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舞い降りる希望 Lv.5(六話)

 仲間を集めていたパトロの元を離れたキャリーは、狭い隙間を潜り抜けてガーネットのいる場所まで、最速でやってきた。


 彼女の案内に従い乗ったのは、高速で上へと飛ぶリフトだ。

 グワンッと足元が跳ね上がり、キャリーは一瞬で空高くまで放り出される。

 上層にいたオリパスや、いろんな人が小さく見えた。


(でも、この高さは)


 萎縮してしまいそうな高さだが、キャリーは違う。

 この程度の高さは以前、白竜の背中から飛び降りた時に比べれば、小さな橋の上から下を覗く程度の差だ。


 怖がる必要すらない。


 キャリーは余裕を持って周囲を見渡す事ができた。

 少し離れた場所にオリパスがいる。


 相変わらず、目つきが悪い。


 彼の腕には虎の耳を生やした女性がいた。

 キャリーはすぐにオットーだと気づく。

 オットーとは戦っていたはずなのにどうしてなのか、不思議に思えた。だが、すぐに察することが出来る。


 キャリーの足元の方に目を向けると長い白髪に枯れ木の様に細い手足の男が何人もの長銃を持った人たちを連れていたのだ。

 何がどうなのか、キャリーにはさっぱり分からない。しかし、オリパスの敵がいる事だけは分かる。

 キャリーは鞄からあるモノを取り出す。


 オリパスに投げつけた。


「受け取って!」



 

 突然、空高く飛び上がるキャリーに驚くオリパスだったが、彼女が鞄から取り出して投げてきたモノにすぐに反応する。


 彼女の狙いは少し逸れてしまう。

 危うく逃す前に腕を伸ばしてギリギリ取ることができた。


 手にした瞬間、オリパスは発砲する。

 凝り固まった困難に風穴を開けた。


 ゆらりと流れる煙を吐き出しながら、銃口は真っ直ぐと対象に向いている。

 オリパスに届けられたのは、ラブ&ピース社が開発した銃の試作品だった。


 誰でも使える銃器の開発がモットーのトリガー・コルトが精度を極限まで上げて、どうなるか試す為に作られた物だ。


 弾丸はすでに弾かれ、カニンチェンの肩を撃ち抜いていた。

 突然の事に相手も予測できず、撃たれた反動に引っ張られて倒れてしまう。


「あ、おい!」


「ちょっと、嘘でしょ?」


 リーダーが撃たれたことで長銃を構えていた部下たちは間抜けな声を出して、慌て始める。


「違う、俺の心配じゃない。相手から目を離すな!」


 彼らの心配を振り払う様にカニンチェンはオリパスの方を指差した。

 彼の言う通りだと、部下たちは慌てて武器を構え、標的を狙う。

 引き金を引こうとした。次の瞬間、火花が散った。


 彼らはまだ撃っていない。


「きゃ!」


「うっ」


 強い衝撃で持っていた長銃は弾け飛ぶ。

 オリパスは受け取った銃を放り投げて立ち上がる。

 彼の手にはまた別の銃がすでに握られていた。


「キャリー!」


 ポツ、ポツと滴っていた額の血を拭き取る。

 オリパスは姿の見えない少女の名前を叫ぶ。

 彼女には助けられてばかりだ。


 後悔に苛まれた際も、誰かに刺された時も、どうにもできなかったあの時も、今も、たくさん助けられている。


(いつまでも、あいつに頼りきりなのは、ごめんだ……)


 しかし、強がった所でどうにか出来るわけでもない。

 オリパスはまだ、未熟な自分から目を背けながらお願いをする。


「オットーを頼む!」


 そう叫んだ。次の瞬間、彼の足元にキャリーは姿を見せていた。

 黄色い瞳が真っ直ぐとこちらに向けられている。


 彼女はこくりと頷き、オットーを小さな体で抱え上げた。

 離れて行くのを一瞥してから彼は、立て直そうとする敵の方へ向く。


 オリパスは彼女たちを庇う様に前へと出る。


 新たな銃をキャリーから再び受け取ったオリパスは、自身のボロボロの体など気にも止めなかった。

 敵が体勢を整えた時、彼は文字通り目の前に立つ。


 炯々と紅く輝く瞳に彼らは狂気を感じ取る。

 ブルリと身の毛がよだち、狼狽えてしまうのだった。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

今回のキャリーは皆の元に駆け付けてますね。

やはり、速いは素晴らしい。お前も高速に動かないか?

ドラゴンの背中から飛び降りた時も恐怖とは無縁でした。

吹っ切れたキャリーは無敵ですよ。

「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

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