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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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なつかしの元ホーム

 商店街のおばちゃんが元気なとんかつ屋で、贅沢三昧のお祝いをした翌日。

 私たちは次のダンジョンを攻略するべく、東中野へとやってきた。


「おいすー! おっさん、久しぶりじゃん。元気してた?」


 魔石の換金はいまでも東中野でやっているけど、最近は雪乃さんたちにお任せしちゃうことが多い。だからこのおっさんと会うのはめっちゃ久しぶりだ。なんか懐かしいね。


「菊川ですが……永倉さん、お久しぶりです。花園のご活躍は耳にしていますよ」

「え、そうなの? いやー、聞こえちゃってたかー。やっぱ私たちったら、活躍しまくってるからね!」


 あれ、でもなんか噂になるようなことしたっけ?

 ひたすらダンジョンを巡ってるだけなんだけど。夕歌さんから面白おかしく聞いたのかな。


「クランランキングが急上昇していますから。それは注目もされます」

「おー、そういうこと? 順位とか全然気にしてなかったわ」


 ランキングを考えるのは、ダンジョン巡りをやめて稼ぎモードに入ってからのつもりだからね。それにたしか、ランキングは半年でリセットされるはず。

 いまは5月の半ばくらいだから、もうちょっとでリセットされるわ。あれ、6月が終わったらリセットでいいのかな? どうだっけ?


「ちなみにあたしたちは、いま800位くらいよ」

「800位? 全然、高くないじゃん。そんなんで注目される?」


 そういえば前にも順位を聞いた気がするね。その時はもっと話にならないくらい低かったと思うけど、それなりに上がったっぽいのかな。


「花園はクランの所属人数が少ないので、1人当たりの金額で考えた場合には順位が高くなるのです。これは公式のランキングには関係ありませんが、ひとつの指標としては有効な考え方です。その考え方で計算すると、花園はトップ50近くにいるのですよ。これは新しいクランの中では、非常に目立つ結果と言えます」


 ふーん。いちいちそんなことを考えて、わざわざ計算してる奴がいるってことだよね。そっちのほうが感心するわ。

 非公式のランキングなんて気にしても仕方ないし、どうでもいいかな。


「ランキングのリセットって、いつなんだっけ? どうせまたゼロになっちゃうよ」

「締め切りは6月末と年末です。公式のランキングはハンター個人やクランにとって恩恵がありますが、独自指標の非公式ランキングもそれなりの影響力はあります。通年や過去からの累計で実績を見る場合もありますし、継続と積み重ねは大事になりますよ」

「そっかー」


 あれこれあるんだね。私はそんなこまけーこと考えて生きていたくないわ。めんどくせーわ。

 ちょっとだけ未来の公式ランキングでは、ぶっちぎるつもりだけど。その時にはもっと騒がせてやろうね。


「アオイ、そろそろ行きましょ。菊川さん、受付お願いします」

「はい。では身分証を――」


 昨日は上野でメタル系モンスターとかいうのまで倒したし、マドカのレベルアップは近いと思う。もしかしたら今日、サブクラスをゲットできるかもしれない。

 私はもう朝起きた時からわくわくしているし、たぶんマドカも同じだと思う。早くマドカのサブクラスが知りたいよ。



 懐かしの東中野ダンジョンは、相変わらず人が少ない。

 それでも数組はいたハンターたちに構わず、さっそくダンジョン前までやってきた。


「ここは以前まで、葵がホームにしていたダンジョンなんですよね?」

「そうだよ、沖ちゃん。レベル10になるまでここでやってたね。ただ、ここは山ばっかりでさ、私ったらたぶんそのせいで山賊になっちまったんだよ。だから神楽坂に移動したんだよね」


 当時を思い出すわ。始まりはサツのおっさんから話を聞いて、ハンターやってみるかと思ったんだっけ。


「ああ、そういう経緯があったんですか」

「なるほどな。葵、ここは何階層まで行ったんだ?」

「第十階層だよ」

「では今回はそこまでスキップするか?」


 私の身分証が第十階層の転送陣に登録済みだから、そこまではみんなを連れて一気に行ける。

 ここまでずっと、全部のダンジョンを第一階層から攻略してきた。東中野は私が先にやっていたからできることだけど、銀ちゃんがそんなことを言うのはマドカのレベルアップが近いからだよね。


「ギンコ、みんなもあたしに気を使わなくていいわ。レベルのことは気になるけど、近いうちに必ず上がるんだから。それより、ツバキとマユの新しいスキルの検証したほうがいいわよ。第一階層からじっくりやっていきましょ」


 誰か行ったことのあるダンジョンでも、経験のために最初からやろうねって話はしていたけど……やっぱり場合によるわ。


「いーや! 第十階層からでいいじゃん!」

「どうしてよ?」

「だって早くレベルアップしてほしいわ。それにここは山のステージが多いんだよ。私は山賊系の上級クラスには絶対なりたくないから、さっさと攻略したいわ。さくっと済ませたいわ!」


 たしか第六階層からここは山だったと思う。東中野ダンジョンは思い出深い場所だけど、山にいる時間はなるべく少なくしたい。

 同じあやまちを、繰り返さないために!


「いいんじゃねえか? いまのアタシらなら、ウルトラハードだろうが第十階層なんて余裕だ。スキルを試しながらだって、問題ねえよ。だよな、ツバキ」

「うん。まどかおねえのサブクラス、はよう知りたい」

「私も早く知りたいですねえ。それに浅い階層は稼ぎの面で物足りないですし」

「東中野ダンジョンは第十五階層から第二十階層まで、山ではなく洞窟型になるようです。それ以降はまた山の環境に変わるみたいですが、第十五階層までは飛ばし気味に急いでもいいかもしれませんね」


 おお、そうだったっけ。ナイス情報だよ沖ちゃん。


「よーし、じゃあ山はささっと抜けて、洞窟であれこれ試しながら進もうよ。マドカもいいよね?」

「わかったわよ、あたしだって早くレベルアップしたいもの。みんながいいなら、そうしましょ」


 そうと決まればダンジョンアタック開始だ!

 みんなで転送陣から第十階層にさくっとワープ。山の景色が懐かしいような、そうでもないような。でも東中野ダンジョンって感じがなんとなくする。


 ちょろっと見渡せば背の高いゴーレムくんの姿が、すぐに見つかった。あれを見ると、やっぱ懐かしい感じが強まるね。

 とりあえず山のステージはスルーして、そのあとでゴーレムくんをいっぱい倒してやろう。

 できれば新しい階層で、ちょっと強めのゴーレムくんとやりたいね。


 それでもって、もしかしたらマドカがレベルアップするかも!

 いやー、早くマブダチのサブクラスが知りたいよ。

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