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アイオライト防衛線 Lv.3(八話)

例え、心が折れてしまっても再び立ち上がらなくてはならない。なぜなら、大切な人たちを守るために

 アンとリードを呼び止めることができなかったルーク。

 一度本部に戻って酒場のことを伝えにいった。

 キャリーとダインはその間、荒らしなどが来ないか、見張りに付くことになった。


「結局、アンリードの情報は聞けなかったな……」


 キャリーは俯きながら話す。


「……」


「なぁ、そっちはどうだった? あいつら、ダインたちに情報を少し話したって言ってたけど」


「……」


 返事がなかなか返ってこない。


「おい、聞いてるのか!」


 キャリーは顔を上げてダインに聞く。しかし、彼はどこかぼんやりとして、心ここに在らずといった様子で空を見上げていた。

 キャリーに話しかけられていたのに、遅れて気づいたダインは、あっと漏らして尋ね返す。


「すみません、聞いていませんでした……」


 熱でも出たのだろうか、先ほどからずっとこの調子で心配になる。


「さっきからずっとぼんやりしてるけど、大丈夫か?」


「え、えぇ、まぁ……」彼は曖昧に答えるが、少し間を開けてから話し始めた。「実は……先ほどの女性のことがずっと気になっていまして……なぜでしょうか胸がすごく熱くなるのです。私、風邪でも引いてしまったのでしょうか?」


 ダインは頭を悩ませていた。人生初の未知なる感情に動揺している。

 隣にいたキャリーに尋ねてみたが彼女もそんな思いなど分からない。


 一日中、上半身裸で本当に風邪でも引いてしまったのか心配していた。おでこを触ってみたが、特になんともなさそうで彼女も首を傾げる。

 二人して何も言わずに考え込んでいるとルークが他の兵士を連れて戻ってきた。


「ん? どうしたんだ、そんなに考え込んで?」


「実は……」


 ダインは先ほど話したようにルークに話した。すると、彼はあー、と大きく頷いてから、優しくその気持ちの正体を教えてくれた。


「それは多分、恋だな。どこかで惚れただな?」


 首を傾げながら尋ねるが、兜の下はどこかウキウキとしていた。

 ダインは恥ずかしげに頭を下げる。


「いいんだよ。恋をしたって。俺は応援するぜ!」


 しかし、ダインは浮かない顔をしていた。先のことを考えていろいろ不安になったらしい。


「また、会えるでしょうか……話しかけるのすら緊張します。それに……」彼は口ごもる。「私は弱い。力があってもそれを扱う勇気がまだないんです……」


 筋骨隆々の巨大な体をしたダインがいつになく弱腰だった。

 彼は自分を弱いと言うが二人からしてみれば、この中で一番強そうに見えるのはダインだ。

 ルークはため息をこぼしてから言う。


「いいか、ダイン。勇気ってのは意思と行動で生まれるもんだ。誰かを守りたいそう思って動いた時、人は大きく羽ばたくんだ。弱い人間だろうが豪傑だろうが同じだ。俺は大切なものを守りたいと思ったらシルバー様すら倒してみせる。何がなんでも大切な人たちを守るために」


 彼の言葉を聞いてキャリーは、ルークの背後にたくさんの人たちの姿が見えた気がする。

 メアリーやファイアナド騎士団のみんなの様な何かを彼から感じ取った気がした。

 固い決意あるいは、大切な思いが彼の中にあるのだと思った。


「だから、ダイン、さっきも言ったが先輩として俺は、応援しているぜ」


 ルークはダインの肩に手を置く。

 キャリーもダインを尊重したい思いがあった。


「あたしも! ダインのことを応援しているよ!」


 ルークにも負けない声で彼女は言った。

 兵士たちに地下の酒場を任せた後、三人は博物館まで戻る。


 燃え上がる様な赤い夕陽、街並みに黒く長く伸びた影、長い一日がもう少しで終わりそうだった。

 バシレイア国立博物館の中に入ろうとする。

 上半身裸のダインは警備の兵士にまともや止められてしまう。


 仕方ないのでキャリーはダインのそばで一緒に待つことにした。

 しばらくして、ルークが戻ってきた。ただ、どこか浮かない様子で何か言いづらそうに頭を押さえている。


「どうしたの?」


 尋ねてみると彼はため息をついて、今日の依頼は終わったことを伝える。


「隊長に報告した。まぁ、予想通りの反応だったよ……今日のところは俺もお前らももう仕事はない」


「あんたもここで警備をするんじゃないのか?」


 思わず首を傾げる。

 ルークはアイオライトコンパスを警備する兵士じゃないのか、それならここに残って監視の目として働くものだと、キャリーは思っていた。


「残念ながら俺は警備しないんだ……調査の結果も悪かったしね……」


 浮かない顔を浮かべている様に見えた。

 今回の調査は失敗で終わった。

 アンリードに接触したが逃げられ、キャリーは情報屋に捕まる。


 その情報屋は壊滅した。

 大きな失敗はないがとても、やるせなさを感じる。

 だが、彼は気持ちを切り替えて手を叩く。


「さぁ、一緒に調査をしてくれたお礼に、奢らせてくれ! もちろん、今夜笛が鳴ったら飛んでいくぞ。アンリードかもしれないからな、その時は任せたぞ」


 キャリーとダインの背中を押しながら博物館から離れていく。

 こんな風に終わってアンリードは無事に捕まえることはできるのかキャリーには疑問が残る。


 しかし、アンリードは夜が明けても来なかった。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

おやおや? ダインが恋の病にかかりましたね。

ルークもキャリーも応援してくれるなんて嬉しいですね。

ルークは先輩風を吹かせて励ましていました。

彼にはアレッサと言う美人な妻がいます。

二人の出会いはルークがまだ、訓練生時代だったかな。

アレッサは貴族の令嬢でしたがある事情で命の危機に。

バシレイアの兵士たちに保護してもらいました。しかし、

暗殺者の魔の手がアレッサに襲い掛かる。

彼女を守ったのが当時、訓練生のルークでした。

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