報告したら、二人は目を丸くした。
「やったじゃん。ナイス」
林が僕の肩を叩いた。
「で、結果は?」
的井が興味津々に聞いた。
「結果は、ちょっと意味深な回答をもらった」
「意味深? そこ詳しく」
林が強く興味を持った。的井も同様だった。二人に話した内容を掻い摘んで話した。
「姉ちゃんが雨が嫌いだから、とかじゃねえかな」
「林の言う通りかも。聞いた感じそう思う」
「でも、そのままかな。何かその時の友晴君、悲しそうな顔してた」
そう言うと二人とも考え始めた。すると的井が口を開いた。
「ちょっと大胆だけどさ、今度の雨の日に尾行しない?」
「的井それは……」
「良いじゃん! そうしようぜ」
犯罪では、と言おうとしたら思いの外、林がノリノリだった。これは行くしかないかも。
「それじゃ、今度の雨の日ね。堀も良いよね?」
「うん。良いよ……」
不安だけど、二人とも乗ってくれているしそれに感謝しないと。何より、友晴君の愁いを帯びた表情が、僕は忘れられなかった。




