表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/216

レベルアップ前最後の準備

 ちょっとだけ難しくなった気がする、第二十五階層での戦いをコツコツ繰り返す。ひたすらがんばる。

 みんなのがんばりもあって、もう少しで私のレベルはアップしそうになっている。


 記念すべきレベル20の節目だから、気になってちょこちょこ確認してしまう!

 どうにもこうにも落ち着かないわ。

 もう少し。そのもう少しで、サブクラスをゲットできる。


 でもここに至って思う。ホントの本当に、このままレベルアップしていいのかな。


 後悔はしない、よね。

 ホントに大丈夫? マジで?


 あー、やっぱ、ちょっと待って!

 いったん落ち着くべき。急いては事を仕損じるとかなんとか、そんな言葉があったはず!

 というわけで、


「よーし、今日は終わりね!」


 本日の労働に感謝を!

 ちょい強めのモンスターを相手に、私たちはよくがんばりました。とてもえらい、すごい!


「終わり? アオイ、まだ早いわ。コツがつかめたところだし、もう少しやっていかない?」

「そうだな。あと1時間はやれるだろ。それにもう少しでレベルも上がるんじゃねえか?」

「だからだよ、まゆまゆ。私の鋭い女の直感がさ、いまじゃないって告げているんだよ」

「……葵姉はんの、直感?」


 この世に祈るべき神様はいないけど、せめて仏様には祈っておきたい。今度こそ、たのんます!

 いやいや、祈るだけではダメだね。どうにかして、運気を高めたい。ほんのちょっとでも。


「あ、そうだよ。フォーチュン・オルタナティブ! あれで作ったアクセサリーって、そろそろできなかったっけ? そんな感じじゃなかった?」

「所有者に幸運をもたらす宝石、紫翠変石か。あれを持った状態でレベルアップしたい気持ちはわかるな。梨々花、今朝雪乃さんと話していなかったか?」

「はい、明後日にはクランハウスに届けられると言っていましたねえ」

「ちょうどいいじゃん! まさにそれだよ」


 わざわざ山梨まで原石を取りに行ったのは、こういう時のため。いまの私に必要なものだよね。

 追加でたくさん取ったやつは、原石から磨き上げてネックレスにしてもらうべく、雪乃さんがどこかのお店に預けていた。


「後悔はしたくないですからね。私は葵に賛成します。自分の時にも持っていたいですから」

「だよね、沖ちゃん! みんなだってそうだよね? どうせだからね」

「そういうことなら仕方ないわね。あたしもレベルアップの時には絶対ほしいわ」


 カッコいいクラスの獲得は、私とマドカががんばる原動力のひとつだ。

 どうなるにしても、やれることは全部やってその時を迎えたい。

 ふー、勢い任せでレベルアップしちゃうところだったわ。あぶねー。



 ダンジョンからクランハウスに帰り、次の日は休みにした。

 レベルアップとサブクラスが気になって気になって、気が休まらないし、遊びに出かける気もいまいち起きない。

 リカちゃんとまゆまゆは買い物に出かけたけど、その他のメンバーは午前中は適当に過ごしつつ、暇な午後はみんなで護身術のお稽古をやって一日を終えた。


 そして、さらに次の日。

 なかなか眠れなくて、うだうだした挙句の果ての睡眠。

 結局、お昼を回ってから起きてしまった。横になったまま少し反省していると、部屋のドアをノックされた。


「アオイ、入るわよ」

「ういー」

「まだ寝てたの? いつも早いのに、珍しいわね」


 とりあえず起き上がるとしよう。勢いをつけて身を起こし、ベッドからも出た。


「ちょっと待ってて。顔洗うわー」


 のそのそ洗面所に移動する。目を覚ますべく、冷たい水で顔を洗ってスッキリ爽快!

 タオルで乱暴に顔をぬぐえば、いつもの私だ。


「んあー! ちょっと寝つき悪くてさ」

「サブクラスのこと?」

「そうそう。期待と不安でうわーって感じ? マドカだってレベル20に近づいてるし、そんな感じじゃないの?」

「まあね。でもなるようにしかならないわ。それに、あまり悪い予感はしていないの。こっち、座って」


 言われて鏡台の前に座ると、ブラシで髪をとかしてくれる。

 誰か人にやってもらうのって、なんか気持ちいいんだよね。


「あ、そういやマドカは『第六感』のスキルあるし、その予感はバカにできないね」

「恩恵をあまり感じないスキルだけど、こんな時ばかりは心強い気はするわね。あたしの場合は、さすがにいまのクラスよりは悪くならないだろうし」


 うん、それはそう。どん底アイドル崩れ、なんてひどいクラスより悪くなる可能性なんてないわ。そんなもんあるわけないわ。


 そういう意味だと、私もそうかも。パーティーを組むようになったし、山のような場所ではほとんど戦ってない。

 つまり、はぐれでも山賊でもない、まったく違うクラスになることは決まったようなもん!

 不安な気持ちが急に晴れ渡ったような気がする。さすが心の友、いいことを言ってくれるわ。


「なんか私もよさげな予感してきたよ。そうだ、フォーチュン・オルタナティブって届いたのかな」

「それを言いに来たのよ。雪乃さんがさっき受け取ったって」

「やった、予定どおりだね」


 これでレベルアップの準備はできた。心構えもできた気がする。


「今日はこのあと、どうするの?」


 もうお昼を過ぎているね。いまから着替えてご飯食べて、神楽坂まで移動してダンジョンとなると、時間的に中途半端な感じがするわ。どうせやるなら、朝からバッチリ始めてからレベルアップを果たしたいよね。


「とりあえずフォーチュン・オルタナティブかな。どんなのになったのか早く見たいわ」

「そうね。じゃあ、あたしは先に行ってるわ。いつもの応接室にみんなもいるはずだから」

「わかったよ」


 マドカが部屋を出ていき、私もささっと着替える。そしてささっと移動。

 するとテーブルの上に、綺麗なネックレスがたくさん並べられているのが目に入った。


「葵さん、おはようございます」

「おはよー、雪乃さん。これ、めっちゃ綺麗じゃん!」


 原石の状態とはもう全然違う。形を整えて磨いたせいか、元々小さかった石がもっとちびっちゃくなってしまったけど、輝きが別物になっている。

 銀色のよくわからんシャレたチェーンもあいまって、高級感もすごいある。なんかすごい!

 みんなも私を待っていてくれたのか、まだネックレスを配ってはいないらしい。


「では皆さんそろいましたので、こちらをどうぞ。クランメンバーの証にするということでしたので、デザインも石の大きさもほぼ同じです。クランマスターの葵さんから、皆さんにお渡ししてはどうですか?」


 なんと。それはいいね。

 おそろいのアイテムで結束感も強まり、おまけにフォーチュン・オルタナティブは幸運を授けてくれる特殊効果付きだからね。

 とってもいい感じだよ!


 やばいわ。すごくいい予感してきたわ。もう超絶すごいクラスになる未来が見えたわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 困った時の神頼み…という訳でもないですが、事前に出来る事があるなら万全の状態にしときたい葵ちゃんの気持ちは分かりますね。 良いサブ職業がゲット出来るのを期待してます! それでは…
どんなクラスになるのかワクワクが止まらない( ´ ▽ ` )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ