表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/211

ウルトラハードモードに挑戦!

 遠くに足軽系骸骨くんがいる状況で、マドカはごつい散弾銃をジャケットの内側にしまい、代わりに拳銃のような武器を取り出した。

 いろいろ持っているっぽいね。


「ツバキは少し待って。先にあたしがやってみるわ」


 その拳銃っぽい武器は、軍隊などで使う武骨でカッコいい物とは違い、筒の部分が太めの信号弾? を打ち上げるタイプの形状に近い気がする。よく知らんけど。

 ただ当然、信号弾ではなく魔法的な弾丸が飛び出すのだと想像できた。


「まずはこれまで使っていた武器で攻撃してみるわね。前に第五階層で戦った時には、頭に命中させれば一発で倒せたの。同じ結果になるならそれでいいし、倒せないなら何発当てればいいのか試してみようと思って」

「そういうこと。いいね、比較するにはちょうどいいかも。近づいてくる間は撃ち放題だし。ちなみにあの骸骨くんて、マドカが知ってるのと何が違うの?」


 ウルトラハードモードと普通のダンジョンで、モンスターが違うみたいだからね。気になる。


「見た目の違いで言うと、まず色が違うわね。あたしが知っているのは黄色っぽい骨だったし、サイズも大きいと思う。ちょっと距離があるから正確にはわからないけど。あとは防具。前の時には、モンスターがあんな防具を身につけていなかったはずよ」

「ほえー、そうなんだ。結構違うっぽいね」


 マドカは通路の真ん中で拳銃を構え、狙い澄ましてぶっ放した。ドンッという発射音が爽快感あって気持ちいい。

 拳銃タイプの武器は初めて見たけど、ピンポン玉サイズの光が、高速でぶっ飛んでいったのが見えた。たぶん実弾を発射する拳銃よりも、弾丸の速度がずっと遅い。


 光の弾丸は数十メートル以上も先にいる骸骨くんに見事命中、はせずに、すぐ近くをかすめるように外れていった。

 そして骸骨くんがこっちに気づき、走って近づいてくる。


「これ、速いっ」


 速いかな。そこらの人が普通に走ってくるくらいの感じだ。

 特別速くはないし、あれなら私が走るほうがずっと速いけどね。


「マドカが知ってるのは、もっと遅いってこと?」

「あたしが知ってる第五階層のモンスターは、走ったりしないわ。しかも、硬い!」


 おお、そもそも走らないんだ。

 骸骨くんは避けながら走るような器用な真似は一切せず、ただ真っすぐに突っ込んでくる。そんな相手に銃弾を命中させることは難しくないようで、マドカは次々と光の弾丸を命中させていた。

 それでも倒せないどころか、走る速度を遅くする程度の効果しかないっぽい。


 あれは全然ダメージになっていないわ。何十発と当てても倒せない気がする。


「この武器じゃダメね」


 言葉は冷静ながらも焦ったような動きで拳銃をしまい、さっきの大きな銃を取り出した。滅びのなんとか散弾魔導銃だっけ? 強そうな銃だ。


 迫る骸骨くんは、だいぶ近づいてきている。

 なかなかサマになる姿勢で大きな銃を構えたマドカが、再び狙い澄まして引き金を引いた。

 すると星のきらめきのような弾丸がいくつも発射されたのがわかる。発射音は思ったより大きくなく、むしろさっきの拳銃よりも小さいくらい。


 それでも効果は抜群だった。

 星々のきらめきは骸骨くんの頭を吹っ飛ばし、光の粒子と魔石へと変えた。一撃だ。


「な、なんとか倒せたわね。完全に武器のお陰だけど」

「……まどかおねえ、あぶなかった」

「うん、わかってる。ウルトラハードモード、出し惜しみしてる余裕はまったくないわね。第五階層でこれか」

「倒せたし、あの威力なら問題ないよ。で、これが戦利品」


 拾い上げた魔石を見せてやる。


「本当に高品質魔石が落ちるのね。すごいわ」


 実家がお金持ちっぽいマドカたちでも、資金的な援助はあまり期待できないらしい。だから日々の稼ぎは大事になる。


「ちなみにその銃って、何発撃てんの?」

「いまのあたしだと、連続では10発か11発が限界だと思う。あとは15分くらい休めば、また1発撃てる感じよ。ごめん、これだと効率悪いわよね」


 まあ効率は悪いね。残念ながら。


「でもレベルが上がれば撃てる数も増えるよね? だったら地道にやっていくしかないよ。てゆーか、元からそのつもりだし」

「ツバキともスキルリンクできれば、効率が段違いになるのだけどね……」

「おー、なるほど。じゃあ『スキルリンクⅠ』が『スキルリンクⅡ』に進化すれば、その辺に期待ができるってわけだ」

「過去の前例にもあるから、おそらくね」


 マドカは『スキルリンクⅠ』のほかに、『受動効果増強』というスキルを持っている。これは一部のスキルの効果を高めるらしく、スキルをリンクできるマドカにはとても合っているものだ。


 そしてツバキは『魔力の源泉Ⅰ』という、減少した生命力や精神力、さらには体力などもまとめて持続回復するスキルを持っているのだとか。あくまで自然回復力を大幅に高めるスキルで、急激な消耗を一気に回復したり、激しい戦闘を長時間も持たせるわけではないらしい。それでもめちゃ使えるスキルだよね。


 これのすごいところは、ツバキの『魔力の源泉Ⅰ』をリンクさせることができれば、マドカは自分の『受動効果増強』で回復速度がさらに上がる。レベルが上がれば回復量も増えるから、どんどん効率は上がっていく。


 リンクできるスキルの数が増えて、さらに優秀なスキルを持っている仲間が増えれば、パーティー全体が強化されていくってわけだよ。

 これぞ将来有望って感じだ。計り知れないポテンシャルがあるね。


「私たちってなかなかイイ感じじゃない? 次はツバキ、やってみてよ」

「呪符と、これ、使う」


 すでに準備していた黒づくめ女子のツバキは、手にした武器を見せてくれた。

 呪符は短冊状の紙に読めない謎の文字や文様が描かれている。これはいいとして、もうひとつの武器だよ。


 それは奇妙な黒の短剣だった。持ち手の部分は土偶のような形をしていて、刃の部分には象形文字のような模様が刻まれている。質感は金属とは思えず、石か、もしかしたら木かもしれない。


「なにそれ? そんなんで戦える?」

「これは人形裁き……魔法で使う専用武器」


 奇妙な短刀の名称が人形裁きというらしい。何もかもが謎だ。とにかく、見てみよう。

 全員で少し歩いてモンスターを発見すると、さっそくツバキが呪符を飛ばした。魔法でコントロールしている呪符は、紙のくせに安定しているし速い。


 遠くで呪符が骸骨くんに当たったと思ったら、盛大に燃え上がる。

 時間にして数秒程度で消えたあとには、骸骨くんは影も形もなかった。なんだあれ、すごい!


「うおー、やるもんだね」

「ツバキは優秀だって言ったでしょ? 呪符は補充を考えるのが難点だけどね」

「次は、これ……『人形儀式』」


 視界に入ったもう1匹の骸骨くんに対して、ツバキは続けて攻撃を仕かけたようだ。

 目をこらして遠くの骸骨くんを見ても何も起こらず、あれと思ってツバキのほうを見て驚いた。


「うおおいっ、なにこれ、いつの間に」


 すぐ近くに足軽系骸骨くんがいるではないか。


「あれ、なんか変だね」

「大丈夫よ、アオイ。これはツバキの魔法だから」

「なんと、魔法?」

「これがうちのスキル……『人形儀式』」


 等身大の人形を魔法で作り出したのか。どれと思って、手で触れようとすると通り抜けてしまった。


「これとちがうと、触れへんし、攻撃できひん」


 奇妙な黒の短剣を無造作に頭蓋へ突き刺すと、幻の人形はあっさりと光の粒子へ変わってしまった。反射的に遠くのほうにいた実物の骸骨くんを見れば、同じく光の粒子へと変わっていくところだった。


「おお、すっげー」

「大抵のモンスターは……呪術耐性、低い。モンスター退治は、わりかし得意」


 黒のベールのせいで見えないけど、たぶん得意げな表情をしているのだろうね。

 それにしてもだよ。ツバキ、めちゃ強くね?


 まだお試しの第五階層だけど、ウルトラハードモードで全然やっていけそうだね。

 もしかして、案外ウルトラハードモードって大したことない?

 どうなんだろうね。まあもうちょい深い階層に行ってから、どうかって感じかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ウルハーがショボいんやない!相応しい人材なだけや! 一般ハンター連れてってみ?トぶぞ(あの世)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ