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Game fo tog Lv.3(九話)

 王様の証を手に入れる為に、マットボーイのジモラを捕まえようとしていた。

 あと、少しで捕まえられそうだった。その時、オリパスの方にジモラが走ってくる。


「はっはー! いいね」


 そう言いながら、ジモラも下に落っこちてきた。

 着地と同時に地面に火花が散る。

 オリパスは急いで物陰に身を潜めた。


(敵襲か!)


 辺りを見渡すがどこから撃たれたのか分からない。

 オリパスはジモラが無事か、どうか、彼の方を見る。すると、驚く事に彼は物陰に隠れず、スナイパーに撃たれていた。

 紙一重で弾は足元に当たり、火花を散らす。


「ムフフ、俺の命を狙っているね」


「お前が隠れないからだろ!」


 思わず怒鳴り声を上げてしまう。

 満足したのか、ジモラもようやく、物陰に隠れた。


「どうする、オリパス。武器は持っているか?」


 彼の問いに首を振る。


「悪いが品切れ中だ」


「そうかい」


 ジモラは愉快気に笑う。

 この状況を楽しんでいた。

 彼の態度に呆れてしまう。

 こんな奴置いて逃げてやってもいいんだぞ、と思ったが、ジモラを見捨てて逃げることも出来ない。

 オリパスは、敵が何処にいるか探し始める。


 一瞬、建物の隙間が光った様な気がした。しかし、目を凝らす前に再び銃声が響く。


 近くで火花が散る。

 驚いたオリパスは身を隠す。


 武器を持たない二人は下手に動く事ができなかった。



 

 ジモラを追ってオリパスがいなくなった後、屋上では未だ、キャリーは囚われていた。

 背中に網が覆い被さり、地面に張り付いて動けない。

 引き剥がそうにも、動く隙間が無かった。


「待ってろ! 今助ける」


 網を引っ張りながらルークが叫んだ。しかし、ガッチリと張り付いた網は剥がせない。

 叩き切って助けようと、剣に手を伸ばす。その時、ジト目の女性が声をかける。


「それじゃあうまく切れない」


「ならどうすれば良いんだ!」


 焦るルークに彼女は言う。


「私たちも手伝うわ」


 そう言いながら若者たちはキャリーを囲み、網を掴む。


「せーの!」


 掛け声と共に一斉に剥がした。

 パチパチと外れる音と共にキャリーの頭上から網が離れていく。


「よし、これでもう大丈夫だ」


 ルークは側によりしゃがむ。

 彼女の肩に手をかけた。だが、キャリーからは返事がない。


「?」


 よく見ると黄色い瞳が揺らいでいた。


「……あた……あたしは、どうしてここに居るんだろう?」


 スタックタウンの住人ではないのだから関係ないだろ、と頭の中でぐるぐると回っている。

 先程、ジモラに言われた事を気にしているのだ。 


「あたしはスタックタウンの生まれじゃない。関係ないかもだけど……」


 動けなくなる彼女にルークは優しく背中を叩く。


「誰のために来たんだ?」


「誰の……ために……!」


 キャリーの瞳がハッと開く。

 一瞬で気持ちが晴れた様だ。


「道を開けて!」


 彼女の言葉に全員が道を開ける。


 ピリピリと雷を纏い、引き締めた弓矢が放たれるが如く。

 キャリーは一瞬のうちに走りだす。

 あっという間に消えてしまった。


 埃が舞う中でルークは鼻で笑う。


 先程まで震えていた瞳は、かつて復讐機だったのと違い、前を見ていた。

 迷いを無くせば、きっと、止まらないだろう。


「さてと、結局、俺が最後だな」


 毎度の事、歩く順番が後ろになるルークは立ち上がり、跡を追おう。

 ふと、残される若者たちが気になり声をかけた。


「君たちはどうするんだ?」


 彼らは一瞬、お互いに見合うがすでに答えは決まっている様だった。


「私たちも跡を置います」


「そうか、道案内を頼む」


「ええ」


 ルークと若者たちも揃って跡を追う為、階段を降りて行った



 

 技術の街スタックタウンの生まれじゃない。


 ファイアナド騎士団でもない。


 大好きなメアリー・ホルスはもういない。


 キャリー・ピジュンは今のスタックタウンと関係はなかった。


 それでも、メアリーの願いが頭を過ぎる。


 直接、聞いた訳ではない。

 聞けなかった。


 それでも、彼女の言葉に違いない。


 オリパスはメアリーの事で嘘をつかないのだから。


(あたしは……)


 移り行く積み重ねられた街並みの中、キャリーは自身の決意を見つめる。


「あたしは! 平和を望んだメア姉の為にここにいる!」


 叫ぶキャリーに下の方にいたオリパスとジモラが顔を見せる。


 驚き、慌てていた。


「見つけた!」


 叫んだ時、チラリと視界に黒いものが写る。

 大きなマントに身を包み、長物の銃を持った少女が目の前に立っていた。


 彼女は驚いた様に目を丸くしている。

 瞬間、キャリーは不味いと気づく。


 避けられない!


「わあああ!」


 キャリーは真っ直ぐに少女のお腹にぶつかった。


 勢いよくぶつけられた少女は体制を崩してしまう。

 二人は真っ逆さまに落ちていった。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

この辺を書いてる時に思ったのがルークが思った以上にそばにいる事に

正直、驚いています。

初めはただのモブのつもりだったんですけど……すごい


「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

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