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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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調子ノリノリお宝回収

 鷺ノ宮ダンジョンの戦果にご機嫌になった私は、思い切ってタクシーを使って移動した。

 徒歩や電車とは違う、タクシー移動の優越感よ。


「ハハッ、気分が高りますな!」


 テンションを上げて、次から次へとお宝をゲットしまくった。

 やっぱり第三階層までのダンジョン攻略は、もう私にとって余裕すぎる。


 ただ、鷺ノ宮の次に訪れた笹塚ダンジョンの戦果はちょっと微妙だった。



どうのインゴット:銅の金属塊。

■ポーション:服用することで傷を癒す。

覚醒かくせいの書:ランダムにスキルを覚える。

■竜騎士の槍勲章:攻撃力増強、槍の攻撃速度が向上するブローチ。



 銅のお宝とポーションはいいとして、覚醒の書は怪しい効果だ。ランダムに覚えるってなに?

 スキルを覚えるのはすごい効果っぽいけど、気軽に使うのはちょっと怖い。これはお姉さんに確認してみよう。これも装備品とは違うからか、私専用のマークはついていない。


 槍勲章はとっても微妙な装備で、これは譲渡用に回せそう。

 攻撃力増強の効果は惜しい気はするけど、槍はたぶん使わないからね。手放しても構わない。


 そして本日、最後の目的地だった江古田ダンジョンの戦果。



どうのインゴット:銅の金属塊。

■修復の宝石箱:魂石を代償に、入れたものを修復する。

■深淵の番人刀ばんにんとう:精神力増強、抵抗力増強、闇攻撃増強、深淵の如き闇の力を宿す刀。

■一角獣の指輪:生命力増強、邪悪な魂を打ち砕く力を得る指輪。



 どうやら銅のお宝はいっぱい取れるっぽい。高く売れるといいんだけど。

 それはともかく、ほかもまあまあ良かった。


 修復機能のある宝石箱は、地味に普段の生活で役立ちそう。ただ、ティッシュ箱くらいのサイズだから、大きなものは入らない。いまの私の装備品だとアクセサリーくらいしか入らないから、どうせなら武器や防具の入るもっと大きいのがほしかった。

 あと宝石箱は装備品とは違うと思うけど、赤い葵のマークが入っているから売れない。


 私専用は装備品限定じゃなく、ほかの道具にも適用されるみたいだ。消耗品や金属塊みたいなものには、マークが入らない感じっぽい。


 カッコイイ感じの刀も手に入ったけど、これはいらないかな。使うのは難しそうだし、私には頼れるハンマーさんがいるからね。


 江古田ダンジョンで一番良かったのが、ユニコーンっぽい顔の石がついた指輪。意味不明な効果があるけど、持っていて損はなさそう。生命力が強くなるのもいい。



 早朝から三箇所のダンジョンを巡り、お姉さんに譲れそうな装備品が手に入った。

 自分用の装備も手に入れて地味にパワーアップできたし、ほかのダンジョンにまた行ってみるのも悪くないね。


 すっかり日の暮れた時間帯にはホームの東中野に戻り、まずは腹ごしらえ、そして割引券を使って銭湯に行った。

 命の洗濯をしてから、さっそくダンジョン管理所に入る。


 まだ時間が早かったのか、受け付けにはお姉さんではなく、堅苦しいおっさんやほかの人たちがいた。ハンターっぽいの人たちも数組はいる。時間帯のせいか、今日は人が多い。


 芋ジャージのぼっち女子が珍しいのか、やたらとじろじろ見られる。無視しよう。

 少しだけタイミングを待って、いつものおっさんと話をすることにした。


「おいすー、おっさん。今日はほかのダンジョン行ってきたわ」

「菊川です、永倉さん。この前に話した件ですね、その様子ではよいアイテムが得られたみたいですね」

「ふふん、まあまあかな。今度見せてあげるよ。ところでお姉さんは? 何時からいるんだっけ?」

たちばなは本日休みです。明日でしたら、午後九時頃から受付にいる予定ですね」

「そっか、お休みね。そういや、そんなこと言ってた気もするわ」


 どうしようかな。

 仮眠室に引っ込むのもいいけど、あそこは最長で八時間の利用だった。いまから入ると、夜明け前の時間帯に期限がくる。オーバーすると追加料金になるからちょっともったいない。


 仕方ないね、疲れてはいるけど少しダンジョンで稼ごうかな。


「とりあえず、ほい、これ身分証」

「いまからダンジョンですか?」

「ちょっとだけね。終わったら仮眠室借りるから、予約とかできる?」

「予約はできないですね。ですが利用者はほぼいませんので、心配いりませんよ」


 そういうもんか。泊れるなら別にいいや。


「ちなみにさ、第四階層に行こうと思うんだけど、おっさんどう思う?」

「菊川ですが、第三階層で余裕があるのでしたら問題ないと思います。念のためいきなり奥には行かずに、階段付近でモンスターと戦ってみてください」

「まあきつかったら無理しないようにするわ。ほんじゃ、いってきまー」

「決して無理はしないでくださいね」


 さて、前にお姉さんから聞いたときに、第四階層からはいろいろな意味でダンジョンとして難易度が上がると聞いた。

 手に入る魔石の値段が跳ね上がる分、モンスターの強さも跳ね上がる。もっとも違うのがモンスターの姿で、これが問題になるらしい。

 一部を除いて多くの場合、ダンジョンでは基本的に第三階層までは、動物型や虫型のモンスターが出現する。


 東中野ダンジョンの第四階層では、獰猛な小人こびと型のモンスターが出るわけだ。小鬼こおにというらしい。

 たしかに人型の小鬼は、虫けらや畜生と戦うのとは全然違うのだろうと想像できる。

 第十階層までは上層のくくりだけど、第四階層はハンターとしての壁になる階層と聞いたからね。ここをクリアできるなら、ハンターとしてまたステップアップになるわ。


 とにかく今日はお試しだ。いっちょやってみよう。


 さっそくソロダンジョンに突入し、ダッシュで第四階層に向かって進む。

 そういえば第五階層に一度行けば、転送陣を使えるって話だった。第五階層を稼ぎ場所にできれば、この移動時間を短縮できる。早くそうなりたいね。


 特に問題なく第四階層に入り、初めての階層だからまずは緊張感をもってモンスターを探す。

 新装備の『太陽の腕輪』のお陰で、明るくて探索しやすい。私が敵から丸わかりだろうけど、そもそも足音やら気配やらを消せるわけじゃないから、モンスターにはどうせすぐに気づかれる。だから、私にとってこれは単純に便利な装備だね。


 通路をちょろっと進めば、さっそくモンスターを発見だ!

 さすがは『ウルトラハードモード』さん。うろつくモンスターの数も半端じゃないから、すぐに見つかる。


 えっと、小鬼は獰猛な小人こびとのモンスターって話だった。身の丈もせいぜい一メートルくらいの。


 いくら獰猛な、といっても所詮はこびとさんだ。怖い顔をしたお人形みたいなモンスターを想像していたけど、それは大きな間違いでした。

 私がいるのは『ウルトラハードモード』のダンジョンだったわ。

 それを証明するように、あのモンスターはちっとも小さくなんかない。


「マジかよ。普通に私よりでかいじゃん」



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・永倉葵スカーレット、現在の装備

絶血ぜっけつ魂砕たましいくだき:生命力増強、攻撃力増強、魔法力増強、スキル威力増強、魂を砕き生命力を奪うハンマー。

血風けっぷう鬼火おにび踏み:生命力増強、防御力増強、抵抗力増強、踏めば魂を崩し精神力を奪うロングブーツ。

星詠ほしよみの巡礼服:精神力増強、防御力増強、魔法力増強、抵抗力増強、星の導きを得る制服。

瀬織津姫せおりつひめの指輪:精神力増強、攻撃力増強、戦闘技術を向上させる武神の指輪。

■闇時計の首飾り:精神力増強、毒攻撃を増強するループタイ。

■太陽の腕輪:生命力増強、光を照らすアームレット。

■一角獣の指輪:生命力増強、邪悪な魂を打ち砕く力を得る指輪。

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― 新着の感想 ―
ユニーク装備ぃ。「おっさん」「菊川です」「おっさん」「菊川ですが」おっさんもかわいい。
こんばんは。 まぁだんごむしさんがパワーアップしてたんだから、そりゃゴブリンさんもパワーアップしますわなぁ…。デカくなってる→一般的なオーガとかそんなレベルにいってそうなイメージ。
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