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さらなる高所得者へ

 フリーマーケットはよきものです。

 ジャージとタオルを大量購入した勢いで、中古未使用のくつしたいっぱいとスニーカーまでゲットしてしまった。

 これでいままで使い倒しまくった、ぼろのお古とは完全におさらばできる。


 心機一転だ。しかもたくさん買ったにもかかわらず、フリマでの出費は3,000円もいってなかった。

 まだまだ全然、懐は痛くない。痛くもかゆくもないのである。


 これが、お金があるということ!


 数日前までの私にとって、3,000円なんて大金だった。

 それがいまとなっては、その程度の消費ではびくともしないブルジョワジーっぷりよ。


「ふははっ、今日から野宿ともおさらばかのー」


 今後も収入の見込みは十分にある。むしろ私はもっと欲張るべきだね。

 ネズ公なんて余裕で倒せるし、やっぱり第二階層で満足するのはダメだ。

 戦力的にまだまだ余裕がありそうだから、さすがに次は第三階層に挑戦するべきだよね。

 文明レベルが上がった私の快進撃は続く!


 もうホテル生活できちゃうわ。

 リッチにホテル生活できちゃうわ。

 なんか名のあるホテルでだって生活できちゃうわ。


 公園で野宿?

 ははっ、うら若き女子のすることじゃないっしょ。ありえないよね。



 日暮れ前にいつものダンジョン管理所に行ってみれば、あのお姉さんはいなかった。

 あの人、フランクだから気楽でいいんだよね。代わりに前にも見たおっさんのいるカウンター向かう。


「おいすー、おっさん。また来たよ」

「菊川です。永倉さん、それがダンジョン産の装備ですか? 橘から聞いていますよ」

「この服? 可愛いよね。ソロダンジョン様様ですわ。それに隠し部屋に行けば絶対お宝あるしさ」

「でしたら、ほかのダンジョンにも行ってみてはどうです? 上層の中でも上辺うわべであれば、比較的安全にまた装備品などが手に入ると思うのですが」


 なんと、それもそうか。ダンジョンはたくさんある。

 上の階のほうだけでも荒らしまくれば、つよつよ装備まみれになってもう無敵では?


「いいね! 今度それやってみるわ。今日は第三階層で稼ぎまくるんで、登録よろー」

「身分証お預かりします……はい、お返しします。お気をつけて」

「いってきまー」


 ダンジョンアタックのお時間です!

 ソロダンジョンの第一階層、第二階層と駆け抜けて、未知の第三階層にいざゆかん。

 つよつよ装備のお陰で、これといった緊張感もなし。


 第三階層も基本的な構造は第二階層までと変わりなく、モンスターがネズミからコウモリになるだけだ。

 コウモリは天井に張りついていて、飛んで襲いかかってくるのが、これまでとの違い。それでもネズ公から、何度もジャンピングアタックをされていた経験から、苦戦するとは思わない。


 ちょろっと歩いたら、さっそく天井にぶら下がったコウモリを発見。複数でいるのが、これまでとの違いだ。

 とにかく、やってみないことには始まらない。いっくぞい。


「おりゃー」


 声を出せば、高い天井にいるモンスターがやってきてくれる。

 例によって中型犬くらいはあるけど、これもネズ公で慣れているからどうということはない。

 むしろ動きはネズ公よりも遅いくらい。複数だろうと、これなら余裕で対処できる。

 もう飛んで火に入る夏の虫みたいなものだ。


「へいっ、へいっと!」


 振り下ろしてから振り上げる一度のハンマーの動きで、四匹のコウモリを葬り去った。

 悠々と高品質の魔石を回収、こいつはひとつ500円なり。

 計2,000円あざっす、人生楽勝!


 やっぱ余裕だわ。ウルトラハードモードさん、いまのところ余裕っす!


 この調子ならもう次の階層にいけそうな気もするけど、話によれば第四階層から難易度がググっと上がるらしい。

 稼ぐにはこの階層でも十分だし、挑戦するならお姉さんに話を聞いてからにしよう。また次でいいや。


 そして夢中になってコウモリを探し、500円の魔石を回収し続けること、どれくらいだろう。体感で二時間くらいかな。

 時計ないと不便だなー。腕時計くらい買っちゃうか。安いのならそんなにしないよね。


 はあ、もうコウモリ飽きた。余裕で百匹以上は倒したはず。龍みたいな特殊モンスターも出ないし、ちょっとがっかり。

 そういや、そろそろレベル上がったかも。どれどれ。



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

レベル:6(レベル上昇に必要な経験値:385)

クラス:―

生命力:11(+240)

精神力:11(+390)

攻撃力:11(+480)

防御力:11(+480)

魔法力:11(+510)

抵抗力:11(+450)

運命力:527

スキル:ウルトラハードモード(試練を与える。ダンジョン難易度の上昇、難易度に応じた報酬獲得率アップ、成長率が難易度相応に変化)

:ソロダンジョン(専用のダンジョンに入ることができる)

:武魂共鳴(装備品が使用者と結びつき、レベルに応じて成長する)

:毒攻撃(攻撃時に毒ダメージを与える)

:星の糸紡ぎ(星魂紋の詳細が可視化される)

:状態異常耐性(状態異常への耐性を得る)

クラススキル:―

加護:弁財天の加護(魅力・芸術能力・財運アップ。五頭龍をソロ討伐し弁財天に認められた証)



「おー、やっぱ上がってる。でもステータスは安定の1だけ上昇っと。もうちょっとなんとかならんの、これ」


 もう諦め気味だ。素のステータスが上がらなさすぎる。

 普通はレベル5だと平均30くらいと聞いてしまったから、余計に嫌な気持ちになるわ。


 あ、でも補正値はめっちゃ上がってる? 前の時いくつだっけな。忘れちまったよ。

 スキルがまた増えてるけど、説明が説明になってないわ。

 星の糸紡ぎさんはテキトーだなあ。

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