模様替えのタイミング
とりあえずの第一目標だった、パーティー全員がサブクラスをゲットする!
これを達成できたのはよかった。やっと始まったって感じがする。
今後もメタル系モンスター出まくりの三鷹ダンジョンを借りて、また地道にレベルアップを重ねていきたい。
私たちったら、マジでレベルアップしにくくなっちゃったからね。経験値モリモリのメタル系を倒さないともうやってられないわ。ホントにね。
でも三鷹ダンジョンはいつでも使えるわけじゃないから、その時にはまたダンジョン巡りもやらないとだ。
あちこちのダンジョンを第二十五階層から再開するか、まだ行ったことない新しい場所に行くか。それはその時に決めればいいかな。
深い階層での戦いが多くなれば、魔石の売値も上がってお金もいっぱい稼げる。するとランキングも上がりやすくなる!
お金を稼いで損はないし、やるだけやってみよう。
稼ぎまくって、すごいものとかも買いまくりたい。今度は壺と彫像がほしいね。個人的な目標設定も大事だよ。
これからの超明るい未来について、みんなで考えた翌日。
心機一転して、クランハウスの模様替えをすることにした。あれこれ買って、もっと居心地のいい空間に変えるのだ。
真のクランハウスの金属感バリバリ具合を本格的に改善する!
これは私だけじゃなく、みんなも気にしていたからすんなり決まった。
ついでに蒼龍のお下がりばかりだった、仮のクランハウスのほうまであれこれ買い替える。立派な内装でも古くてちょっとボロいのもあったからね。
いい機会だし、私たち好みにしたほうが気分がよくなるってもんだよ。
そんな感じでじゅうたんやら壁紙やらまで取り替えて、家具もそれに合わせて新調する。もう全面的にやっちまう。
三鷹ダンジョンで結構稼ぎまくったから、それを使って一気にやる。お金持ちらしくね、ババンと気持ちよく使う。
仮のクランハウスは雪乃さんたちにお任せで、真のクランハウスは私たちでやることも決まった。
ただ無駄に広くてでかいし、あちこち全部やっちまうとなると、なかなか大変。だからみんなで分担する。
私は絵を飾った入口から広いロビーにかけてを担当したかったのに、じゃんけんで負けてしまった。これからも芸術作品を増やしていく予定だから、それに見合った高級感あふれるラグジュアリーな感じ満載にしたかったのに。
まあ、そこ担当に決まったマドカとリカちゃんが張り切っていたから、私が思った以上によくなると期待はしている。頼んだよ!
「葵、アタシらも行くか」
「そうだね。タクシー呼ぶわ」
まゆまゆと私はとりあえず車を買いに行く担当に決まった。ぼろっちい白のワゴン車は買い替えたいなって思っていたから、いよいよだ。
車のメーカーとか種類とか、私は全然知らんから、ほぼまゆまゆにお任せになると思うけど。なんとなく面白そうだから、とりあえず一緒にお買い物だ。
そうしてやって来ました、車屋さん。初めての場所にはなかなか興味を引かれますな。
広い敷地には車がいっぱい並んでるから見物したかったけど、まずは店員さんのいる建屋に突入した。
「いらっしゃいませ。本日はご来店いただき、ありがとうございます」
建屋に入るなりザ・営業マンて感じのおっさんが、うさんくさい笑顔で近寄ってきた。その笑顔は、まさに売る気満々な感じだ。やる気に満ちているね。
うさんくさいけど、商店街のおっさんおばちゃんたちがおすすめだよって言っていた店だから、たぶん大丈夫。
「おう、とりあえず8人乗れる車がほしくてよ。細けえことはいいから、まずは実物を見せてくれねえか」
どんな車を買うかはまゆまゆと私にお任せされている。とりあえずはパーティーメンバー7人が乗れればいいけど、それでギチギチよりは余裕があったほうがいい。
いまのぼろっちい車と乗れる人数自体は同じだし、見るならまずは8人乗り。そんな感じで大雑把に決めていた。
無駄にでかくしても使いにくいって話だったし、ちょうどいいのがなければ変えてもいい。私としてはなんかカッコいいやつがいい!
「8人乗りでございますね、こちらへどうぞ」
さっそく駐車場に案内された。
うおー、なんかわくわく感が高まってきたね。
ずらーっと、いろんな色や形の車がいっぱい並んでいるのは壮観だよ。
「こちらはモルファードの最新モデルでございます。いかがですか、内装もご覧になってください」
車のことはよくわからんけど、立派でカッコいい感じはあるね。うちのぼろっちいのとは大違いだ。もう迫力が違う。
営業マンがドアを開けて中を見せてくれたんで、まゆまゆと一緒に遠慮なく見る。
「え、なんか広くね? 立派な感じも、うちのと全然違うじゃん」
「こいつは広いな。快適そうだしよ」
「ええ、そうでしょう? 3列目のシートまでゆったりとお座りいただけますよ」
やっぱり広いのはいいね。椅子も硬くなくて座り心地がよさそう。全体的に立派な感じがするし、いまの車とは違いすぎる。
なんなんだよ、別物すぎるだろ。もっと早く買いにくればよかったよ。
「なるほどな、収納スペースも結構あるし、シートアレンジもあれこれやれるな。これなら申し分ねえ。値段はどうなってんだ?」
「こちらのグレードですと、オプションにもよりますが、500万円から600万円程度とお考えください。ご予算はいかほどでしょうか? 車種はほかにも取りそろえていますので、そちらも――」
「予算は気にしなくていいからよ、ほかのも見せてくれ」
まゆまゆがお金持ち感あふれるセリフをズバッと言った。それはカッコいいだろ。私も言ってやりたいわ。
「かしこまりました。それでは、あちらの新型モデルなどいかがでしょう」
営業マンが次のやつを案内してくれるみたいだ。
ただ細かい話は私はいい。せっかくいろんな車があるし、買わなくてもどんなもんか見ておきたいね。珍しい変な車とかもあるっぽいし。そんなことを思って駐車場を眺めていたらだよ。
駐車場の奥のほうで、キラリと光るものが私の目に飛び込んできた。
ほかの車とは明らかに違う、なんか特別なオーラを放ってない?
なんだよ、あれ。めっちゃカッコいいじゃん。




