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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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10/210

専用ものは売れません

 マジックバッグを手に入れて、手荷物を気にする必要がなくなった。

 こうなると貧乏性を発揮してしまい、放り捨てたはずのぼろのスニーカーだって回収したくなる。


「回収、回収っと」


 ハンマーとブーツでダンゴムシくんを抹殺しまくりながら、無人の第一階層を駆けずり回る。

 もう数十匹どころじゃない数を倒した気がする。ポケットに入った、ひと掴みにもなるビーズ大の魔石は、精算したらいくらになるだろうね。

 達成感があるからポケットに入れていたけど、いい加減に邪魔になってきた。魔石は腰につけたマジックバッグにざざっと入れてしまおう。便利、便利。


 気分よく倒しまくったおかげで、単調なダンゴムシくん討伐作業も全然苦にならなかった。

 そろそろレベルアップしたかな?


「どれどれ。お、上がってる。やった!」



■星魂の記憶

名前:永倉葵スカーレット

クラス:―

レベル:4

生命力:8

精神力:8

攻撃力:8

防御力:8

魔法力:8

抵抗力:8

スキル:ウルトラハードモード/ソロダンジョン/武魂共鳴/毒攻撃

クラススキル:―

加護:―



 ちょっと調子に乗りすぎた。レベル3どころか、レベル4になってしまった。

 相変わらずステータスの伸びがヘボすぎる気がするけど、そこは仕方ない。ソロダンジョン装備でカバーしていこう。


「またスキル増えてるし」


 私ったら結構な強運では?

 よく知らないけど、なんか強そうなスキルを覚えてしまった。

 昨日のお姉さんの話によれば、たしかレベル5毎にステータスの上昇幅が伸びたり、新たなスキルを覚えることが多いらしい。個人差はあるみたいだけど、私はハンターとしての運はよさそうだからね。次のレベルアップが楽しみでならない。


 それにレベルが10まで上がれば、クラスを取得できるのだとか。いわゆる剣士とか魔法使いみたいなクラスが、死ぬほどいろいろな種類あるらしい。

 スキル運のよさそうな私なら、クラスもすごいやつを取れそうな気がする。早くレベル10になりたいね。


 このまま第二階層に行くかーと思ったけど、お腹減ったしいったん戻ろう。

 魔石がたくさんとれたから、ご飯代くらいは稼げたはず。やばい、意識したらめちゃお腹が。

 早く帰ろ。


 ハンマーとブーツをバッグに突っ込んだら、ぼろのスニーカーに履き替えてダダっと駆け戻る。

 軽快な足取りで長い階段を一気に駆け上がり、ダンジョンを脱出。体中にみなぎる力が、ダンジョンから出たことによって即座にしぼむ。仕方ないけど、この感覚は好きになれない。


 さて、いまは昼くらいなのに、早朝よりも人が少ない。やっぱりこのダンジョンは過疎だ。

 急に姿を現した私にぎょっとする人がいたけど、そんなのは気にしない。


「戻ったよ、おっさん」


 ガラガラのカウンターで書類仕事をしていた、朝にも会ったおっさんのところで用事を済ませる。


「菊川です。お疲れ様です、永倉さん」

「はいはい、魔石買い取って」


 バッグに手を入れて、ガッとつかんでトレーにザラザラっとぶちまける。


「これはまた、随分たくさん取ってきましたね。話には聞いていましたが、高品質の魂石ばかりのようです」

「高品質とか言っても10円でしょ? まあ私にとってはその10円が大きいんだけどさ」

「高品質の魂石は、普通そんなに多く取れません。これはやはり永倉さんのスキルの影響でしょう」

「よくわかんないけど、これに関してはラッキーだったわ」

「くれぐれも、スキルのことは信用のおける人以外には、口外されないことです。では精算の前に身分証を預かります」


 ほいほいっと。

 レベルが上がって覚えたスキルについて聞いてみたい気はしたけど、なるべく秘密のほうがいいもんね。


「永倉さん。気になったのですが、それは次元ポーチですよね。まさか第一階層で入手されたのですか?」


 そりゃ気になるよね。ダンジョンに入る前には持ってなかったし。


「昨日のお姉さんには言ったんだけど、レベルが上がって『ソロダンジョン』てスキル覚えたんよ。そのお陰だね。あ、ちなみにこれは売らないよ?」

「そういうことですか。ちなみにですが永倉さん、ソロダンジョンで手に入れた装備品は基本的に売ることができません」


 はい? なんだそれ、それは困るでしょ。

 いらん物をゲットしたら、バンバン売っ払いたいし。お金にしたいし。


「なんで?」

「そのポーチをよく見てください。赤い葵の葉のような模様がありますよね。それはおそらく永倉さんの星魂紋せいこんもんの印です。ソロダンジョン産のアイテムには、必ず発見者の星魂紋の証が刻まれ、当人以外には使用できなくなります。だから売れないのですよ。私も実物を見るのは初めてですが」


 そういうこと? だったらハンマーやブーツにも、この葵の葉っぱのマークがあるのかな。気にしてなかったけど。

 でも奪われる可能性が減るなら、それはそれでいいのかな。


「そっか、そんじゃ仕方ない。とりあえずレベル上がったから、次から第二階層に行くよ。地図ある?」

「上層の地図とモンスターの情報は、まとめた冊子がありますので、あとでお渡しします」

「ほーい」

「ちなみにダンジョンで何か異変はありましたか?」

「うーん、特に?」


 ちょっとだけ待たされてから、魔石代1,430円と冊子を受け取った。

 久しぶりに紙のお金を見た気がしてテンション上がる。

 これはささやかな贅沢をしてもいいのでは?

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― 新着の感想 ―
主人公どうやって生きているんだ本当に……ユカリノーウェさんもそうだけど強い人だ。
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