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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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新進気鋭の花園、進化中!

 サブクラスをゲットした私は、以前にも増してめっちゃ強い。

 それはもう、つよつよすぎて我ながら反則だと思うくらい。


 しゃにむに悪鬼となった私のクラススキル『黒縄こくじょう』が火を吹くぜ!


 遠くに見えたシマウマっぽいモンスターを狙ってスキルを発動すれば、ぬるっと『黒縄』が地面から飛び出して絡みつく。

 赤く焼けた魔法の縄がシマウマくんを縛り上げて、大した時間もかけずに光の粒子へ変えてしまった。


「うおー、やっぱつえー!」


 消耗がちょっと大きいなと思うだけの威力はある。あれで倒せないモンスターがいたら逆にやばいわ。

 あの縄は骸骨くんなら一瞬で倒せるのに、動物とか虫とかのモンスターにはちょっと効きにくい感じがする。まあすぐに倒せるっちゃ倒せるけど。もしかしたら骸骨くんにめっちゃ効くスキルなのかも。


 基本的に私はモンスターに近づいて、ハンマーで殴るかブーツで蹴って戦うから『黒縄』の出番はあまりない。それでもすばしっこいモンスターを倒すのに便利だし、遠くから攻撃できるのがいい。


 私の場合、魔法の矢の命中率が悪いし、山賊のクラススキルにあんまり出番がないからね。使いどころのちゃんとある悪鬼のスキルは嬉しいわ。


「葵のそれは強力かつ使い勝手がいいな。特に距離の制限がないのは素晴らしい」

「あんま遠いと疲れるから、そんなバンバン使えないけどね。距離のことなら、銀ちゃんのほうがすごいじゃん」

「遠距離への攻撃能力が私の取り柄だからな。そこで負けてはいられんさ」


 銀ちゃんは前から射撃の腕前がものすごかったけど、レベル20になってからさらにパワーアップした。


「射程距離だっけ? スキルのお陰でそれがぐっと伸びたんだよね?」

「そうだな。ダンジョン内の環境にもよるが、以前は300メートル程度の距離なら必中の自信はあった。それがスキル『一望千里』と『弾丸操作』によって、1,000メートルどころか2,000メートル級の距離でも、動かない的ならほぼ確実に撃ち抜ける。集中する必要はあるが」


 そんなことを言いながら、銀ちゃんは魔法の狙撃銃でシマウマくんを次々と仕留めていた。すごいもんだわ。


「スキルのお陰で遠くまでくっきり見えんだよね? そういや銀ちゃんて、メガネかけてるじゃん。目はよくなってないの?」

「あくまでスキルを発動した時に、遠くが見えやすいというだけだ。狙撃には便利だが、平時の視力が改善するわけではない」

「へー、そんなもんか」


 シマウマくんの首を撃ち抜いた弾丸が、どう考えても不自然な軌道で別のシマウマくんまで倒してしまう。撃った弾の軌道をある程度変えられる『弾丸操作』の効果だけど、使いこなしているっぽいね。

 ただでさえ射撃の腕前がすごかったのに、あれはもう反則だわ。マジすごいわ。


「わたしは魔石の回収しちゃいますね」

「ありがとー、頼んだよ」


 リカちゃんがお手軽に魔石を集めてくれるから、たくさんモンスターがいても楽ができる。魔石の回収って地味に大変だからね。ホントに助かるわ。

 いざという時にはごっつい盾を構えて壁になってくれるし、リカちゃんは縁の下の力持ちだね。


「そろそろだ。まゆが接敵する」

「ツバキはそのちょっと後ろから援護するっぽいね。いまのトコ、ほかの群れは大丈夫そう?」

「近くの群れは、まどかと瑠璃に任せておけばいい。このまま様子を見ていればいいと思うが……ついでだ、別の群れも倒しておくか」


 マドカと沖ちゃんのふたりも、いい感じに犬っぽいモンスターたちと戦っている。

 モンスターの注目を集めるスポットライトのスキルを使って、沖ちゃんがおとり役になって大立ち回りをしつつ、マドカが2本のバトンを駆使して凶暴な犬っぽいのを殴りまくっていた。安心感あるいいコンビネーションだね。



 さてと、始まったね。やる気全開のまゆまゆが、ツバキと組んでモンスターに戦いを挑む!

 キャバ嬢っぽいの謎の防具がトレードマークのまゆまゆが、見慣れないナイフを構えて、カバっぽいモンスターの群れに突っ込んだ。


「なにあれ? あんな武器持ってたっけ?」


 しかも普通の持ち方とは違う、逆手? に持つスタイルだよ。あの持ち方をするだけでプロっぽさがすごいある。めっちゃカッコいいわ。


「あれは最近になって買ったものだ。ただ以前から敵に近づかれた時、まゆはナイフを使う。葵たちと組むようになってからは、使う必要がなかっただけだ。意外と上手いものだぞ」

「ほうほう、そうなんだ」


 これまでパーティーで戦っていて、まゆまゆが武器を使う場面は全然なかったはず。そうなるようにしたフォーメーションだから、当然なんだけど。思えば魔法系のスキルを使うところしか見たことないわ。


 あれ、でも普段から練習もしてないのは変だよね。もしかして、隠れて練習してるとか?


 とにかく、毎回助かるのはやっぱり『耐性喰い』のスキルで、あれの効果があると思えば、攻撃と防御の相性をあんまり気にせずに済む。それを使った上で、さらに『酩酊の濃霧』や『毒針術』、『麻痺針術』で敵を弱らせてくれる。


 いまも毒針と麻痺針をバラまいているっぽいね。カバくんたちの挙動がおかしいわ。

 そこをナイフを構えたまゆまゆが、足を止めずに走り抜ける。


 よく見えないけど、スパスパ切り裂いているっぽい。でもあれだと巨体のモンスターはなかなか倒せない気がすると思いきや、切られてかちょっと時間の過ぎたカバくんたちが、続々と横倒しになってもがき苦しみ始めた。


「注いだ魔力に応じて、痛みを増幅させるナイフらしい。まゆの場合は切り付ける痛み以上に、毒ダメージの苦痛増幅が有効なのだろう」


 うわー。カバくんたら、もがき苦しみながら光の粒子に変わっていってるわ。


 なかなか上手なナイフさばきと動きだねと思ったけど、ここはダンジョンの第二十五階層だ。本当なら格上の階層だし、モンスターもやられっぱなしとは違う。

 カバくんの群れが意志を持ったかのように、まゆまゆから一斉に離れたと思ったら反転した。ぐぐっと急カーブを描きながら、スピードに乗って走る。巨体の重さと勢いで攻撃しようってことかも。数もいるし、近くで見たら迫力ありそう。


 ところがどっこいだよ。


「つばきの呪符か。あれも滅多に見ないが凄まじいな」


 先頭を突っ走るカバくんに呪符がすっ飛んでいって貼り付いたと思ったら、カバくんが火だるまになって勢いを失った。

 さらに次々と呪符が乱れ飛んで、カバくんの集団は丸ごと呪いの炎に包まれた。そして数秒くらいで火が消えると、カバくんたちも一緒に消えていた。


 呪符は消耗品だからなるべく使わないと言っているツバキだけど、毎日のように呪符は作っていたからね。めっちゃたまっていると思う。

 たまには使わないと腕が鈍るから、まゆまゆのナイフもそうだけど今回はいい機会になったかも。


 それにしてもだよ。やっぱ私たちったら、なかなか強いわ。

 でもまだモンスターはたくさんいる。ここからだね。

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