表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/176

アイオライト防衛線 Lv.3(三話)

 例え、心が折れてしまっても再び立ち上がらなくてはならない。なぜなら、大切な人たちを守るために。

 外に出たルークは、まず何をするのかキャリーたちに伝える。


「俺たちは、これから近辺調査を行う。何か質問あるか?」


 一瞬、間を開けてダインが聞く。


「ルークさん、アンリードの盗みが入る事が分かったと言うことですが、何か、予告上が来たのですよね。見れたりしますか?」


「内容の写しなら、一様、手元にあるぞ。本物は流石に中の警備の人が保管しているが」

 と言いながら紙切れを一枚取り出した。


 ダインはそれを広げてキャリーにも内容がわかる様に読み上げる。


『今夜、バシレイア国立博物館に保管されているアイオライトコンパスをいただきに参る

 アンリード』


 内容を聞いたキャリーは中身の方も気になって覗いたが、特に変なものはなかった。


「一様、魔法使いにも見せたが何にもないそうだ。無味無臭、魔力ゼロ」


「手がかりゼロじゃん。どうやって見つけるの?」


「そんなの……」


 ルークは黙り込む。突然、片足を上げて軽く叩いてみせた。


「足を使って聞き込みだよ」


「なるほど! いいですね! 私もそろそろ体を動かしたかったところです」


 ダインはノリノリだった。さっきまで散々駆け回ったのに、とキャリーは思う。

 三人はトコトコと歩き始める。

 行き先がよく分かっていないキャリーとダインが前で歩いている。


 諸々の理由でルークが遅いのだ。


 キャリーは祝福の力と天真爛漫な性格なため普段から歩くスピードが他よりちょっと早い。

 ダインは、体の大きさと足腰の筋肉により歩幅が大きくて歩くのが早いのだ。

 ちなみに現在、ルークは早歩きを強いられている。


 歩き初めて、しばらく立ってからルークが前のめりに姿勢を崩した。


「ちょ、ちょっと待て……」


「おや、ルークさんもうばててしまったのですか? まだ、聞き込みは始まってもいませんよ」


「お前らが早すぎるんだ……」


 ぜーはーと息を上げる。


 ハテナと二人は首を傾げた。

 こんな事を話しても埒があかないとルークはすぐに気づく。

 他人の感覚なんて分かりやしないのだ。


 息を整えてから横の路地を指差す。


「あと、向かうのはあっちだ」


 ルークが指差した方は暗い路地で、微かに煙臭い匂いが漂ってくる。

 建物の横に木箱が置いてあり、その上に三人の男がタバコを吸って、鋭い目で日の当たるこっちをジッと見ていた。


 ルークが最初に中に入っていく、その後をダインが続いて行った。

 最後にキャリーが足を踏み入れた時、どこからかゾッとする様な視線を感じた。


 慌てて辺りを見渡すが、目の前の三人の男たちとその下の木箱以外特になかった。

 なんだったのだろうかと思っているキャリーにダインが声をかける。


「どうしました?」


 すぐには答えられなかったが、なんでもないと思い首を振って答えた。


「ううん、すぐいく!」


 キャリーは怪しい匂いが香る裏路地に入って行った。


「ねえ、今はどこに向かってるの?」


 行き先がまだよく分からないキャリーは一番前を歩くルークに聞いた。


「この近くに酒場がある。うちとは違ってあんまり表立って動かない奴らがよく集まるところで、そこならアンリードの情報を聞く事ができると思ってな」


「酒場ですか、久しぶりに飲みたいですなぁ」


 天を仰いでダインは言う。


「旅に出る前は兄とよく飲んでいましたよ」


「それなら、うちで飲む事をおすすめするよ」とルークはさりげなく言う。「向かってる店は、値段と品質が合ってないものが多いんだ。そういや、あんたは北の国から来たんだよな?」


 こくりと頷く。


「ええ、私の国では度数の強い酒が多いので、飲めたら嬉しいですが……値段という単語を聞いて諦めようと思います……」


 大きなかたを縮こませるダイン。


「あはは、それなら、やっぱりウチで飲んで行きなよ。一杯だけなら奢るぜ」


「いいのですか!」


 ビシッと背中の筋肉が引き締まるのがキャリーには見えた。


「キャリーは……ジュースがあるからそれを飲むといい」


「水でいいよ」


「水はダメだ。タダなんだから……」


 ポカンと口を開けてから俯きながら頷く。


「そうだね。じゃあ、あたしはリンゴジュースがあったらそれをもらうよ……」


 彼女の心の中で金属が擦り合う様な歯がゆい気持ちを思い出す。

 ギュッと胸を押さえ込んだ。


 キャリーは決してあの日の出来事を忘れることはできない。あの和やかな光景も悔しさや悲しい出来事も決して……

 でも、今は静かに胸のざわめきが過ぎ去る事を願う。

 もし、この瞬間、話しかけられたら隠していたものが全部出てきちゃいそうだった。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

どこの世界線も大抵は、足で聞き込みなのかもしれません。

にしても、ルークは足が遅いですね。いいえ、他二人が早いだけなんです。

体の大きさで歩幅が大きいダインに祝福と天真爛漫な性格のキャリー、この二人は旅人でもあるのでどうしても、早歩きになってしまいます。

キャリーの事を天真爛漫と言いましたが、心の中は気が気じゃないと思います。

何せ、敵と一緒に行動してるんですから……

「キャリー・ピジュンの冒険」に興味を持ってくださったら、

ブックマーク、評価を付けてくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ