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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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お仲間確保への遠き道

 蒼龍杯とやらへは参加するとして、それはもう少し先の日程になるらしい。


「クランハウスかー。ほとんどの参加者は武具を希望すると思うけどね。葵ちゃんはやっぱり変わってるわ」


 夕歌さんの言うように、普通ならそうなのかもしれない。でも私にはもういいのがあるから、装備品は別にほしくない。


「どうせもらえるなら土地と建物! そっちのほうがいいよ」


 いくらレジェンドハンターでも、知らんジジイの使っていた中古品をもらうっていうのも、なんか微妙だし。


「あの蒼龍が所持しているクランハウスなら、きっと立地も広さも期待以上になるわよ」

「葵姉はん、がんばって」

「余裕でぶんどってくるわ。でも来月からかー、早くやりたいね」


 いますぐにどうのという話とは違うから、始まるまであれこれ気になってしまいそうだ。

 まあ先の話だからね、気にせず普段どおりにやっていこう。


「そう言えば夕歌さん、いくつか用事があるって言ってましたよね。ほかはなんです?」

「あ、そうそう。あなたたちの仲間候補、探しておいたわよ」

「おおー! 探してくれたんだ」


 それを頼んでいたことは忘れていない。夕歌さんはちゃんとやってくれたようだ。ありがたいね。

 私たちは3人パーティーでもめちゃ強いと思うけど、もっと強くなるに越したことはない。夕歌さんが推薦するハンターなら歓迎だよ。


「ちょっと座ろうか。こっち入ってきて」


 夕歌さんに招かれて、みんなで打ち合わせスペースのようなテーブル席に腰かける。

 そこに並べられたファイルをちょろっと見れば、ハンターのプロフィールらしき内容が書かれていた。


「へー、細かいことまで書いてあんね」

「相手側もメンバー募集してるから、管理所職員には閲覧可能な情報よ。そこからピックアップして、紹介しているってわけ」


 ぱっと見た感じ、名前と歳、レベルとクラス、得意武器、活動年数や主な活動場所などが書かれているようだった。


「この人たちって、どういう条件で選んでくれたんです?」

「葵ちゃんから聞いた、まどかちゃんのスキルが発動するだろうって条件と、レベルが10以上なこと、それと都内で活動していることを条件に選んでるわ。あと葵ちゃんが言ってたハングリー精神? やる気がありそうかどうかも、活動実績から考慮したってところね。まあ私が勝手にピックアップしただけだから、誘っても相手側の条件に合わなければ、断られるかもしれないけど」


 ファイルの束はパーティー別になっていた。条件を絞った割には、10パーティー以上あるっぽい。結構あるね。

 どうやらソロはおらず、どれも最大で4人までのパーティーみたいで、私たち3人と合流しても人数的に多くなり過ぎない。


 前提として、全員が若い女子で、体形がマドカや私に近く、フルタイムでダンジョンハンターをやっていること。レベル10以上の条件は、クラスの情報がなければ選ぶ基準として難しいってことだろうね。

 さらには相手側も仲間を求めていると、そういう条件でピックアップされているらしい。


「パーティー丸ごとの勧誘やのうて、引き抜きはあきまへん?」

「それは任せるけど、強引にはやらないほうがいいわよ。あなたたちは目立つから、その辺のことも考えて行動してね」


 ふーむ、それはそうだね。嘘でも誇張でも、面白そうと思えばどんな噂にだって人は食いつく。マドカはそれで大変な目に遭っているからね。


「ま、とりあえず見てみようよ。いい人いるかねー」


 3人でそれぞれファイルを手に取り、まずはパーティー単位でどんな人がいるのか確認する。丸ごと勧誘するか、強引にでも引き抜くかは後で考えればいい。


 とりあえずは気になる人がいるかどうかだよ。手に取ったファイルをざっと読んでいく。


 ほーう。剣闘士、氷術士、風術士の3人組。

 さすがは夕歌さんがピックアップしてくれているだけあって、私たち3人のクラスと相性は悪くなさそう。組んだ場合にはちょっと後衛が多いかなと思うけど、術士だからといって後衛しかできないとは限らない。


「そっちはどう?」

「うん、悪くないね。普通によさそうな3人組、剣士と術士がふたりの。強いて言うなら、なんかフツーって感じ?」

「いまいちピンときてなさそうね。ツバキのファイルは?」

「……槍術士、盾術士、踊り子、忍者の4人組やった。うちらと組んでも、バランスは悪なさそう。あと車の免許、持ってるて」


 踊り子? 面白そうなクラスだね。


「マドカのほうは?」

「刀術士、重騎士、水術士の構成ね。クラスの相性はよさそうだけど、活動拠点が西東京なのよね」


 続けてほかのファイルをそれぞれで見る。

 ファイルの数はそこまで多くないから、ふたりが確認した分も順に見ていった。


 全体的に悪くない感じ。悪くはないんだけど、やっぱり超有望な人はすでにどこかのクランに入っているのかな。これぞという人は見つからない。

 変わり種っぽいクラスでは、村人とか女優の卵とか、ピアニスト、ものまねチャンピオン、それにのどじまん? なんてのもいた。

 やっぱり、自分たちがアレだからね。変なクラスの奴らはちょっと気になる。


「え、夕歌さん。これは?」


 マドカが不審そうな顔でファイルを指差している。あれはまだ見ていないやつだ。


「それねー。一応、条件はクリアしているし、やる気が一番ありそうなのはその子たちなのよ。ちょーっと問題大ありなんで、あえておすすめはしないけど」

「なにそれ、どういう奴らなん? クラスは?」


 そんなことを言われると、むしろ気になってしまうわ。


「クラスは相当変わってるわね。債鬼さいき、さんぴん侍? 闇落ち夜鷹よたか、池ポチャ回収師、この4人組よ。夕歌さん、これってどういうクラスかわかります?」


 なんじゃいそれ、謎のクラスだ。いいねいいね、そんな奴らが手を組んでいるなんて面白いわ。


「債鬼は借金取りのこと。さんぴん侍はそうね、身分の低い侍かな。夜鷹はその、下級の夜職女性って感じ? 池ポチャ回収師は、そのまま池に落ちた物を回収する人のことだと思う」

「ふはっ、なにそいつら!」


 思わず笑ってしまった。

 そんなのがよくも集まったもんだね。

 まあ私たちも山賊、アイドル崩れ、怨念巫女の3人組なんだけど。他人様のことはまったく笑えないクラスなんだけど。

 それにしたって、その4人組はみんな変なクラスだね。クラスからは、さんぴん侍以外は戦い方が全然想像できないし。


「いやー、でも面白いわ。それに私たちと結構、気が合いそうじゃない?」


 不本意なクラスをゲットした苦悩を分かち合えることは、たぶん間違いない。それにやる気があるというのは、とてもいいことだね。


「……どうかな。賞罰がちょっと。夕歌さん、問題というのはこれですね?」

「そうなのよ。活動実績から、やる気は感じられるんだけどねー」

「賞罰って?」

「この4人組、全員が前科持ちみたい」


 マジかよ。アウトロー集団ってこと?


「まどかおねえ、罪状は?」

「それぞれ、暴行と恐喝、賭博、詐欺、賭博と窃盗、と書いてあるわ。この4人はなしね」

「あー、うん。なしで」

「そうやな」


 いくら面白そうでもトラブルはいらないわ。

 とりあえず、じっくりと考えたいね。


「夕歌さん、このファイル持っていってもいい? すぐには決まんないわ」

「いいけど他の人には見せたらダメよ? 職員権限で独自に調べた情報も混ざってるから」

「わかってるって。用が済んだら返すわ」

「どうするにしても決まったら教えて。管理所から向こうに話を通してもいいし、直接話をしに行っても構わないから」


 仲間探しは一歩前進かな。これで決まるとは限らないけど。

 とにかく上級クラスを目指すなら、ダンジョンのもっと深いところにいってレベルを上げないとだからね。

 そのためにも仲間は絶対に必要。どうせなら強くて面白い奴らを仲間にしたいよね。

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― 新着の感想 ―
自分も闇賭博に出入りしとったやろがい!ww
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