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これからの目標!

 ダンジョン攻略を進めてお金を稼ぐのはいいとして、具体的な目標を決めるのも大事だよね。

 ちゃんと目的意識を持って、行動するのだよ。


 とりあえずは、あれだ。お姉さんやこれから先に知り合う人と連絡を取るため、それからハンターランキングを気軽に見るためにもスマホがほしい。

 やっぱり文明人として、いまどき情報端末くらい持っていたいわ。さすがにね。


 でもスマホを買って通信の契約をするには、ふざけたことに住所が必要ときた。

 つまり、まずは部屋を借りなければいけない。お話にならないのである!


 住所不定からの卒業を目指すのが、私にとっての第一歩となるのだよ。

 そしてダンジョンアタックでそこそこ稼げることがわかってしまったからには、しょぼいアパートを住処にするつもりはないのである。なんかいい所に住みたいのである。


 もうあれだ、タワマンとか。

 どうせならわかりやすく、成金の象徴的な所に住みたいわ。

 でもって借りるんじゃなくて、買ってしまいたい。ドドンとね。いくらするのか知らんけど。


 さらにローン? とかめんどくさそうだからね。一括でバーンと買ってやりたい。

 バッグにたくさんの札束を入れて、そいつをドンと机に乗っけてだね、威勢よく買うわけよ。

 そんなクールな私の姿が、いま脳裏に浮かんでいるわけよ。

 もうやるしかないのよ。やるからには中途半端はしないのよ。


「この私、永倉葵は、東中野で一番のタワマンを買っちゃるわい!」


 底辺から頂点へ。具体的な目標が定まったぞ。

 労働に励みが出るね。



 第五階層まで駆け抜けたら、さっそくモンスター退治に気合を入れます。

 ここにいるのは骸骨戦士だから、出現モンスターは神楽坂ダンジョンとほぼ同じだ。あそこでは第一階層から第四階層まで全部が骸骨戦士だったから、ここの第五階層のは少々強くなったバージョンだと思う。


 ただ、お金はほしいけど死んでしまっては元も子もない。怪我をするのは嫌だし、気合十分でも最初は慎重にいこう。

 上に行く階段を背にして少し歩いて角を曲がれば、遠くのほうにモンスターを発見した。


「ほほう、いい感じのシチュエーションじゃん。あの新装備を試してみるかな」


 これは距離的に使ってみるチャンス。遠距離攻撃ができそうな装備を改めて鑑定モノクルで確認する。



■剛弓破魔矢の指輪:攻撃力増強、魔法の矢を放つ指輪。



 よっしゃ、試しにこいつを使ってみよう。

 指輪をつけた手をモンスターに向けて、むにゃむにゃと念じてみればだ。光の矢が現れて、すごいスピードですっ飛んでいった。


 ただ悲しいかな。狙いが甘かったらしく、モンスターのだいぶ手前で光の矢は壁に突き刺さって消えてしまった。いい感じに命中補正がかかったりはしないらしい。


 ドカンと壁を破壊してしまった影響で、骸骨戦士に気づかれてしまった。

 骨をガチャガチャ言わせながら、骸骨戦士くんが走ってくる。さらにはその後ろからも、新手のモンスターがやってきたではないか。


 距離が近けりゃ当たりやすくなるよね。とりあえず、もうちょっとやってみる。

 光の矢を次々と生み出しては攻撃を繰り返す。

 でも狙いが悪く、壁と地面と天井を破壊するばかりで、ちっとも真っすぐに飛んでくれない。


 そして光の矢を使う代償か、精神的な疲労感がすごい。これが魔法を使った時に起こる精神力の消耗ということなんだろう。

 まだ全然稼げていないのに、これはダメだね。無駄撃ちはやめておこう。


「遠くから当てるのって、めちゃムズくね?」


 考えたことなかったけど、遠くから魔法で攻撃する人たちってすごいわ。よく当てるもんだね。


 骸骨戦士の動きは特に速くない。目算で五十メートル程度の距離を、普通の人が走るのと同じくらいの速さで走り寄ってくる。

 動きは遅くても、その分パワーがありそうな外見だ。資料には平均的な人間サイズの白い人骨が、剣などの武器と盾を持っているとあった。


 ところがアレは想像の二回りくらい大きく、骨太になった感じの骸骨戦士になっている。しかも色が白じゃなくて銀色っぽい。剣と盾も立派なものに見える。さすがは『ウルトラハードモード』のダンジョンだ。


 ひとつ上の第四階層までは楽勝だった。たぶんこの第五階層でも、まだまだ私のスキルや装備の性能は通用する。そいつを試そう。


 近くにやってきた骸骨戦士は、大迫力で剣を振り上げる。それに対するはカクカクした感じの透き通ったシールドを展開できるスキル『カチカチアーマー』、一回だけあれの攻撃を観察してみよう。

 ハンマーを構えて、いざとなればそれで防ぐことも、飛びのいて避けることもできるように準備だ。


 剣の軌道から身を逸らし、ハンマーまで構えながら様子を見たけど『カチカチアーマー』さんは完璧に骸骨戦士の斬撃を防いでくれた。

 激しい衝突音から、それがものすごい攻撃だったんだと想像はできた。でも私の防御スキルはびくともしない。

 さらには骸骨戦士くんの剣は大きく弾かれ、モンスターは体勢を崩して隙だらけだ。


「もらったーっ」


 シールドを消して詰め寄り、ズドンと胸部に一撃。

 頼れるハンマーさんは、サクサクッと銀色の太い骨を粉砕してくれた。

 骸骨の急所がどこかは不明だったけど、胸のあたりの破壊には耐えられないのか、即座に光の粒子となって消え去った。


「よっしゃ、楽勝!」


 大柄の骸骨戦士くんは、存在感と攻撃の迫力はすごいけど、動きが遅くて対処しやすい。攻撃力もたぶん、見た目ほどではないね。少なくとも私にとっては。

 囲まれない限りは『カチカチアーマー』を発動させる必要だってなさそう。この階層ならまだ全然余裕がありそうだわ。

 今日もガッツリ稼ぐぞ。



 具体的な目標ができるとやる気が増す。

 休憩をはさみながら六時間以上に渡って、骸骨戦士くんを狩りまくった。


 ステータスを確認するとレベルが上がっていて、しかもこの第五階層だとモンスターを倒しても得られる経験値が3くらいしかないことにも気づいてしまった。

 次の階層に進むべきだろうね。むしろ次の次、一気に第七階層を目指してもいいかもしれない。

 ちょっとやってみて、厳しそうだったら戻ればいいや。



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

レベル:8(レベル上昇に必要な経験値:1,169)

クラス:―

生命力:13(+640)

精神力:13(+720)

攻撃力:13(+800)

防御力:13(+640)

魔法力:13(+680)

抵抗力:13(+600)

運命力:529

スキル:ウルトラハードモード(試練を与える。ダンジョン難易度の上昇、難易度に応じた報酬獲得率アップ、成長率が難易度相応に変化)

:ソロダンジョン(専用のダンジョンに入ることができる)

:武魂共鳴(装備品が使用者と結びつき、レベルに応じて成長する)

:毒攻撃(攻撃時に毒ダメージを与える)

:星の糸紡ぎ(星魂紋の詳細が可視化される)

:状態異常耐性(状態異常への耐性を得る)

:カチカチアーマー(カチカチしたシールドを召喚する)

:キラキラハンマー(キラキラするハンマーが追加攻撃する)

クラススキル:―

加護:弁財天の加護(魅力・芸術能力・財運アップ。五頭龍をソロ討伐し弁財天に認められた証)

:厄病神の加護(災厄を返し悪因悪果を与える。疱瘡悪神をソロ討伐し厄病神に認められた証)



 また新しいスキルを覚えた。

 新スキルの『キラキラハンマー』は、攻撃するとキラキラした幻のハンマーが追加攻撃をしてくれる強いスキルだった。

 いまのところ頼れるハンマーさんのお陰で、攻撃力アップは特に必要とはしていなかったけど、今後を見据えて強いスキルの追加はありがたい気はする。


「ふう、今日はこんなもんかな」


 体力的にはまだまだやれるけど、集中力が切れてきた。

 うっかりミスで怪我でもしたら最悪だからね、今日のところは店じまいにしよう。


 あー、ふと思い出しちゃったけど、覚醒の書ってやっぱ使ったらよかったかな。

 私ったら結構、スキルに関しては運がいいからね。

 やっちまってもよかったかなー! あーっ!


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・永倉葵スカーレット、現在の装備

絶血ぜっけつ魂砕たましいくだき:生命力増強、攻撃力増強、魔法力増強、スキル威力増強、魂を砕き生命力を奪うハンマー。

血風けっぷう鬼火おにび踏み:生命力増強、防御力増強、抵抗力増強、踏めば魂を崩し精神力を奪うロングブーツ。

星詠ほしよみの巡礼服:精神力増強、防御力増強、魔法力増強、抵抗力増強、星の導きを得る制服。

瀬織津姫せおりつひめの指輪:精神力増強、攻撃力増強、戦闘技術を向上させる武神の指輪。

■闇時計の首飾り:精神力増強、毒攻撃を増強するループタイ。

■太陽の腕輪:生命力増強、光を照らすアームレット。

■一角獣の指輪:生命力増強、邪悪な魂を打ち砕く力を得る指輪。

■剛弓破魔矢の指輪:攻撃力増強、魔法の矢を放つ指輪。

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 このシルバースケさん(仮名)…多分その辺の一般探索者が遭遇したら、下手すりゃ数十人がかりでもぼこぼこにされてしまうレベルなんでしょうね強さ的に。 骨のカラーリングが変わる=大体レベルが…
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