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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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遅刻、遅刻ーっ!

 今日はラーメンの気分かな。

 時間はたっぷりあるし、散歩しながら店を選ぼう。どうせなら仲見世のほうを歩いてみるか。浅草といえば、やっぱり浅草寺と仲見世だよね。

 それに浅草寺に向かう通りには人が集まるし、ラーメン以外の気になるメシ屋があるかもしれない。


 花やしきダンジョン内外の人目をことごとく無視して、普通に出かけた。

 多くの蒼龍杯関係者がごちゃごちゃやっているこのタイミングで、勝手気ままにご飯を食べに行く背徳感? なんかそういうのが気持ちいいね。でも私はほかならぬ主催の蒼龍に許可をもらっているのだよ。


 もし文句や苦情があるとして、私への抗議は蒼龍、つまり主催者でありレジェンドハンターへの抗議となるのだよ。

 おうおう、文句があるなら言ってみろい。ふははっ!


 虎の威を借りた小者ムーブがちょっと楽しいね。

 まあほかの奴らの試合中に、私がいようがいまいが関係ないし、気にする奴なんていないだろうけど。



 散歩しながらメシ屋を選び、食べた後でものんびり観光気分で歩きながら、調子に乗ってお参りしたりお土産物を買ったりした。すると2時間なんてあっという間に過ぎてしまう。

 ちょっと道に迷いつつも、全力ダッシュでなんとか花やしきダンジョンに戻った。


「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!」


 英国お嬢様スタイルの服装で猛ダッシュする私は大変に目立っていて、ダンジョン管理所前ではカメラを向けられまくっていたけど気にしない。出番に間に合わなかったら超ヤバイけど、まだ大丈夫だよね?


 更衣室に駆け込んだら大急ぎでお着替えし、再びダンジョンにイン!

 階段を駆け下りていると歓声が聞こえることから、試合中だとわかった。私の出番は最後だから、どうやら間に合ったようだ。


「ふいー、セーフ!」


 あぶねー。やらかすところだったわ。

 階段の付近は人がたまらないようになっているらしく誰もいない。少し離れた所から人だかりができていて、その向こうには大量の椅子が並べられている。

 ここからは見えないけど、その先の開けたところでハンター同士が力比べをしているのだろうね。


「……私はどこに行ったらいいんかね?」


 だらだら流れる汗をハンカチでぬぐいつつ、ひと息つく。

 あー、とりあえず、どうしようかな。


「どこに行ってたんですか、永倉さん! 間もなく次の試合です。こちらへ」

「え、あ、ほーい」


 待ち構えていたのか、イベントのスタッフっぽい人が現れた。その人に先導されて移動する。

 広いダンジョン内の端っこを小走りに移動していくと、その先には控室なのか天幕が設置されていた。

 中には対戦相手やら、すでに試合を終えたハンターがいるのかなと思いきや、誰もいない。

 対戦相手の沖田ちゃんはどこにいるのかな? まさか遅刻? 不戦勝はさすがにつまんないけどね、まあいいや。


「名前が呼ばれますので、そうしたらあちらから出てください」

「ほーい」


 忙しいみたいで、テキトーな説明だけしたらスタッフは出て行ってしまった。沖田ちゃんのこと聞きたかったのに。

 まあ難しいことは何もない。呼ばれたら天幕を出ればいいだけだよね。

 あ、どこかに天幕がもう一個ある感じかな? 対戦相手が同じ場所で待機したら、ケンカおっぱじめるかもしれんし。そうだよね。


 いまやっている試合はどんなもんかなと気にはなったけど、天幕から顔を出すとこっちに注目が集まってしまいそう。一応、私が一番の注目株らしいし。

 実際はどうかわからんけど、もしそうなってしまったら試合中の人にちょっと悪い気がするからね。やめておくよ。気の利く立派な成人女性だからね、私ったら。


 そもそも蒼龍杯の本選考が、こんな衆人環視の中でやるものだとは思っていなかったわ。

 もっと関係者だけのこじんまりとしたものを漠然と想像していたのに、こんなことになってしまうとは。ホントにいまさらだけど、ちょっと緊張してしまう。ドキドキしてきたわ。


「うあー、でもがんばりどころだよね。仲間集めに役立つかもしれんし」


 蒼龍のおっさんもそんなことを言っていた。

 私が超強いことをここで証明したら、いい感じに誘いに応じてくれる人はたぶん増える。ということは、もし相手の沖田ちゃんがクソ雑魚だったとしても、あんまりサクッと決着つけたら効果が薄くなりそう。いい感じになるよう、調整しないといけないかもね。


 あれこれ考えていると、大きな歓声が上がった。試合が終わったっぽいね。

 すごいざわざわしているから、なにをやっているのだろうと思って、ちょいと天幕に隙間を作って、そこから覗いた。


 隙間の向こうは真っすぐな花道のような感じになっている。誰にも邪魔されずに通れるようになっているから、視線を遮るものもない。

 開けた空間にはいま、戦い終えたらしき2人のハンターと蒼龍がいる。


 何をするのかと思ったら、蒼龍が次元バッグから小さな物を取り出した。ここからでは小さくて、それが何かわからない。

 ただ、ハンターがそれぞれブツを受け取って、恐縮しながら頭を下げていることから、何か貴重な物をもらったのだろうと想像はできた。


 戦い終わったら、すぐに報酬を渡すスタイルみたいだね。

 あれは蒼龍が戦いを観察して「こいつにはアレをくれてやるか!」みたいなノリで、賞品が渡されているっぽい。

 もったいぶらないのはいいと思う。


 特に観客に向けての説明とかもなさそう。具体的にどんな能力のある道具なのか、観客にはわからないのはいいね。

 なにしろ伝説のハンターが授けた道具だよ。その能力がバレちゃうと、譲ってくれだなんだと、絶対にうっとうしいことになる。

 イベントだから目立つようにはやっているけど、肝心なところを隠すのはいいね。


 私は前に蒼龍のおっさんに、都心のすごい豪華なクランハウスをくれやって伝えているけど、本当にそうなるかはまだわからない。

 一応、期待だけはしておこうかな。


「続いて最終試合です。沖田瑠璃さん、永倉葵スカーレットさん、ご入場ください!」


 おー、ついに出番だ。

 人前で戦うなんて、やっぱ緊張するわ。でも、やったるぞ。



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・永倉葵スカーレット、現在の装備

絶血ぜっけつ魂砕たましいくだき:生命力増強、攻撃力増強、魔法力増強、スキル威力増強、魂を砕き生命力を奪うハンマー。

血風けっぷう鬼火おにび踏み:生命力増強、防御力増強、抵抗力増強、踏めば魂を崩し精神力を奪うロングブーツ。

星詠ほしよみの巡礼服:精神力増強、防御力増強、魔法力増強、抵抗力増強、星の導きを得る制服。

瀬織津姫せおりつひめの指輪:精神力増強、攻撃力増強、戦闘技術を向上させる武神の指輪。

■闇時計の首飾り:精神力増強、毒攻撃を増強するループタイ。

■太陽の腕輪:生命力増強、光を照らすアームレット。

■一角獣の指輪:生命力増強、邪悪な魂を打ち砕く力を得る指輪。

■剛弓破魔矢の指輪:攻撃力増強、魔法の矢を放つ指輪。

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― 新着の感想 ―
サブタイトル?にマジかよ!ってなりましたー 2時間だよ葵さん間に合って良かったね!
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