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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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199/202

ややこしい話と気楽な話

 なんか偉そうな奴らの思惑なんて、私は知ったこっちゃないし、知りたくもない。

 ダンジョンハンターだったら、ダンジョンに入ってモンスターを倒しまくれよ。魔石とお宝を集めまくって、じゃんじゃん稼いで贅沢しまくれよ。それでいいじゃんね。


 つまらんことを考えたって、絶対ろくなことにならないわ。どうせ悪い奴らに利用されるだけなのにね。そういう意味でセーラさんたちって、お偉い奴らとずっと上手く渡り合ってさ。マジですごいクランなんだよね。


 花園も活躍しちゃうと誰も放っておいてくれないから、紫雲館みたいに上手くやらないといけない。そういうことだね。

 うちは雪乃さんがあれこれと手を打ってくれたお陰で、だいぶ自由にやれている。蒼龍との関係がどうとか、フロレゾとマドカの因縁がどうとか言って、うるさい奴らが押しかけることもないし。


 セーラさんたちのことはちょっと気になるけど、気にしても仕方ない。

 私たちは私たちの目標を達成できるよう、がんばるのみだ。



 今日は久しぶりに、メタル系モンスターが出まくる三鷹ダンジョンにアタック!

 久しぶりにあのダンジョンを使えるから、ちょっとテンション上がる。効率よく稼げる場所は気分がいいわ。


 さらにテンションが上がることに、新しい車に乗ってみんなでやってきた。やっとぼろっちい白の車から、パワーアップした車になれた。そこそこ高級な車は乗り心地がいいし、見た目もカッコいいしで買ってよかった。

 SUVだっけ? そんな感じの種類のちょっとだけごつい車だ。でもやっぱ、赤いオープンカーのほうが絶対にカッコいいわ。


「やっと三鷹ダンジョンが使えますね」


 沖ちゃんの言うとおり、ホントに久々だ。私たちったら異常にレベルが上がりにくいせいで、この三鷹ダンジョン頼みになりつつある。

 ここは最深部が第三十階層みたいだから、上級クラスになれるレベル50があまりに遠く感じる。もうやばい。

 ずっと先のことばかり考えても仕方ないから、レベルよりはまずお金。クランランキングの上位に行く目標を達成したい。


「ホントだよ。経験値とお金の両方を稼げるダンジョンはさ、めっちゃありがたいわ」


 ダンジョンに入ったら、いつものように私と沖ちゃんを先頭に、モンスターを見つけ次第にぶっ倒す。

 第二十階層はメタルじゃない普通のモンスターがたくさんいたけど、いまの第二十五階層だと全然いない。そのせいでモンスターの数はだいぶ減ったけど、効率はいい気がする。


 ジャングルが広がるダンジョンで、銀色のでかい恐竜みたいなモンスターを倒しまくる。

 武器とスキルをフルに使って、パーティーみんなの力で戦えば楽に片づけられる。


 あちこちのダンジョンでいろんなモンスターとは戦ってきたけど、巨大なモンスターは意外と珍しい。だからここで戦って慣れてしまえば、この先で超巨大で超強いモンスターが出ても自信をもって戦える。ちょっとやりにくさはあるけど、きっと私たちにとっていい経験になるね。


 気になるのはやっぱり、前にセーラさんたちと行った第三十階層のこと。

 天使みたいなモンスターは、まだ出てこない。あれは恐竜とは全然違う感じのモンスターだった。


 第三十階層はダンジョンのくくりで中層の最後だ。そこから先が下層になっていくから、最後の関門としては力試しの意味でもちょうどいいのかな。

 あの天使に楽勝だって思えたら、どっかのダンジョンで下層を目指してもいいのかも。そうなるのがいまから楽しみだけど、まあ先は長そうだよね。



「よっしゃ、いい感じじゃん」

「まだもっと早くやれそうね。いまのをもう少し続けましょ」

「わかったよ。おらよっと、ほらマドカ!」


 姿勢を崩した恐竜が、散弾銃でズドンと光に変わる。

 どこのダンジョンのどこの階層でも、最初はパーティー全員で戦うのが私たちのスタイルだ。

 それでめっちゃ慣れたら、ちょっとずつ変えていく。


 グーとパーで決めた3人組と4人組にわかれて戦って、それも慣れたらまた組み合わせを変える。

 どんな組み合わせでも余裕だねってなったら、今度は2人組と3人組になって戦う。


 レベルが上がりにくい分、めっちゃたくさんモンスターを倒しまくらないといけないから、飽きないようにしつつも数字以外の部分でもレベルを上げる。技術が高まる! そういうのが私たち花園のスタイルになっている。

 これを続けているお陰で、私たちったら超強くなったと思う。普通にやってる奴らより、絶対だいぶ強いわ。


 そんな私たちが、ちょっとこれは行き詰ったかもってなってしまったら、新メンバーの探し時だね。

 まあ私たちは特殊だから、仲間探しは簡単じゃないけど。


 そんなこんなでごちゃごちゃ考えながら戦ってしまったけど、今日の労働は終わり!

 いやー、労働のあとの味の濃いメシは体に染みるわ。



 三鷹から練馬にゴーホーム!

 移動中の車移動はリラックスできていい感じだ。みんなでまったりできるから、私は結構好きな時間。運転手は大変だろうけど。

 そうだよ、私もどこかのタイミングで免許取りに行きたいわねー。


「あ、雪乃さんからメッセージよ」


 新たな車の乗り心地を堪能していたら、スマホをチェック中のマドカが教えてくれた。

 運転手のまゆまゆと早くも寝ているツバキ以外のみんなが自分のスマホをチェックする。どれどれ。


「おう、雪乃はなんだって?」

「また天剣が新たな発表をしたらしいな。ニュースになっているそうだから確認してみる」


 銀ちゃんたちはそのまま発表の内容とやらを調べ始めたみたいだ。私は教えてもらえばいいかな。ハンター業界的には大切なことなんだろうけど、あのおっさんたちに興味ないし。


「天剣は浦安ダンジョン第五十階層の探索を完全に終え、第五十一階層へ進んだそうだ。早くも新たなモンスターの発見が報告されている」

「へえ、たいしたもんじゃねえか。スキル強化の影響があったにしろ、これまで停滞してたとは思えねえ成果だな」

「私としては発表のタイミングが気になる。この成果にケチのつけようはないが、昨日は紫雲館が大きな目標を発表したばかりだろう?」


 そうだった。セーラさんたちは、ガラスの森ダンジョンでまだ攻略されていない階層に挑むよって、正式に大発表していた。しばらくはその話題で持ちきりになるかもって話だったのにね。


「明らかに狙ってやがるな。話題潰しだろうぜ」

「天剣の立場なら当然だろう。紫雲館が後ろ盾のフィクサーを失ったという噂は、トップクランなら把握しているだろうしな」

「紫雲館の側についてる権力者や金持ち連中を、まとめて取り込もうって腹か。まあ、やるなら相手が弱ってるタイミングが一番だ」


 嫌だねえ。そういうの。私は関わりたくないわ。


「アオイ、星ノ宮さんとは連絡を取り合っているのよね?」

「うん、結構やり取りあるよ」


 セーラさんとはもうお友だちだからね。そりゃメッセージ交換くらいするわ。


「クランのこととか、そういう話はしないの?」

「ややこしい話のこと? そういうのは全然ないよ。さっきもメッセージ送ったけど、帰りに買うアイスはなにがいいかなって感じだね」

「……それ、返事はあったの?」

「あったよ。コンビニ限定のちょっとお高いやつ、新発売のヨーグルト味が美味しいよって教えてくれたわ。絶対、これ買うわ。ほらほら、写真もつけてくれたよ」


 今日はみんなでこのシリーズのアイスを買おうなんて話しながら、クランハウスに戻った。

 みんなややこしい話が好きだよね。私は労働のあとは、気楽で面白い話がしたいよ。

 メシとかお菓子とか、お出かけする話とかさ!

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