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いつもより見えます

 吹っ切れた。せっかくいいものゲットしたんだから、使ってなんぼです。

 見た目的に弱そうな女子が強そうな装備を持っていたら、絶対にいちゃもんつけられる。でもソロダンジョンなら、人目を気にする必要がない。

 つよつよ装備を存分に使い倒してやる。


「無双じゃーーー!」


 私のステータスは並以下の低いものだけど、装備のステータス増強能力を考えれば、総合的にはかなり盛られているはずだ。身分証の数値では見えないけど、たぶん盛られていると思う。

 装備を身に着けた状態だと、あふれるパワー感と動いた時のスピード感がもう全然違う。これぞまさしく全能感!


 慣れないパワーとスピードには、ネズ公をぶっ殺しながら少しずつ体を慣れさせていく。

 十数匹も倒せば、振り回されていた力に徐々に慣れるのだから、人が順応する力というのはものすごい。

 あ、これは戦闘技術を向上させてくれるとかいう、瀬織津姫せおりつひめの指輪の効果かも?


 なんにしてもイイ感じだ。

 新米や弱いハンターは、上層と呼ばれる第一から第十階層までの探索を推奨される。つよつよ装備を手に入れたいま、第二階層や第三階層のモンスター如きに恐れをなす必要は、たぶんない。

 ちょっと痛い目をみるまでは、ガンガンいってやれ。


 無人の通路を小走りに移動しながら、ネズ公を次から次へと葬り去る。

 高く飛びかかってきたのはハンマーで殴り、足元にきたのはブーツで蹴っ飛ばす。

 光の粒子になったら、落とした魔石を即座に回収。


「ひと粒で300円、まいどあり!」


 めっちゃ稼げる。すでに余裕で万はいってるはず。

 ネズ公の攻撃を受けてみて、魔法学園っぽい服の防御力を試したい気持ちはあるものの、テキトーにやっていても攻撃を受けることが全然ない。

 防御性能が試せない! でもわざと受けるのは嫌。

 ゲットした装備が強すぎて、あまりに楽勝すぎる。


 あと普通に私自身も強くなっている気がする。

 ステータスは低いけど、戦闘技術的な? どんどん戦いに慣れていっている感覚がある。これもきっと装備のお陰です。ありがたやー。

 いまの動きを血肉に変えていけば、装備頼りとは言えなくなる気もする。なんかやれそうな感覚がムクムクと湧いてくる。これも装備の効果かな。


 とにもかくにも、この強さならもっといけるよね。

 より深い階層に進んだほうが、もっと稼げる。


「うーん、だだねえ」


 命の危険がほぼないと言えちゃうこの第二階層で、楽して確実に稼げる現状を変える必要性が、あまり感じられない気もする。

 私はダンジョンハンターとして成功したいとは、いまのところ思っていない。


 最初はご飯代だけでも稼げれば、それでよかった。

 それがこうして少し稼げるようになると、次は最低限の身の回りの物、身綺麗にできる物もほしくなった。

 いまなら絶対に悪くない稼ぎになっているはず。


 そういえば私はホームレスだ。

 でもこの調子で魔石を集められるなら、衣食住はきっと足りるようになる。第二階層で必要十分どころか、余裕のある生活さえ望み得る。

 300円、300円、300円、300円、ほらもう1,000円超えた。


 気になるのは、すでに三桁近いモンスターを倒しているのに、まだレベルアップしないこと。

 レベルは5毎にステータスが大きく上がり、良さげなスキルを習得することが多いと聞いた。お金稼ぎと同時にレベル5にアップするのが楽しみでやっているのに、どれだけ倒せば上がるんだろうね。


「ふう、ちょっと疲れたー」


 身分証でレベルをチェックしつつ休憩をはさむ。


「レベル上がんねー。いちいち気にしてても仕方ないか」


 気にするはやめよう。気づいたら上がっていた、くらいがきっといい。

 下がりつつあったテンションを強引に高めるため、思い切り走り出す。

 ネズ公を倒しながら、フロアをぐるっと回ればそれなりの数を倒せる。そうしてから、もう一度チェックしよう。



 脚と腕が疲れて重くなってきたころ、気づけばフロアを回り終えていた。

 壁に寄りかかって少し休憩だ。


「ういー、ネズ公退治もう飽きた!」


 もしレベルが上がっていなくても、今日は店じまいにしよう。

 よし、身分証チェックタイム!


「たのむぜよー」



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

レベル:5

クラス:―

生命力:10

精神力:10

攻撃力:10

防御力:10

魔法力:10

抵抗力:10

スキル:ウルトラハードモード/ソロダンジョン/武魂共鳴/毒攻撃/星の糸紡ぎ

クラススキル:―

加護:弁財天の加護



「ステータスオール2アップ! 大幅上昇って嘘じゃん。やっぱ私弱いわー」


 めっちゃがっくりきた。なんだよ、おい。


「でもって、また謎スキルきた。スキル名だけなら、ゴミっぽくはないかな」


 むしろカッコイイ感じだ。

 私はステータスは弱いけど、スキルと装備には超絶恵まれている。これもいい予感!


「えっと『星の糸紡いとつむぎ』さん、頼みますよ」


 身分証を眺めながらスキルを発動させてみれば、すぐに効果がわかった。

 手にした身分証の空白を埋めるように、記述が増えている。これはスキルを発動した私だけが見える現象っぽい感じ。



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

レベル:5(レベル上昇に必要な経験値:729)

クラス:―

生命力:10(+200)

精神力:10(+325)

攻撃力:10(+400)

防御力:10(+400)

魔法力:10(+425)

抵抗力:10(+375)

運命力:526

スキル:ウルトラハードモード(試練を与える。ダンジョン難易度の上昇、難易度に応じた報酬獲得率アップ、成長率が難易度相応に変化)

:ソロダンジョン(専用のダンジョンに入ることができる)

:武魂共鳴(装備品が使用者と結びつき、レベルに応じて成長する)

:毒攻撃(攻撃時に毒ダメージを与える)

:星の糸紡ぎ(星魂紋の詳細が可視化される)

クラススキル:―

加護:弁財天の加護(魅力・芸術能力・財運アップ。五頭龍をソロ討伐し弁財天に認められた証)



 なんかいろいろ増えた。

 運命力とか出てきたけど、わからんもんはわからん。でもまあ、いろいろわかって便利にはなったね。


 次のレベルまでの数値が見えるなら、ネズ公を一匹倒してみれば簡単に計算できる。これはめちゃ便利。

 ステータスのプラス補正は、もう完全につよつよ装備の効果で間違いない。


「強すぎるわ。そりゃ無双もできちゃうわー」


 あとで一般的なレベル5のハンターが、どのくらいのステータスなのかお姉さんに聞いておこう。


 意味不明だった謎スキルが、なんとなくでも効果がわかるようになったのもでかい。

 スキルの『ウルトラハードモード』はたぶんやばいやつ。


 変だなと思っていたけど、ダンゴムシくんがめちゃ硬かったのって、やっぱりこれのせいだ。ゲットした装備が超絶性能なのも、絶対にこれのお陰。普通じゃないし。

 取れる魔石が全部高品質のなのも、高難易度ダンジョンの強さマシマシモンスターから回収しているからだよね。


 そして、弁財天!

 ありがたや、ありがたや。財運アップがやばすぎる。

 貧乏生活からは、完全におさらばですわ。これ。


 やっぱ私ったら、結構な豪運かも。

 ひゃははっ、勝ったな! もっと稼ぎまくるよ!

 お金、お金!

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