表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/126

北からやって来た、筋肉モリモリマッチョマン Lv.1(二話)

 依頼人や冒険者が仕事を受けにやって来る。


「あれ? いつもの嬢ちゃんはいないのか?」


「はい、急な用事でしばらく休むみたいで……」


「そうか、頑張れよ……」


 常連から労いの言葉をもらった。

 しかし、ムグレカには去り際の顔が喪失感を感じさせている様に見えてしまう。

 この間にも、まだ書き終わってない、依頼書作成を続ける。


「お兄さんや、荷物を届けてもらいたいんだが」


 お婆さんが配達の依頼にやってきた。


 普段は、ミラが受付、ムグレカが事務作業と手分けしているが、一様ムグレカも受付ぐらいは出来る。


「お届け先は、どちらでしょうか?」


 お約束の様にスラスラと聞く。しかし、お婆さんの方は、慣れておらず何処に届けたいのかうまく教えられずにいた。


「えっとね……あそこだよ、あそこ、ええっと何処だったかな……」


 そんな風に考え込んでいる横で、冒険者が声をかける。


「小型モンスターの討伐依頼、受けたいんだけど!」


「はい、ただいま! お婆さん、この紙に宛先を書いてください」


 ムグレカは、冒険者の方に向かいながら依頼ができたことを証明するための証明書の紙を取って渡した。かと思ったが、ちょっとしたミスをしてしまったらしい。


 証明書をもらった冒険者は紙を見て首をかしげる。


「なぁ、依頼書と証明書の内容違うんだけど?」


 まさか、と思い見てみると確かにそうだ。振り返って急いで正しい証明書を探す。


「お兄さん! お兄さん! 分かったわぁ! 北門近くの花屋の隣! 孫が今そこに住んでるの」


 依頼を出しに来たお婆さんが叫ぶ。


(あそこか……)


 少々お待ち下さい、と言って証明書を引っ張り出す。


 今度は間違っていない。


 渡す紙を間違えたのをすぐに気づいてもらえていたが、このまま進んでいたら面倒なことになっていた。


 ちょっとしたミスとして収まったが、やらかした自分の不甲斐なさに許せずムグレカは余計にテンパってしまう。


 急いで次にやる事を意識して動く。その時、助っ人がやって来た。


「ムグレカ! ミラ姉に頼まれて手伝いに来たよ!」


 綺麗な金髪に、黄色い瞳の少女。

 誰よりも早い彼女の名前は、キャリー・ピジュン。


「すまん、鞄を取りに行ってたら遅くなった」


 キャリーは、他のお客さんを交わして、受付所の前に立った。


「で、あたしは何をすればいいの? 今ある依頼全部こなすとか?」


 首を傾げながら聞く。

 ムグレカが口を開く前に隣にいたお婆さんが話しかける。


「じゃあ、この荷物を息子に届けてくれないかい? 場所は北門近くの花屋の隣さ」


「うん、分かった」


 満面の笑みで受け取った、かと思ったら、外に出て、雷のあとを残して高速で消えてしまった。

 仕事を直接、振らないでくれと頼もうと思った矢先に受け取って届けに行ってしまう。


 これじゃあ、正式な依頼にできないので、お金も保証も出せない。


 頭を抱えてため息をつく。


「お婆さん、次からは、手続きが済んでから頼んでください」


「あら、そうだったの? ごめんなさいフフフ」


 悪気ない微笑みがムグレカをイラつかせる。


(堪えろ、堪えろ、こう言うのはザラにある)


 自分に言い聞かせた。


 お婆さんが帰って行った後、店が落ち着いた時、キャリーが戻って来る。


「で、次は何をすればいい?」


 元気な少女は首を傾げて聞く。


 ムグレカは、しばしの休息をキャリーにどう指示するか考える事に費やした。


(いちいち指示を出すのが面倒だ。依頼を全部任せてしまうのもありかも……だけど、正直、そっちよりも受付を手伝って欲しい。依頼を出す方と受ける方を同時にこなすのは大変だ)


 こくりと頷いて指示を出す。


「悪いんだけど、冒険者側の受付を手伝ってくれないか?」


「分かった」


 キャリーは、すぐに取り掛かってくれた。そのおかげで、荷物の受け取りに余裕を持ってこなせた。


(これならある程度は、平気かな……そろそろ、今ある荷物を上にウッ……)


 仮の荷物置き場を見たムグレカは、顔を青ざめる。

 本来、おける様に決めたスペースを余裕で越した大小様々な荷物の山がそこにあった。その後の事を考えると恐怖を覚える。


(あれ? もう、こんなに溜まってたの? 嘘だろ!)


 嘘ではなく、現実なのは、彼自身、理解していたが、受け止め切れる気がしなかった。


(あぁ、ミラさん、なんで、休んだんですか? ただでさえギリギリの仕事量なのに……)


 幸い自分の方は手が空いているので、少しずつ上に持っていく事にした。

 はみ出ている荷物を上に運び切った時、一階から物凄い大声が轟いく。


「頼もう! こちらで仕事が受けられると聞いて、やって来た! 私に相応しい仕事はないかね?」

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

キャリーは相変わらず足が早いですね。ムグレカの説明も聞かず、ミラがいた時もよくこんな事があって手を焼いてたかもしれませんね。

最後の声の主は一体誰でしょうね。正直、後書きを自分の感想を書いて使ってるのですが、明日各内容が楽しみすぎます。

「キャリー・ピジュンの冒険」に興味を持ってくださったら、

ブックマーク、評価を付けてくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ