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三人の逃亡者 Lv.4(六話)

 入り組んだ足場を飛び越えながらジモラは、技術の街を駆け抜けて行く。

 彼の周りを銃が掠め、足元に火花を散らす。


「ムフフ、HAHA」


 ほつれる足に転ばない様にしながら、後ろを振り返る。

 鉄の翼を背負い、空を飛ぶ者や、可変式の武器を振り回して一直線にかけてくる者たちがいた。

 追いつかれると彼ら、彼女らは容赦なくジモラの命を狙いにくる。


 紙一重で交わした。


 可変式の武器は水色のエネルギーを溢れさせている。

 当たったら熱いでは済まない。


 隙があったので刺し替えした。


「うっ……」


 適当にお腹を刺したが、まあ、構うことはない。暇もない。

 ジモラは空から仕掛けてくる鉄の翼集団を避けるために上層から中層へと飛び降りる。


「逃がさないわよ」


 視界の端で、ツナギを腰に巻いた女が何やら無骨な銃を手に呟く。


「くらいなさい! スラッシュブラスター」


 掛け声と共に引かれた無骨な銃からは薄い円盤状の刃物が回転して飛び出してくる。

 弧を描くようにしてジモラへと向かう。


 シャン、シャンと空気とあたりを切りつけながらジモラに襲いかかる。

 綺麗に交わすが、弧を再び描きながら回転する刃は何度もジモラに襲いかかった。


「まだまだ!」


 シャン、シャンと撃ち続ける。

 撃つ手がないので仕方なく、建物の中に入り込む。


「おや、これは失礼」


 駆け込んだ先では、一家団らんの食事中だった。

 ジモラお辞儀をして謝罪する。そして、テーブルに置かれていたフライドポテトの山から一つ戴いて行った。


「うん、これは塩が強めでいいね」


 彼は感想を残して足早に去って行く。

 突然、現れた男に家族は目を丸くしていた。

 だがすぐ後に続けて鉄の翼集団の一人が中へ入ってくる。


「クソが、一体どこに行ったんだ」


 マスクを剥いであたりを見渡す。


 そこには食事の手を止めていた一家がジッとこちらを見ていた。

 男はここにジモラが来たはずだ、と尋ねたが彼らはジッとこちらを見ている。


 返事を待てなかった男は、目の前のフライドポテトに目をやった。


 彼は家族に許可も取らず大きな手で鷲掴みにしてとる。

 頬張りきれない量を口に押し込んだが、次の瞬間、あまりの塩の量に全て吐き出してしまう。


「なんだこのマズいのは? ポテトをここまで不味くするなんてどうかしてる!」


 悪態をついた男にボサっとしていた家族は突然、火が付いたように叫び出した。

 悲鳴を上げながら男に襲いかかる。


 

 意図せず何処かから揚げたての料理の味を感じたジモラ。嬉しくて含み笑いを浮かべる。

 日の照らす道を走っていると一瞬、陰りが来た。


 顔を上げると屋上に誰か立っているのが見える。


 黒髪にツンとした目つきの女。

 ズボンの上から履いたスカートをたなびかせ、銀色に輝くレイピアとボウガンを手にしたていた。


「やぁ、ディフィレア! 会えて嬉しいぜ。さっきぶりだな」


 ジモラは両手を広げながら叫ぶ。

 ディフィレアは何も言わず、小型のボウガンを構える。


「おいおい、なんとか言ったらどうだ? 飾り物」


 言い終わる最中、風を切る音と共にジモラの頬を矢が掠めた。

 熱々の殺気がジモラに向けられている。


「ムフフ、そりゃ、怒るよな。ッチャ、だが、仕方ないだろ? 事実なんだから」


 命を狙われていると言うのに煽るのをやめない。

 むしろ、煽り続けた方がいいのだとジモラ考えていた。

 ついにディフィレアは怒りを抑えきれず声を荒げる。


「あんたのそう言うところが、昔から死ぬ程ウザいのよ!」


「そうかい! なら、死んでくれると嬉しいぜ」


「本当にそうね!」


 ディフィレアはスカートを脱ぎ捨てた。

 風に乗り、ひらひらと荒野へ飛んでいく。


 ズボンには予備の矢が備えられている。

 すぐに次の矢を備え、ジモラを狙った。


 相手が動揺しているとはいえ、当たればひとたまりもない。

 ジモラその場を離れようとした。が、邪魔が入る。


 サウンド工房のギターをぶら下げた野次馬がディフィレアに味方したのだ。

 弦を弾き高音を響かせる。


 動きを止めてしまったジモラの足を彼女は射抜いた。


「ありがとう」


「どーいたしまして、イェーイ」


 感謝とお礼が聞こえる中、ジモラは足を引きずり階段を降って行く。


「逃がさないわよ!」


 ディフィレアはすぐに彼を追いかけて行った。

 階段を下っていたジモラは足を滑らせ転げ落ちる。


 痛みに浸る暇もなく、下から追っ手が登ってくる。

 さらにディフィレアのレイピアが飛んできた。


 ジモラ、追っ手を招き身代わりにする。


「ッ……卑怯者!」


 罵声を浴びせられても今更だ。

 おかしくて笑いが絶えない。


 ジモラは最大限楽しみながら、建物の隙間へと姿を消した。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

逃走するジモラに多くの敵が襲い掛かります……彼らは敵でしょうか?

実はジモラと言うキャラクターを作った際、彼はヴィランだ、と納得してしまったのです。

そのため、主人公に味方をしてもヴィランとして書いてる感じなんです。

もう、追いかける奴らが正しいのでは?

でも、人のポテトを食べてケチをつける奴は悪ですね。

「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

是非、ブックマーク、高評価をよろしくお願いします。


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