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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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ハンターとしての日常!

 私たちのクラン『絶望の花園オルタナティブ』こと花園は、楽しみつつ毎日を生きている。

 それはそれはもう、がんばっている!


 次々とダンジョンアタックを繰り返し、いろんなダンジョンの環境を経験すること。そしてお宝探索や、たくさんモンスターとの戦闘経験を積んでいく。


 みんなで新しいものを見たり、新しいことやる毎日はやっぱり楽しくて面白いわ。


 ついでに、いい感じの稼ぎスポットを探すことも大事な目的のひとつ。

 効率がよくても特定の場所でずっと戦っていれば飽きるし、新しい発見もなかなかできない。ゆくゆくは稼ぎスポットローテーションが組めるようになるのが理想だね。


 いまはそうやって第二十五階層まで到達したら、また次のダンジョンへと挑むのだ。


 ただ、みんなやる気があるのいいけど、最近はちょっと気合が入りすぎかもしれない。

 ペースとしてはだいたい2週間に3つのダンジョンを攻略する勢いで続けていて、もういくつのダンジョンを制覇したのかわからなくなってきたくらいだよ。


 あの『ベリーハードモード』の発表から、たぶん1か月とちょっとが過ぎている。

 精神的ライバルのフロレゾの奴らが調子に乗っているのを見ているからか、みんな負けん気の強さが出ちゃってる感じだね。


 私は全然気にしてないけど、世間ではまだ騒がれているらしい。ハードモード系スキルの効果や、第五十階層への進出とか、ハンター業界が提供する話題はそれに関連して事欠かないのだとか。毎度ニュースをチェックしているマドカと銀ちゃんは大変そうだわ。


 ほかの奴らのことはいいとしてだよ。

 私たちったら、ダンジョン攻略しまくっているのに、まだ新たなサブクラスをゲットできない!

 銀ちゃんの時にもそうだったけど、そろそろレベル上がるんじゃね? と思ってからが長い。めちゃくちゃ長い。


 次はたぶんツバキがレベル20になれるはず。いま同じレベル19のマドカとまゆまゆも、サブクラスゲットに近づいているはずなのに、なかなかその時がやってこない。


 もういくつダンジョン制覇したんだよってくらいにがんばっているのに、レベルアップはまだ遠いっぽい。

 やっぱりなるべく深い階層で、集中してモンスターを倒しまくらないとそうそう上がらないわ。


 むしろ私のレベルが21に上がってしまったよ。

 でもさすがにツバキは、そろそろ上がると思うんだよなー。



 そしてやってきました。本日のダンジョンアタック!

 東京ではそこそこ人気のあるらしい上野ダンジョンだけど、山とか森が多くて私は好きじゃない。山賊系のクラスになる可能性は、ちょっとだけでも少なくしたいからね。


 でもここへのアタックも今日で終わり。もう次で第二十五階層に到着だ。

 あとは転送陣に登録だけしたら、ここも制覇だよ。毎回思うけど、終わってみれば早いものだね。


「動物型モンスターとの戦いにも、だいぶ慣れましたね」


 最後の階層に向かって階段を下りながら、沖ちゃんが手ごたえを感じたのか嬉しそうにしている。


「そうだね。動物は変な動きするのが結構いるし、めっちゃ速かったりパワーもあったり、ちょっと癖があるわ。それに比べたら骸骨くんのほうが余裕だよね」


 上野ダンジョンは動物みたいなモンスターばっかり出るから、嫌でも慣れていく。

 動物は最初は珍しくても同じような動きを繰り返すのが多いから、私はそんなに苦戦しないかな。沖ちゃんは剣士だから、人型以外はあんまり得意じゃないのかも。その割には普通に戦えていた気がするけどね。


「本来、群れるモンスターは脅威なのだけどね。あたしたちは神楽坂でモンスターに囲まれるのに慣れているから。そういう意味の戦闘経験は豊富よね」

「たしかに多数との戦いに自信はありますね。今回のダンジョン巡りは、いろいろ勉強になっています。それでも虫型には慣れませんが」


 ホントそう。巨大で凶暴な虫とか、戦うどころか見るのも嫌だわ。

 虫が出まくるダンジョンは経験がどうとか関係なく、みんなの意見もあってなるべく避けている。あんなもん見るのも嫌だからね。

 それでもちょろっといるくらいのダンジョンには、がんばって挑戦している感じだ。それだけでも偉いよ、私たち。


「なあ、あと少しだけやっていかねえか?」

「物足りないか? 引き上げるにはちょうどいい時間だが」


 えっと、いまは夕方の5時半くらいか。


「前の銀子の時と同じだ。アタシとつばきとまどか、レベル19から上がりそうで上がらねえからよ。第二十五階層なら稼ぐにはちょうどいいだろ?」

「そうですねえ。転送陣ですぐに帰れますし、第二十五階層なら報酬も魅力があります。わたしとしては、あまり長引かなければ賛成です」

「うちも、厄介なモンスターさえいいひんなら」

「あたしもいいわよ。なるべく早くサブクラス取りたいし。まゆが言い出さなければ、あたしが言ってたわ」

「私も異存ありません。動物型ともう少しやるのもいいと思っていたところです」

「皆がこう言っているが、葵、どうする?」


 今日が終わったら、また次のダンジョンは第一階層から。上層だと経験値は全然稼げないから、レベルアップのお預けはそれだけ長引く。いい加減にバシッと決めちゃいたいのはわかるよ。

 私だってみんなのサブクラスがどうなるか、気になって気になって仕方ないし。もうずっと気になってるし。でもねー。


「いいけどお腹減ったし、みんな疲れてるよね? だから1時間だけ! そんだけやってレベルアップしなかったら、今日はあきらめるってことでいい?」


 無理はしないよ。最近は天剣とかフロレゾに影響されて、張り切りすぎてヤバいことになったハンターの話をよく聞くからね。

 てゆーかお腹減ったし。あんまし長くはなれないよ。


「よっしゃ。1時間もやれりゃあ十分だ。どうせなら、やり方も変えてみねえか? アタシもたまには前に出ねえと腕が鈍っちまう」

「それもいいと思うが、次の階層の環境やモンスター次第だな。まずは移動しよう」



 階段を下りきった先の第二十五階層は、明るくてちょっと暑いフロアだった。

 全体的に広々とした草原で、木がポツポツ立っているし、大きめの川もいくつか流れている。こういうのって、サバンナ? なんかそんな感じだね。

 それにモンスターがたくさんいる。あちこちにいっぱい群れを作っているわ。


「うおー、めっちゃモンスターいるじゃん。ここはいい稼ぎスポットになるね」

「そうね。それに障害物が少ないだけあって、見晴らしがいいわ。モンスターの数は……どれだけいるのかしら?」

「群れごとに散らばってはいますが、戦闘が始まれば集まるでしょうね」


 モンスターだから実際の動物とは全然違うけど、特定の種類に似た感じには分けられる。たくさんの種類のモンスターは、どれも草食動物っぽい感じかな? 

 全体的にウマっぽいとかシカっぽいかと、そんな感じだね。サイズ感はデカめではあるけど。ただ上の階層で戦ったことのあるモンスターばかりだから、特に苦戦はしないと思う。むしろ割と余裕あるかも。


「まゆまゆ、イケる? そういや、まゆまゆが敵に突っ込んで戦うトコって見たことないわ。前に出るって、どんな感じでやんの?」

「葵たちには見せたことねえな。まあ見てろ。そうだな……あっちの川べりに、カバみてえなのがいるだろ? 20匹くらいか。あの群れをアタシとつばきで片付けるから、別の群れを近づけねえようにできるか?」

「いいよ!」


 いつもはサポートに徹してくれるまゆまゆだって、たまには暴れたいよね。


「つばきはアタシの援護だ。できるよな?」

「うん。そやけどうちも、ぎょうさん倒す」

「いいじゃねえか、その意気だ」


 近頃はずっとダンジョンアタックを繰り返しまくっているから、本当なら私たちよりも格上のはずの第二十五階層でも普通に戦える。パーティーとしての連係がよくなっただけじゃなく、それぞれが強くなったよね。

 レベルの数字が上がらなくたって強くなれる! やっぱ私たちいい感じだわ。


 さてと。周りのモンスターを適当に倒しながら、まゆまゆとツバキの戦いを応援しようかね。

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