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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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緊急ミーティング!

 クラン設立の書類を綾乃さんに託した次の日。

 私たちはいつものようにダンジョンへ、とはいかなかった。

 それというのも私のサブクラスが『しゃにむに悪鬼』になったからで……。


「どう思う? このままだと、あたしたちも悪鬼になる可能性あるわよね?」


 いただいま緊急ミーティングが開かれていて、主催はマドカだ。そのマドカがやけに真剣な顔で、みんなに聞いている。


「それはアタシも考えたが、葵とは戦い方が違うからな。悪鬼なんてクラスは聞いたこともねえし、少なくともアタシが悪鬼になる可能性は低いと思ってる。銀子はどうだ?」

「私もまゆと同じ考えだ。悪鬼になる可能性があるとすれば、この中では瑠璃だけだろうな」

「はい? 私ですか?」


 みんなの視線が沖ちゃんに集まる。

 というか、みんななんか感じ悪くない? 悪鬼にはなりたくないみたいにさ、カッコいいのに。


「そうですねえ。瑠璃ちゃんは、葵ちゃんに影響を受けていますよね。討伐数もだいぶ伸びているんじゃないですか?」

「戦闘スタイルが以前と比べ、少しずつ前のめりになっている。後ろから見ていればよくわかる」

「サブクラスは基本的に、初期クラスとは違った系統になりやすいとは聞くけど……ルリはやっぱりアオイと同じ地獄の悪鬼系統になるのかしら?」


 沖ちゃんのクラスは『逃亡さんぴん侍』だったね。

 いまの沖ちゃんは初期クラスを取った時とは全然状況が違うだろうし、サブクラスがどうなるかは未知数のはず。別に悪鬼になったっていいだろと思うけど。


「私は悪鬼や獄卒の類でも構いません。実際、葵のスキルは強いので」

「そうだよ! みんな地獄の悪鬼系でいいじゃん。強いし」


 なんの文句があるんだよという私の極めて真っ当な主張に、どうしてかみんな黙ってしまった。なんでよ。


「……葵姉はんは、あそこで倒してるモンスターの数がけた違い。そやから、うちらは悪鬼にはならへん思う」


 私はソロの頃から神楽坂ダンジョンで戦いまくっていた。無限湧きのモンスターとだって戦ったことがある。倒した数なら誰にも負けないと思うし、まさにけた違いだろうね。


「ツバキの言うとおり、かもしれないわね。でも、あたしとしては少しでもリスクを下げたい気持ちよ。パーティーとして考えた時に、サブクラスはばらけていたほうが対応力も上がるし」

「クラススキルだな? それは言えている」

「たしかに、全員が葵ちゃんと同じとまではいかなくても、似たような系統では困りますねえ」


 まあ、それはそうかも?


「ではダンジョンを変えますか? 神楽坂ダンジョンでなければ、どれだけ戦っても地獄の悪鬼のようなクラスにはならないと思います。ただ、あの環境やモンスターに慣れてきたところですし、稼ぎの効率がよいのにもったいない気はします」

「そうなんですよねえ」

「アオイ、神楽坂以外のダンジョンだと、中層の深いところまでは行ってないのよね? だったら、ほかにも効率のいい場所があるかもしれないわ」


 それもまあ、あるかもしれないね。


「ほいじゃあ、いろんなダンジョンに行ってみる?」

「あたしはそれがいいと思うわ。焦る必要はないのだし、いろいろ試してみるのもありじゃない?」


 パーティーの人数も能力的にもいい感じになったことだし、そういうのもたしかに面白そう。ふんふん。


「多種多様なモンスターと戦ったほうが、戦闘経験も対応力もより身につきそうですね」


 あー、それもそう。自分なりにいつも工夫はしているけど、いろんなモンスターと戦ったほうがいいに決まってる。クランハウスの練馬ダンジョンに挑むときには、そうした経験が大事になるだろうし。


「いいんじゃねえか? もしかしたら、もっと稼ぎやすい場所だって見つかるかもな」

「それに今後を考えた時に、神楽坂以外の選択肢がいくつもあって損はないですしね。わたしもいいと思います」

「じゃあ近場の各ダンジョンで、ひとまず第二十五階層まで制覇して回る、というのでいいかしら?」


 みんなオッケーみたいだ。それなら私としても文句ない。


「あ、でも虫系のモンスターが出るトコは嫌だわ。そういうダンジョンだけは避けようよ」

「それについては異存ないわ。さっそく今夜、夕歌さんに相談してみるわね。マユ、あとで車出してくれない?」

「いいぜ」

「どうせなら全員で行くか。どこを回るかリスト化できれば、今後の目標も立てやすい」

「あちこち回るのも楽しそうですよねえ」


 リカちゃんが言うように、普通にあちこち回るだけでも楽しそう。

 クランの申請も出したことだし、盛り上がっていい感じだよ。

 私としても骸骨くんを倒すのは飽きていたし、新たな稼ぎスポットの発掘は望むところだね。



 あれこれと準備をする関係で、今日のところは暇になった。

 緊急ミーティングはいったん解散となり、どうするかなーなんて考えていると、


「なあ、まどか。例のお前の元同僚って奴ら、その関係のニュースは見たか?」


 私と同じく暇なのか、残っていたまゆまゆがスマホを見て切り出した。ちょっとデリケートな話題じゃない?


「ええ、なにを言われるかわかったものではないから。気は進まないけど、確認はしているわ」

「本当かどうか知らねえが、奴ら始めたばかりのくせに、かなりの活躍みたいだな?」

「そうらしいわね」

「気に食わねえな。そう思わねえか、葵」

「わかってるねー、まゆまゆ。クランを作ったからには、そいつらぶち抜いてやるわ!」


 よく知らないけど、とにかく私の仲間にちょっかいかける奴らは、みんな敵だからね。

 マドカに戻ってこいなんて、ふざけたことを言った奴らだから、きっと性根の腐った奴らだよ。卑怯なことして、自分たちで追い出したくせに。

 本当ならぶっ飛ばしてやりたいところだけど、クランランキングで上回るだけで許してやる。仕方なく!


「もう、そんなの気にしなくていいわよ」

「ダメダメ! 活躍してるんだよね? 絶対、調子に乗ってるわ。またなんかやってくるって」

「そういうのは放っておけば、つけ上がるだけだ。ランキングで格の差ってもんを教えてやろうぜ。すぐには無理でも、まあいずれな」


 なにかニュースの中で、まゆまゆを燃え上がらせるようなことが、いろいろ書いてあったっぽい。

 マドカは平気なフリをしているけど、ムカつくものはムカつくはず。

 少しでも気が晴れるように、なるといいよね。そのためにも、みんなでがんばっていこう。

 そう思いながら、なんとなく首元のフォーチュン・オルタナティブに触れていた。


 うおおーっ、幸運を授けてくれたまえー!

 すっごい幸運よ、たのむたのむ!

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