話
20
「悠佑くん?」
夏目が学校に来てから数日が経ったある日、樹と学校帰りに寄り道をしているところ、悠佑は奈月と再会した。高校入学前に会ったきり、久しぶりの再会だった。悠佑は声をかけられても、一瞬彼女が奈月だと分からなかった。奈月は眼鏡をとり、髪もおろしていたからだ。彼女が眼鏡をかけ、三つ編みをしている理由を聞いていた悠佑は驚いた。あの頃も十分美人だったのに、さらに磨きがかかっている。通り過ぎる人達もちらちら奈月を見ている。悠佑と奈月の様子を見て勘付いた樹が声をかける。
「もしかして、椎名奈月、さん?」
「そう、椎名奈月さんです。もしかしなくても、月城樹くんだよね?」
悠佑が恥ずかしそうに頷くのを見て、奈月が嬉しそうに笑う。
樹は自分のいない中学の頃の悠佑を見ている気がして、嬉しくも、もやもやした。でも悠佑は奈月との再会をとても嬉しそうにしているので、そんなことは言えるわけがない。
「そういえば、この前夏目くん、悠佑くんの高校に来たでしょ?ひどいこと言ったみたいで、本当にごめんね」
奈月は申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。
「あれ、何で奈月ちゃんがそのこと知ってるの?」
奈月から夏目の名前が出たことに驚いた。悠佑からは奈月に連絡していないので不思議だ。
「私、夏目くんと同じ学校なんだよね~」
「え⁉」
あははと頭をかいた奈月に悠佑は叫ぶ。
「いやでも、そうだとしても椎名さんが謝ることはないんじゃ?」
樹がどこか怒ったような顔をしながら言う。
「確かにそうかも。でも…実は夏目くんと付き合ってるんだよね。だから他人事とは思えないと言いますか」
「「えええええええええええええ⁉」」
さすがの樹もびっくりした顔で悠佑の叫び声と重なる。ただただ驚きの気持ちでいっぱいだった。奈月はすこし考えるような素振りをした後、「この後、時間ある?」と誘ってきた。樹と悠佑は頷いて、三人はファミレスに入った。それぞれ注文したものが到着すると、奈月は自分の話しを始めた。




