表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/210

手軽なお勉強タイム

 あれこれ考えてみても、結局のところ私には基本的な知識が全然足りない。認めます。

 でも私には、50個はあるだろう長所のうちのひとつ、素直さがあります。それを発揮して、ここはどんどん聞く。


 どうせ受付のお姉さんは暇を持て余しているからね。ばんばん聞きまくるよ。

 学校で居眠りばかりして、サボッたツケが回ってきてますわ。そいつを挽回してやる。


「ところでさ、モンスターって普通のハンターだと一回の探索で何匹くらい倒すもんなの?」

「ダンジョンや階層にもよるから難しいわね。たぶん、ひとつのパーティーの目安として、討伐数は30から多くても50くらいじゃないかな。あまり長時間続けて狩りするパーティーは多くないし、安全第一だからね。余裕を持ったダンジョン探索が推奨されているってわけ」


 平気で100匹以上も血祭りにあげる私は、やっぱりおかしかった。というか、モンスターがたくさん出まくる『ウルトラハードモード』がおかしい。

 おまけに私は『ソロダンジョン』だから、ほかの奴らとモンスターの取り合いになることがない。そういった理由も込みで、他人よりも討伐数が多いみたいだね。


「まあ命あっての物種だから、無理はいけないよね。そういやベテランハンターって、どのくらいの階層まで行ってるもんなの? 五十階層くらいが狩場とか?」

「それもダンジョンによるけど、ベテランは下層の第三十一階層から第三十五階層までを活動拠点に据えることが多いわね。それ以降って、また危険度が上がるみたいなのよ」


 それがすごいのかどうか、いまの私にはわからんです。新人ハンターが気にすることでもないかな。


「ほほう、ちなみに一番すごい奴らはどの辺まで行ってんの?」

「その辺の情報は公開されてるハンターランキングで確認できるわよ。国内だと第四十八階層が、最高到達点だったかな」


 思ったより全然行ってないもんだね。最高でも五十階層に届いてないんだ。


「ダンジョンの階層って、どこまであんの? 第百階層とか?」

「さあ? それは誰にもわからないわ。そもそもダンジョンごとに最下層が違うからね。最下層まで攻略済みのダンジョンはそれなりに多いけど、極端な例だと第一階層しかないダンジョンだってあるのよ。最も深いダンジョンがどこまであるのか、人類がそれを知るのはずっと先のことかもね」


 私はそんな危なそうな階層にまで行くつもりはないから、どうでもいいか。


「あ、そういやレベルって階層の数値くらいが適性って話だったよね。じゃあ、ベテランハンターでもレベルは30ちょっとくらいなんだ?」

「その辺のこともハンターランキングを見ればわかるけど、おおむね葵ちゃんの思ったとおりかな。ダンジョン下層に届くレベル30は、ちょっとしたものよ。戦いに使えるスキルがないと、中層を突破するのはかなり厳しいからね」


 ちょっとしたものかー。まあ、私にはまだまだ関係ない話だね。


「へえ、そういや上層とか中層とか言ってたけど、その区切りってどうなってんだっけ?」

「第十階層までが上層で、そこから第三十階層までが中層ね。第三十一以降は下層って呼ばれてるわ。その先は秘奥と言うのだけど、そこまでは気にしなくていいわよ」


 とりあえず目標は中層の真ん中くらいかな。危険と報酬のバランス的に、その辺がちょうどよさそう。


「ふーん、パーティー組んでても厳しいもんなんだね。ちなみにソロでやってる人って、私以外にもいるよね? そういう人はどこまで行ってる?」


 これこそ、知りたかった情報だよ。


「葵ちゃんは特殊だからねえ。実際、ソロの人はほぼいないし、私の知ってる範囲だとせいぜい第三階層までが探索範囲よ。ダンジョンは怪我どころか命の危険がどうしてもつきまとうからね。基本的な考え方として、ソロはほかのパーティーに助けてもらうことが前提のようにも見えちゃうから、深い階層にいるのは嫌われるのよ。よっぽどの実力者なら違うだろうけど、そういう人は周りが放っておかないから。協力したほうが安全性が上がるし、効率だっていいんだから当然よね」


 たしかに、そりゃそうだよね。


「そこでパーティーとクランってわけかー。私はいまはソロでいいけど、そのうち誰かと組みたくなるんかな」

「葵ちゃんは『ソロダンジョン』があるからね。深い階層を目指すなら誰かと組まないとだけど、葵ちゃんは可愛いから誰かに誘われるんじゃない? ここは人が少ないけど、ほかのダンジョンで声かけられなかった?」

「あー、ナンパ野郎いたね」


 逆にそういうのを避ける意味でも、パーティーを組んでおくのはありなのかもしれない。


「やっぱり。ソロで活動してるって思われたら、勧誘しようと思う男の子はそりゃいるわよ。タチの悪い奴もいるから気をつけてね」


 お姉さんは冗談めかした口調で言ったけど目つきは真剣だ。

 自分じゃよくわからないけど、弁財天の加護の力は大きそう。


「ま、気をつけるわ。あとクラスについて知りたかったんだ。私もレベル10に近づいてきたからさ」

「葵ちゃんはレベル7だし、近いと言えば近いわね。そこからが結構たいへんなんだけど。何が知りたいの?」

「そもそもクラスって何?」


 根本的にね。


「えっと、そうね。ダンジョン探索におけるその人の素質って言ったらわかりやすいかな。レベル10までの行動で、その人が示した素質が開花して獲得できるものって言われてるわね。モンスターと正面から戦っていれば戦士系のクラスが、サポートに徹していたらサポート系のクラスがって感じ。そうした行動は初期スキルに大きく影響されるだろうけどね」


 誰もが最初から覚えているスキルは、それこそ千差万別と聞く。私は『ウルトラハードモード』だったけど、世の中にはゴミと言われるスキルだって多くある。これだけは生まれ持った素質であり運だ。

 スキル運の悪い奴が、ハンターとしてやってくのは厳しいね。


「初期スキルはともかくさ、行動によってゲットできるクラスに傾向があるなら、がんばれば希望のクラスになれるってこと?」

「大きな区分けの中でだけど、ある程度はコントロールできるみたいよ」


 それはいいことを聞いた気がする。


「区分けってのは、戦士とか魔法使いみたいな?」

「そうね。戦士系なら、剣術士とか槍術士とか盾術士とか。兵士とか騎士とか、侍とか戦乙女みたいなのもあるわ。ほかにもいろいろよ。そんな感じで魔法系やローグ系、文化系や生産系、そうした区分けの中から様々なクラスが存在するってわけよ」


 なんか難しいな。ちょっと聞いただけじゃよくわからん。


「へえー。ちなみにお姉さんは?」

「それは乙女の秘密。葵ちゃんはどんなクラスになるんだろうねー」


 秘密かよ。もっと仲良くなったら教えてくれるのかな。


「私はモンスター倒しまくってるから、たぶん戦士系になるんかな。なんか面白いのになれるといいけどね」


 せっかく『ウルトラハードモード』なダンジョンでがんばってるんだから、そこらの奴と同じじゃつまらない。

 なんかすごいクラスを狙ってみたいね。


 さて、質問タイムはこんなもんかな。そろそろ労働に勤しむとしよう。

 今日の目的は第五階層だ。またじゃんじゃん稼ぐぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ