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メタルメタルメタル!

 三鷹ダンジョンは全三十階層で、大きく分けて最初は草原っぽい場所と聞いている。

 大階段を下りて到着したそこは、まさに大草原。でもって、モンスターがいっぱいいる。


「なんか聞いてた話と違くない?」


 最初のほうの草原にいるモンスターは、狼型だよって聞いた気がする。その狼の中に、ちょこちょこ銅っぽいメタル系モンスターがいるよって話だった。

 それが狼なんかどこにもいないし、いっぱいいるモンスターは全部メタル系のような気がするね。むしろ普通のモンスターは全然見当たらない。


「ブロンズのメタル系ばかり、それも狼型ではなく人型ですね」

「話によれば人型というか鬼タイプのモンスターは、第二十階層以降に出現するはずよね」

「これも『ウルトラハードモード』の影響ということだろう。ある程度は予想していたが、ここまで違うと聞いていた攻略法がどこまで通じるか」

「物理も魔法も、あまり効かへんて話やった」

「まあ試してみるしかねえわな」

「メタル系に効果の高い攻撃は、主に雷と熱と腐食でしたよねえ。わたしたちはあまりそういった魔法系スキルがないのが、ちょっとした弱点かもしれませんね」


 それはそう。雷なんて誰も使えないし、腐食だってない。熱は私の『黒縄』と『メラメラハンマー』、マドカの新スキル『業火装填』くらい。まゆまゆの『耐性喰い』がどれくらい効くか、それでも変わってきそう。

 あとは反則級に強いツバキのスキルが切り札になるって感じかな。たぶんツバキがいれば大丈夫。


 ただいくら強敵のメタル系だからって、まだ第一階層のモンスターだからね。こんなところで手こずるなんて、さすがにないわ。


「大丈夫じゃない? 手札の用意もしてきたんだからさ」

「そうだな。その前に我々の基本的な攻撃が、どの程度通じるか試してみよう」


 うだうだ言っていても始まらないし、とりあえず殴ってみればわかる。そういうことだよね。

 いざとなったら、ツバキの新スキル『護符刻印』でおもろいことができるようになったし、これで対策はできたつもりだからね。たぶんなんとかなるはず。


「ほいじゃ、私からいくよ。おりゃー」


 頼れるハンマーを肩に担いで走り出す。

 とっとこ走って近くにいたでっかい鬼に、ハンマーを叩きつけた。ちょっとした手応えを残して、光に変わるでっかい鬼。


「葵、手応えはどうでした?」

「うーん、まあまあ? 第一階層のモンスターにしては硬いけど、さすがに全然余裕だね」

「本番は中層以降になりそうね。まずは各自で試しつつ、先に進みましょ」


 私と沖ちゃんを先頭にして、草原を進む。モンスターはいっぱいいるから、ちょこちょこみんなでお試ししながら倒していく。肩慣らしにはちょうどいい感じかな。

 みんなの攻撃でも普通に倒せるし、やっぱり第一階層のモンスターは余裕だね。


 初めてメタル系と遭遇した時は、銀ちゃんの狙撃が弾かれたのは結構衝撃的だった。あの時は第二十五階層のモンスターだったからか、すごい防御力があったんだと思う。

 前は遠くの空を飛ぶ鳥だったから殴れなかったけど、今回はちょっと楽しみだわ。



 メタル系はやっぱり硬いねなんて話しながらも、どんどこ先に進んでいく。

 銅色に輝く鬼のモンスターは、なんだか不思議な感じだ。普通の鬼よりも彫像っぽいから、全裸でもそこまで腹は立たないのが不思議だね。

 彫像と言えば芸術だから、私の文明レベルの高まりがそう感じさせるのかも。


「いまのところは順調ね。中層に変わる次の階層からは、また気を引き締めていくわよ」

「事前の情報では、ブロンズに加えてシルバーのメタル系モンスターが出るはずです。明確に強くなるはずなので、慎重にいきましょう」

「うおーっ、まだまだいけるよ!」


 もっと手応えがほしいところだね。第一階層から第十階層までは、モンスターの種類も強さも大して変わらない気がした。

 力の強い鬼のモンスターは、言ってしまえばそれだけで面白味が全然なかった。硬いけど別に倒せるし、普通につまらん!

 中層からに期待したいね。メタル系の中でもシルバーとか、私たちはお初だし。


 大階段を下りながら、みんなで事前に聞いた話を思い返す。

 第一階層からすでに全然違うモンスターだったけど、一応の確認だ。


 それによれば第十一階層から第二十階層は、これまでの草原から洞窟に変わって、大きなトカゲのモンスターがいるよって話だった。

 さてさて、今度はどうなってるだろうね。超でっかいトカゲかな?

 やっぱりウルトラハードだし、もう龍とかになってたり? メタル系の龍なんて、めっちゃ強そうだわ。


 到着した洞窟は、自然な感じの洞窟というよりも、人工的な綺麗に整った感じだった。通路も天井もゆとりがあって、窮屈さを感じないくらいには広い。

 そんな洞窟をうろついていたのは、でっかいトカゲでも龍でもない。


「どう見ても騎士っぽいよね? 剣と盾持ってるし、ガーディアンて感じ?」

「そう見えるわね。でも完全に情報のないモンスターよ」

「しかもブロンズではなく、いきなりシルバーですか。中層の初めはブロンズの中に稀にシルバーが混ざるという話でしたが、私の予感ではシルバーばかりの気がしてきました」


 まあそんな気はするね。もう事前の情報なんて、なんの参考にもならんわ。


「つばきの護符を使うにはよ、そろそろいい頃合いじゃねえか?」

「その前に私の狙撃が通用するか、まずは試してみよう。中層の最初から通じないとは思いたくないが、シルバーは初物だ。どうなるだろうな」

「ギンコ、相手は未知のモンスターよ。反撃に気をつけて」

「そうだな。なにかしらの攻撃があった時には梨々花、頼む」

「任せてくださいねえ」


 万全にね。ホントになにがあるかわかったもんじゃないよ。

 広い通路の遠くのほうをウロチョロしているモンスターに向かって、銀ちゃんが銃をぶっ放した。


「……弾かれたな」

「うへー、まだ第十一階層なのに? 硬すぎるだろ」


 魔法の狙撃銃はすっごい威力があるはずなんだよ。それを平気で跳ね返すってどういうことだよ。

 せめて騎士っぽいモンスターの盾で防がれたとか、そういうのならわかるけど。もろに頭に当たったのに、効かないとかずるいだろ。


「でも遠距離からの反撃はなさそうね」

「ああ、次だ。つばきの護符を使ってみる」


 ツバキがサブクラスをゲットして覚えた『護符刻印』を試す時がきた。

 これはお札みたいな護符を武器に貼りつけるだけで効果があるらしい。ただ、回数制限があるからちょっとだけもったいぶってしまう。

 効果はツバキのスキルが関係しているっぽくて、いまのところは呪いと浄化の護符しか作れない。今後にも超期待だ。


「呪詛の護符、通用するとええけど……」


 普段から作っている呪符はツバキ本人しか使えないけど、護符は武器に貼ればそこに込められた効力を攻撃に乗せられる。よくわからんけど、すごいよ。


 武器自体に『刻印』すれば回数制限は気にしなくてよくなるみたいだけど、普段使いのお気に入りの武器にそれをやるのはちょっと怖い。私たちの武器はサブや予備も含めて、私の『武魂共鳴』で成長しているから、使い捨てみたいなことや失敗はできないし。

 いまのところは、ツバキがちょっと大変だけど護符でいく。


 銀ちゃんが呪いの護符を銃にペタッと貼ったら、それだけで準備はオッケー。またぶっ放した。

 普段は青っぽい魔法の弾丸が、黒っぽい弾になって飛んでいく。見た目にもわかりやすくていいね。


 そしてまたもやズバンと頭にヒット! 光の粒子に変わっていく騎士のモンスター。


「やったか。敵に耐性がないからだろうが、それにしても呪詛の効果は凄まじいな」

「つばきちゃんの新しいスキルは、今後も頼りになりそうですねえ」

「護符の作成、結構大変……」


 呪符作りに慣れたツバキでも、すごい集中力のいる作業らしい。

 消耗品だから頼りすぎはよくないよね。まあ、ここでは使うしかないけど。

 てゆーか、銀ちゃんの銃が効かないなら、みんなの攻撃でも護符を使うしかなくね? 結構やばくね?


 ただ私の頼れる超つよつよハンマーさんは別格だからね、大丈夫だよね。さすがにね?

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