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舞い降りる希望 Lv.5(七話)

 錆色の建物が隙間なく立つ街の屋上で一人、オリパスは敵対する者たちの真ん中に立っていた。

 手には一発しか撃てない銃を二丁ぶら下げており、堂々たる態度で仁王立ちしている。


 前の戦闘で負った傷はまだ、痛みも引いていない。

 それでも彼の鋭く紅い瞳は死んでいなかった。


「嘘だろ……正気かあんた?」


 長銃を持った男が思わず苦笑いを浮かべる。


「別に味方じゃないからいいが、俺たちはあんたを殺そうとしているんだぜ。なのになんで、相手の目の前まで来やがるんだ?」


 男は他の仲間と共にオリパスを取り囲む。

 懐に隠していたナイフを長銃に括り付けていた。

 オリパスは答えるかどうか、一瞬迷ったが、男の公正な精神に見習って答える。


「その武器、最近手にしたんだろ? なら、俺の方に部がある」


「何言ってんですかー? 意味分かりませーん!」


 目の前に立つ女が目を見開きながら長銃を構えた。

 自分を撃つ気なのだろう。しかし、それはできない。

 オリパスはゆっくりと距離を取りつつ歩き始めた。


「いいのか、撃てば仲間に当たるぞ?」


「私が外すと?」


「本当に、本当に当てられるのか?」


 女の自信を折るようにオリパスは食い入るように尋ねる。

 紅い瞳で静かに、見つめた。


 瞳は彼女の心をかき乱す。


 オリパスが言った通りになると思えてきた。

 女の腕が不安で震え始める。

 オリパスの背後には先程、回り込んだ男が立っていた。


 例え、オリパスに当たったとして、弾丸がそのまま進んでいけば当たってしまう。

 そうでなくても、外せばオリパスを仕留めきれず、別の誰かに当たるかもしれない。


 女はジレンマに迷い込んでしまった。


「撃てないのならば」


 背後に立つ、男が言う。


「近づいて殺せばいいさぁ!」


 長銃に括り付けたナイフを槍のようにして、貫き刺しに動いた。


「やはりな……」


 オリパスは背後から近づく男に視線を向ける。

 今までにない程、落ち着いていた彼はすぐに反撃を撃ち込む。


 弾丸は真っ直ぐ飛んでいき、男が持つ長銃の銃口の中へと潜っていった。

 中に入っていた弾丸と火薬に届き、内部破裂が起こる。


 途端に男の長銃は破裂音と共にへし折られてしまう。


「うをぉ⁉︎」


 驚く相手を見ながら、もう一丁を視界の外から近づく女の足へと撃ち込んだ。

 乾いた音と彼女のうめき声が聞こえる。

 白い煙を吹く二丁の銃を手放しながらオリパスは語る。


「スタックタウンでは多くの武器が作られている。だが、その多くは敵に近づかなければならない。この意味が分かるか?」


 まだ、距離を取る者たちを見渡しながら続けた。


「板についたお前たちは距離をとって戦えないんだ。他の工房武器を括り付けているが、その長銃はもっと離れた場所から使うべき道具だろ」


 長銃には今、ナイフや斧の刃先などが銃口の下に括り付けられている。

 彼らも元々は違う武器を使っているはずだ。ならば、使い慣れていた武器に自然と体が動いてしまうに違いない。


 オリパスの予想は正しかった。


 近づいてみれば、彼を取り囲み追い詰めようとする。

 息を合わせて攻撃を仕掛けてきた。


(それなら、俺も合わせればいい)


 オリパスの知略に一本取られた彼らは険しい顔を浮かべる。


「へっ」


 武器を破壊された男が眉間に皺を寄せながら鼻を鳴らした。


「他の人よりも早く使っていたからってマウントを取らないで欲しいな。それに見た感じ、お前が使っている銃は一発限のお粗末な作りじゃねぇか」


 彼の言う通りだ。

 この銃は一発しか撃てない。

 使い終わったから手放した。しかし、何もないと言うのは心もとない。


「たかだか、二丁だけならな」


 オリパスの呟きと共に彼の頭上が暗くなる。

 周囲を取り囲んでいたものが見上げると綺麗な金髪に、眩しいばかりの黄色い瞳でこちらを見下ろすキャリーが、高く飛んでいた。


 高く飛び上がった彼女はゆっくりとオリパスの頭上から離れていき、背後の太陽が見えた。

 オリパスはまっすぐと目を背けず、キャリーの姿をゆっくりと捉える。

 キャリーは鞄を両手でしっかりと抱えていた。


「オリパス、受け取って!」


 水の入ったバケツをぶちまける様に彼女は鞄の中身を全て放り投げる。

 青空にばら撒かれたのは、数多くの形状をした銃だった。


 雨の様に降り注ぐ銃をオリパスはしっかりと認識する。

 彼は一番近くに降ってきた銃をキャッチすると間髪入れずに武装した敵へと発砲した。


「わぁ!」


 続け様に振る。


 銃を掴み、また発砲した。


 取っては撃ち、取っては撃ちと繰り返す。


 一人、また一人と撃っていく。


 弾丸は武器や足にあたり、彼らの動きを封じていく。


 雨の様に降り注ぐ銃をオリパスは使っては捨て、使っては捨てと、繰り返していった。


「なんて量なんだ?」


「一体あの鞄のどこにあんな量が入るんだよ!」


 思わぬ、猛攻に彼らは身を低くして飛び交う弾丸に当たらない様に祈る。

 運良く撃たれなかった男の前に銃がドンッと降ってきた。


 それを見た彼はふと、ある事を思い浮かべる。

 その事をすぐに仲間たちに共有した。


「おい、俺たちも落ちている武器を使うぞ。これで五分五分だ! あれ……?」


 目の前に落ちていた銃を拾おうとした彼らだが、そこには何もない。

 初めから何もなかった様に銃が見当たらないのだ。

 不思議に思った。次の瞬間、男の肩に激痛が走る。


「ウギャァ!」


 ついに撃たれた彼は初めての激痛に悶え苦しんだ。


「クソ! さっき大量の武器が降ってきていたはずよ。なのに、どうして、一つも落ちていないのよ」


 頭を低く伏せた女が叫ぶ。

 周囲を見渡しても、武器を拾えた者は誰もいなかった。


 ピチュン! シュン!


 チカチカと閃光が走る。


 目にも止まらぬ速さで、何かが駆け回っていた。


「なんなのよ……これ?」


 撃ち出される発砲音は雷鳴の様に鳴り響き、オリパスは嵐を起こす竜巻の様に手にした銃を撃ち続ける。


 激しい雨の如く、降り注いだ銃を奪っていくのは、最速で動くキャリーだった。

 手に取った銃は即座に嵐の真ん中へと放り込んでいく。


 オリパスはキャリーが拾ってくれた銃を確実に相手に撃ち出していく。

 動けなくなる様に、武器や足、肩を撃ち抜いていった。


 雨の様にばら撒かれる弾丸とオリパスの返り血、周囲の敵を一掃する様子に敵対していた者たちは次第に戦意を削がれていく。


 オリパスが見せる戦いに彼らはこう思った。

 紅蓮の竜巻の再来だと。


 本来のものよりも遥かに弱く、呆気に取られることがなくても、勝てない。

 対用しきれないと思うほどだ。


 彼らは悟ってしまった。勝ち目がないのだと。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

オリパスの反撃タイム! 僕はキャリーとの連携がずっと見たかったんだ!!

こほん、少し取り乱しましたね……失礼しました。

書いてる時、ぼんやりと思っていたのですがオリパスは中々にタフネスですよね。

オットーが嫌がらせ程度の手加減をしていたとはいえ、それでも動こうとするなんてドン引きです。

彼を見てると仮面ライダーのアルト社長を思い出します。

あ、彼の性格的には照井竜の方があってるかも?

そうだよね、オリパス君。オリパス君?

「俺に質問するな……」(困り顔のオリパス)

「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

是非、ブックマーク、高評価をよろしくお願いします。


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