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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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131/215

ねんがんのレベルアップ!

 やれることは全部やった。

 最初はひとりでがんばって、次にマドカとツバキと一緒にがんばって、さらに銀ちゃんたちを加えてがんばった。

 そうやってずっとがんばって、フォーチュン・オルタナティブの幸運まで手に入れた。


 頼れる仲間を集めたからには、もうはぐれ者とは全然違う。

 戦ってきた環境的に、山賊や海賊になる余地はないと思っているし、盗賊系のクラスはたぶんないはず。

 江戸の町風ダンジョンでずっと戦っていたから、きっと和風のカッコいいサブクラスになる。絶対、そうなる。


 メジャーっぽいクラスの侍系や忍者系は、私にはちょっと違うかなと思っているし、具体的には想像できないけど、それでもなんかいい感じの戦士系クラスになれると思う。


 あれだよ、タマトタケルとか? スサノオのなんとか?


 伝説の戦士とか侍みたいな人にあやかった、すっごいやつ!

 和風ならひょっとして、大名とか将軍とかもあるんじゃない?

 そんな感じになれるよね、今度こそ。いや、マジで。


 人事を尽くして天命を待つとは、いまの私の状態のこと。超がんばった!


 もうこれ以上、やれることはない。断言できる。

 いざ、レベルアップの時。サブクラスをゲットするぞ。



 神楽坂ダンジョン第二十五階層での戦い方は、この前のでコツはバッチリつかんでいる。

 でっかい銃声で100匹くらいの骸骨くんをおびき寄せては、そいつらをぶっ倒しまくる。たぶん、あとちょっとやれば私はレベルアップする。

 どうしても緊張しちゃうけど、やるしかない。立ち止まってはいられないからね。


「今日はアオイのレベルアップを確認したら、クランを作るためにすぐ動くわ。これでいいわね?」

「うん、それでいいよ。雪乃さんにもそう言ってあるし」


 どうせやるならクランランキングを駆け上がりたいからね。

 今日は私のレベルが20になったら、そこで引き上げだ。クランハウスに戻って、クラン設立申請の最後の準備をする。なんか本格的にハンターっぽい感じになってきたわ。


 仮に……もしも仮に、納得できない変なクラスになったとしても、悲しむ時間なんかもったいない。そんな暇があったら、上級クラスを目指すのみ。そう決めた。

 うあー、でもやっぱ緊張するわ。


「じゃあ、さっさと始めようぜ」

「我々のクランか。今日はひとつの転換点になるな。では、始める」


 大きな銃を構えた銀ちゃんが、ドカンと一発ぶっ放した。

 号砲が地獄っぽい江戸の町に鳴り響き、たくさんの骸骨くんが向かってくる。

 いまのところ、特に異常はなさそう。想定どおりの数だし、変なモンスターが混ざってもいないね。

 ちょっと拍子抜けな気はするけど、サクッとやれて損はない。サクサクいくぞ。



 前回の経験もあって、戦いに慣れた私たちはスムーズに敵を倒しまくる。

 サポートと攻撃を分担し、こんなに効率よく戦えるパーティーがどれだけいるのかちょっと疑問に思う。レベルの高いほかのパーティーの戦いをどこかで見物してみたいものだよね。


 よし、集中だ。敵の位置を常に捉え続け、次の行動のための準備を惜しまない。

 仲間の位置と戦いぶりにも気を配り、それでも私自身の戦いからも気を抜かない。

 斧を適当にぶん投げ、必殺のハンマーを振り回し、隙あらば骸骨くんの足を蹴って行動力を奪う。

 ほんの少しの無駄も許さない戦いぶりが、私の真骨頂なんだよ。


 がんばったから強いんだよ!

 だから頼むよ、なんかすごいクラス!

 来たれ、なんかすごいクラス!


「うおおおーーーっ、なんかすごいクラスーーー!」


 高まる気合いを叩きつける。

 私の心意気とすごいクラスへの渇望を、この世界に示せ!

 骸骨、骸骨、骸骨、ぶっ壊せ! どんどこ、どんどこぶっ壊せ!


「オラオラオラ、オラーーー!」


 ――成敗、完了。


 重量感のあるハンマーさんをドスンと肩に担ぐ。

 暴れまくって熱い衝動をちょっとは発散できた気がするね。


「片付いたわね。アオイ、どう?」

「ちょっと待った! うん、ちょっと待ってよみんな」


 視線を集めながらも、深い呼吸で心を落ち着ける。

 倒したモンスターの数からして、レベルアップはたぶんしていると思う。

 レベル10になった時以来……いやいや、あの時以上の緊張感がある。わくわくの期待が半分、どきどきの不安が半分。


 深呼吸、深呼吸。よーし、よしよし。

 もう迷わないって決めたからね。いくぞ。


「ふいー、じゃあ見てみるよ」


 いいね? 見ちゃうよ?

 みんなの顔を一度見まわし、ポーチから身分証を取り出した。

 手で隠すように持って、まずはチラ見。



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

レベル:20(レベル上昇に必要な経験値:1,282,728)

クラス:はぐれ山賊



 うおおー、レベル20に到達!

 よしよしよし、ここまではいいね。

 緊張のあまりに目を逸らしてしまったけど、クラスの次にサブクラスが刻まれているはず。そう聞いたからね。

 サブクラスを実はゲットできなかった、なんてことだってあるはずないからね。バチッと刻まれたに決まっている。


 いまだけ、いまだけはまだ好きに妄想できる。

 なんかすごいクラス! 超絶すごいクラス! 私はきっとなれている! そうなったはず!


 でもなー。

 見てしまったら、そこで確定なんだよね。もう決まっちゃうんだよ!

 次の上級クラスまで、めっちゃ遠いんだよ!


 うわー、やっぱ見るのこえー。

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― 新着の感想 ―
あー!焦らしますねえ!
ふふふ、はぐれ山賊の次は……?
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