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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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ふたり目の節目!

 クランとして正式に活動を開始した、私たち『絶望の花園オルタナティブ』は今日も元気に活動予定だ。

 労働のお出かけまでは各自で好きに過ごすけど、意外なことにお寝坊さんはいない。みんな結構早起き!


 私は朝の日課にしているお庭の散歩に繰り出して英気を養うことが多い。お金持ちに相応しい優雅さは、日頃からの積み重ねが大事だし、クランハウスのバラのお庭は気に入っている。


 マドカと銀ちゃんは朝っぱらから、ずっとニュースをあれこれチェックするのが日課になっているけど、いつも難しそうな顔をしている。ありがたいけど大変そうだよ。必要だからやってくれると思うけど、私には絶対ムリだわ。すごいわ。


 ツバキは消耗品の呪符を作っていることが多く、そうでなければ沖ちゃんと護身術の練習をしている。沖ちゃんは基本的に庭で素振りをやっているし、朝から活動的なふたりでいい感じだ。


 まゆまゆとリカちゃんは自由で、私と一緒にお庭に出ることもあれば、ニュースのチェックや護身術の練習に参加することもある。そうでなければ朝から長風呂をしたり、本を読んでいたりと、その日によって違う。気まぐれな感じかな。


 それぞれで朝の時間を過ごし、決まった時間にロビーに集合するのが私たちの決まり。

 ダラダラしない姿勢が、とってもいいと思う。


「今日から高円寺ダンジョンよ。だけど、あそこは攻略に時間かかりそうよね」

「別名、鏡のダンジョンでしたか? 聞いただけでも大変そうですねえ」

「たしかに、厄介なイメージはあります。鏡面状の大きな鉱石だらけと聞きますからね」

「この中じゃあ、誰も行ったことねえんだろ? 楽しみじゃねえか」

「攻略法も地図もある。多少、困ることはあっても詰まりはしないだろう」


 ダンジョン荒らしを始めてから、もう1か月ちょっとかな。今日でたぶん6つ目のダンジョンだ。

 当然だけど、目標にした第二十五階層までの踏破を繰り返しているだけではない!


 移動だけだとつまらないし、いろいろな経験を積むことも目的になっている。だから上層はともかく、中層からはちゃんとモンスターを倒しながら進んでいる。

 でも、全然レベルが上がらない。やっぱり集中してモンスターを倒しまくらないと、ウルトラハードモードはレベルが上がりにくいわ。


 私はもう銀ちゃんのサブクラスがどうなるのか、気になって気になって仕方ない。

 当の銀ちゃんは平気な顔をしているけど、内心はドキドキしているに違いないよね。さすがにね。

 クラス『崖っぷち債鬼』が、どんなサブクラスをゲットするのか、早く知りたいわ!



 さらに5日後。私たちは鏡のダンジョンの環境にちょっと苦戦しながらも、第二十五階層に到達してしまった。

 ところが銀ちゃんのレベルはまだ上がらない。もう、まだかよって思ってしまう。


「ちょっとさ、レベル上げしない? あと30分くらいは時間あるよね?」


 ダンジョン巡り中は、基本的に夕飯の時間前には終わるようにしていた。長く活動をするためには無理をせず、地道にやっていくほうがいいととみんなに言われている。

 でもたまに、ちょっとがんばるくらいはいいはず。今日はそんな気分だ。


「そうね。ギンコのレベルアップが近いと思うし、あたしはいいわよ」

「だよね! あと30分だけやって、上がらなかったらまた明日ってことで。銀ちゃん、いいよね? ちょうどモンスターいっぱいいるし」

「正直に言えば、私も気が気でない。皆がよければ、もう少しやっていこう」


 鏡のダンジョンは、富山のガラスの森ダンジョンの劣化版みたいなダンジョンだと思う。

 ここは常に昼のダンジョンで、鏡みたいなつるつるの大きな岩に光が当たって眩しく、岩がたくさんある場所だとめちゃ迷いやすい。それでもガラスばかりで超眩しいあそこに比べたら、全然余裕だ。モンスターも別に強くないし。


 集中して変な動物っぽいモンスターを倒し続けていると、30分なんてあっという間に過ぎてしまう。

 ちょうど周辺のモンスターを片づけ終わり、みんなが銀ちゃんに注目した。言わなくても通じる。レベルアップしたかどうか、みんなが聞きたいのはそれだ。


 次元ポーチから黒いカードを取り出した『崖っぷち債鬼』が、あえてなのかゆっくりとした動作で確認し始める。

 銀ちゃんは表情が動かないから、レベルアップしたのかどうかわからん。もっとリアクションしてくれないと。


「銀子、どうなんだよ。レベル上がったのか?」

「……ああ、上がった」


 マジかよ、やった! 自分のじゃなくても、すっげーわくわくするわ!


「うおおーっ、サブクラスゲットー! どんなんなの? ねえねえ、どんなサブクラスなの?」


 やっと私たちのクランから、サブクラス持ちがもうひとり! 気になって気になって仕方ないわ。

 もう全員が気になっているからね。銀ちゃんの周りにみんな集まって、この大イベントにわくわくしている。

 黒いカードを見つめながら、銀ちゃんが口を開く。


「私のサブクラスは……『束縛断つ魔導射手』だ」

「おおーっ、まどー射手! よくわからんけど、カッコいい感じじゃん!」


 狙撃銃と拳銃を使って戦う銀ちゃんは、まさに使っている武器にちなんだサブクラスをゲットした形だね。

 それにしてもちょっとカッコいい感じのサブクラスじゃない? 特に枕詞がさ。


「葵のような、獄卒系のクラスではなかったですね」

「なかなかイカしたサブクラスになったな。なんだよ、つまんねえ」

「スキルは? ギンコ、スキルはどうなったの?」


 そうだよ、レベル20みたいな節目だとスキルを覚えやすいって聞いたことがあるし、何かしらのクラススキルは絶対に覚えているはず。それも気になるね。


「見せたほうが早いな、これだ」


 普通なら身分証の見せ合いっこなんてしないけど、もう私たちは運命共同体の仲間だからね。こういうのって、なんかいいよね。

 遠慮なしにカードを受け取って、みんなで順番に見ていった。



■星魂の記憶

名前:大蔵銀子

レベル:20

クラス:崖っぷち債鬼

サブクラス:束縛断つ魔導射手

生命力:199

精神力:180

攻撃力:106

防御力:88

魔法力:182

抵抗力:79

スキル:変装/体力超人/魔力倹約/一望千里

クラススキル:債務追跡/静止の蛮声/偽計直感/弾丸操作

加護:―



 ほうほう、やっぱサブクラスがめっちゃカッコいいわ。

 あとたしか、レベル20の平均的なステータスは120くらいと聞いた気がする。銀ちゃんのステータスは、なんとなくそれよりは上っぽいね。


「スキルは『一望千里』『偽計直感』『弾丸操作』が新しいものだ。検証してみなければ詳しいことはわからんが、総じて悪くはなさそうな印象だ」

「むしろ、いい感じのスキルじゃねえか?」

「債鬼と魔導射手らしいスキルですね、銀子さん」

「次はまた新しいダンジョンに移るわ。上層からスキルの確認をしつつ、進んでいけるわね」


 とにかく、なんかいい感じっぽい。変なクラスじゃなくて、よかったよかった。

 これでふたり目かー。まだなにも試せてないけど、どんどんパーティーとして強くなってきた感あるわ! そんな予感するわ!


「よーし、お祝いしようよ! 今日は銀ちゃんのお祝いで、次からも順番に。サブクラスゲットのお祝いなんて、何回やってもいいからね。てゆーか、私の分も含めてだよ!」


 私の時にはクランの設立準備やらがあって、お祝いなんか忘れていた。改めて考えると、ちょっと寂しいわ。


「そいつはいい。どこでやる? 銀座あたりに繰り出すか?」

「あ、雪乃さんも誘おうよ。クランメンバーなんだし。どうせなら、詩乃さんと綾乃さんも誘いたいよね?」

「雪乃さんはともかく、あのふたりはもう帰る頃じゃない?」

「そっかー。じゃあ、今日のところは8人で!」

「ふふ、いいですね。ではとりあえず、わたしたちのホーム『花園』に帰りますか」


 みんなでテンション高くダンジョンから出て、いったん帰ることにした。

 今日はお祝いだ! この記念すべき夜に、なにを食べようかな?

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