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Game fo tog Lv.3(五話)

 親友たちと別れたジモラは、優雅なステップを踏みながら蒸気と歯車が溢れる街を歩く。


 右も左も誰かが何かを作っている。

 ほとんど背筋が凍る程、素晴らしい武器だ。


 例えば、右に見えるお店では、鎧すらぺしゃんこにしてしまう様なハサミを作っていた。

 また、道の下を見るとまた別の試作品を肉の塊で試そうとしているのが見える。


 刃物に直接爆弾をつけたらしく、肉に当たると同時に床が跳ね上がる。


 ジモラの足元がぐらりと揺れた。


 危うく転びそうになるが、それすら面白い。

 何より愉快なのは、自分らの研究で慌てふためく者達の感情だ。


「ムフフフ」


 笑いを必死に抑えながら、階段を登る。

 上には開けた広場があった。


 滅茶苦茶に積み上げられ、床はでこぼこしている。

 周囲を見渡せば、食器の様に積み上げられていた建物が広がっていた。


 いつか、崩れた時が楽しみで仕方ない。


 視線を目の前に向けると待ちくたびれた顔で若い男女が座っている。

 ジモラは両手を広げ、ゆっくりと近づきながら、詫びを入れた。


「諸君、遅れてすまない。ッチャ話に盛り上がり過ぎて遅れてしまった」


 彼の顔からは一切の悪びれも感じない。

 若い集団の一人である女性が、ジト目で彼を睨んだ。


「本当よ。出鱈目抜かしてウチらを困らせる気かと思ったわ」


「ッチャ、とんでもない!」


 舌を鳴らしながら首を振る。


「俺はこの国を守っていきたいんだ。ッチャ、それに例え俺がいなくても、ここには最高の仲間がいるじゃぁないか」


「それで俺たちを呼んだ理由は?」


 遅刻の言い訳を聞き飽きた青年が尋ねる。

 何が始まるのか読めない彼らの不安の風味が漂い、ジモラは心から嬉しくなる。

 声を張り上げ、高々に何をするのか話し始めた。


「知っての通り、ッチャ俺たちは厳しい戦争を乗り越え、神の国バシレイアから独立したんだ」


 チラリと視線をやると相槌を彼らはしてくれる。

 笑いを抑えながら話を続けた。


「技術の街から国に変わったんだ。ッチャッチャ、俺たちは晴れて自由の身になったのさ。誰もが訳のわからない教えや法律を守らなくて済む! だが、自由を手に入れて終わりじゃない。ッチャ自由には代償がつく。この国は昔以上に混沌を極めているんだ。諸君らも知っているだろ? ッチャッチャ人攫いに、誰が作ったか興味もでねぇつまらない発明の権利争い。見ているだけで悲しくなる……」


 ジモラは目を追おうがその顔には満面の笑みが張り付いていた。


「そんな無闇な争いのせいで……なぁ、あんた。ッチャ、トットさんのハンバーガー店に行ったことあるか?」


 ジト目をいまだに続ける女性と目が合う。

 ジモラは店のことを聞いてみた。

 行ったことのない彼女は首を横に振る。


「ない? ウッソだろ、勿体ないッチャッチャ。ジューシーで歯応え抜群のパテは癖のない角獣で、ここじゃ珍しい新鮮に保った野菜ッチャ。何より外せないのが、丸かじりのピクルスさ! ッチャッチャ、カリッとした食感に目が覚める様な酸味が、脂たっぷりのパテと最高にマッチしている」


 饒舌に語るジモラ。しかし、不意に大事なネジが抜け落ちた様に項垂れてしまう。


 ネジはとうの昔に蹴飛ばしているのだが。


「先日、近くの工房ごと吹っ飛んじまった……ッチャッチャおかげで、店は潰れたよ」


 落ち込む彼だが、すぐに顔を上げて話を続けた。


「俺は思ったさぁ! 誰かが守らないと、この国はすぐに滅んでしまう。そこで君たちに自警団を担ってもらう」


 両手を広げ、目の前の若い男女達を見ながら彼は締め括る。しかし、集められた者たちはいまいちピンと来てない様だった。


「自警団ならすでにいるだろ?」


 男が尋ねる。


 その通り、この街にはすでに自警団がいた。

 彼らは住人を危険から守る為武装し、ファイアナド騎士団と共に戦った事もある。

 街の英雄とも言えるだろう。


 ジモラはペロリと舌を鳴らしてから答えた。


「ッチャあぁ、いるよ。いるけど……あんまり、信用ならないんだ」


「お前以上にか?」


「あぁ、できない。信じられる程、信用できない…………ん?」


 突然、背後から青年の声が聞こえる。


 振り返るといしゅくしてしまいそうな鋭い目をセンター分け間から覗かせる男が立っていた。

 その横には、ちょこんと綺麗な金髪に黄色い瞳の少女が立っている。


 さらに後ろから、暑い日がさす中、兜を被り、鎧を纏った男が登ってきた。

 どこの所属か分からない様に布が巻き付けられている。


 ジモラは一瞬、目を見開いたが、新しい客を歓迎する。


「やぁ、ッチャ我が友、裏切り者のオリパスじゃないか。それにキャリー久しぶりだね。二人とも帰って来ていたのか、ッチャ、すまない、迎えに行けなくて実は……」


 怪しい笑みを浮かべながら、彼の言葉をキャリーが遮った。


「ジモラ、話がある」


 いつになく真剣な少女の眼差しに直感する。

 腹の底から満たしてくれる様な事件が来るのを予感した。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

もしよろしければ、皆様から見た、ジモラの第一印象を聞かせてください。

自分の感性が正常化知りたいんです。

こいつ、やべぇ~なぁっと言うのが僕の第一印象でした。

「キャリー・ピジュンの冒険」を興味を持ったという方は、

是非、ブックマーク、高評価をよろしくお願いします。

面白かった部分など、気に入ったシーンがありましたら、

気軽にコメントをください。


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