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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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稼ぎが増えたよ

 とりあえず、ネズ公を倒した時に経験値がどれくらいもらえるのか試してみよう。

 走って近づけば、ネズ公からも近寄ってくるから簡単なものだ。


「ほいよ!」


 這うようにして足にかみつこうとしたモンスターを蹴っ飛ばしたら、一発で光の粒子に変わる。

 300円を拾い上げて、身分証の確認じゃい。


「じいさんや、おかしくないかい? レベル上昇に必要な経験値、まったく変動なし。たったの1も変わっとらん!」


 この身分証、ぶっ壊れてるわ。

 試しにもう一匹、ハンマーの餌食にしてみた。


「んお? 今度は1減ってるじゃん」


 必要経験値が減って、ほんのわずかだけどレベルアップに近づいた。どういうこっちゃ。

 さらに物は試しと、一匹倒しては身分証を確認すること数匹で気づいた。

 数回続けて必要経験値が1ずつ変動すると、全然変わらない時が一回はさまる。

 つまりネズ公を倒して獲得できる経験値は、1未満の数値ってことっぽい。


 そういえば自分のレベルよりも低い雑魚モンスターを倒した場合、もらえる経験値が少なくなると聞いたような気がする。

 レベル5の私には、ネズ公は雑魚すぎて経験値がほぼもらえない感じになってしまったわけだ。たぶん。


「まあいいや、今日はこんなもんかな。眠くはないけど、徹夜になっちゃう」


 ほどほどにしよう。

 せっかく弁財天が魅力アップさせてくれているのに、機嫌を損ねられちゃたまらない。財運までなくなっちゃうよ。

 もういい加減、ネズ公とたわむれるのも飽きたしね。



 ダダっと走って、出口付近でハンマーとブーツはポーチにしまう。

 芋ジャージはもう着られないから、魔法学園スタイルで堂々といこう。むしろこれを私のトレードマークにしちゃうのだっていいかも。

 あ、でも一張羅はもう嫌だな。今日は結構、稼げてるはずだし、ダンジョンの外で着る服は普通に買おっと。


「へいっ、お姉さん。戻ったぜ」

「おかえりーって……どったの、その格好」

「なんかドロップしたわ。可愛いっしょ。ジャージがダメになったから、ちょうどよかったよ」


 会った回数はそんなでもないはずなのに、このお姉さんとは随分仲良くなったものだ。


「葵ちゃん、嘘はだめよ? 自分で持ち込んだ服に着替えただけじゃないの?」

「ひっでー、嘘じゃないって。変な龍がいてさ、そいつがポロっと落としたんだよ」

「変なりゅう? え、ドラゴンてこと? 第二階層で? ありえないでしょ」

「んなこと言われても。まあいいや、別に証拠とかないし」


 そういや、身分証に追加された弁財天の加護を見せてやれば信じてもらえるかも。いや、あれじゃ証拠とは言えないか。

 一応はスキルとかは秘密にするのが常識みたいだし、お姉さんといえども馬鹿正直に言うのはやめておこう。この件は私だけが知っていればいい。


「うーん、信じないわけじゃないんだけど。知っちゃったら報告しなきゃいけないし、でも根拠がないことをどうやって報告したもんかなーって」

「じゃあ私の見た幻ってことで。これまでに一回もないなら、別に大丈夫でしょ。あ、それより魔石の査定よろー、いっぱいとってきたわ」


 トレーにざざっと置いたら、お姉さんも切り替えたらしく手際よく査定が始まった。

 誰だって面倒事は避けたいからね。なかったことにできるなら、それに越したことはないのである。


「また高品質ばっかり。この分なら、上層だけでも稼いでいけそうね。本当はパーティーで探索したほうが安全なんだけどね」

「誰かと一緒に入りたくなったら、その時はそうするよ」


 予定はないけど。


「ところで葵ちゃんさ、持ってる装備の鑑定してみない?」

「いいけど時間とお金、かかるんだよね? お金とられんのヤだし、今日はもう寝たいわー」

「また今度でいいし、お金もかからないように話通しとくからさ。いいよね?」


 欠食女子の私にお菓子をめぐんでくれたお姉さんの頼みは断りにくい。お金を取られないなら、まあ。


「仕方ないなー、タダならいいよ。でも絶対返してよ?」

「それは保証する。ソロダンジョン産じゃなくても、ハンターから無理に取り上げることはそれこそ絶対ないから」

「わかったよ」

「ちょっと性能が気になるんだよねえ。葵ちゃんステータス低いのに、龍とか倒してるわけじゃん? 本当に倒したのかはちょっと疑ってるけど」


 ひどい。でも普通に考えたらそんなもんか。

 まあ別に信じてもらわなくてもいいけどね。


「あ、そういやレベル5の人のステータスって、普通はどんなもん? 私はオール10だけど。わかりやすく平均10だけど」

「そうね、個人差はあるけど平均すると30くらいじゃない? 強い人はもっといってるけどね」


 は? なんじゃそら。私の倍どころじゃないやんけ。

 んあー、ちきしょう。でもいいもんね、私にはすっごい装備の補正があるから!

 全然負けてないし! 結局は総合力が大事なんだよ!


「装備やスキルの補正もあるから、ステータス上の数値って実は参考値だけどね。お、自動査定完了っと。葵ちゃん、今日は大収穫だねえ。はい、58,500円ね」

「……おう」


 ご、ごまんとか。数字がでかすぎて、逆に何していいかわからん!

 えっと、とりあえず牛丼は余裕で食えるよね。でもって、着替え買って、銭湯行って、それでそれで、えっと、まだ全然余るよね?

 やば、私ったらすでにお金持ちの仲間入りでは?


「最低5万円から貯金できるけど、どうする?」

「はい? 貯金?」

「そ。預かるだけで利子とかつかないけどね」

「利子? なんなん?」

「葵ちゃんは知らないことばっかりだねえ」

「うー、利子くらいわかるわ。でも、とりあえず今日は全部持ってくよ。買いたい物いっぱいあるから。そんじゃまたー」


 外に出たら、ちょっと考えて牛丼屋に向かうことにした。

 やっぱ牛丼よ、牛丼。おいしいからね。

 お腹いっぱいにして、今日は気分よく寝よう。


 明日もまた、がんばるぞい。

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