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孤立と孤独の少女たち Lv.3 (二話)

 大きな歯車の歯に足を掛けながら上に行くメアリー。

 彼女はスタックタウンの街に戻り、オリパスたちがいる拠点を目指していた。

 大きな建物と巨大な機械、あちこちから噴き出す蒸気。

 彼女は作られる部品が並ぶベルトコンベアーに飛び乗った。

 人の当る道は入り組んでいて歩きづらい為いつもこうしている。

 横を通り過ぎるリフトに捕まり、狭い路地を通って、拠点に戻って来た。

 部屋に入ると茶髪に前髪をセンター分けして眼鏡をかけた、目つきの悪い少年オリパスが二人の客人と話している所に出くわす。


「あ」


「よぉ、大分待たせちまったな」


 メアリーは軽く挨拶をしながら近づく。


「やぁ、久しぶりだね。メアリー、無事に手紙が届いた様だ」


 飄々とこちらに手を振る男がいた。


「シルフィード、それにミラも!」


 彼の隣でチラリとこちらを覗きながらポニテールの女性が手を振る。


「メアリーちゃん、久しぶりだね。こっちでも派手に暴れている?」


 イタズラっぽく彼女は笑う。

 メアリーも笑って返す。

 挨拶を済ませ、シルフィードは姿勢を整えながらお辞儀をした。


「君たちファイアナド騎士団もとい、スタックタウンの独立実現の為、我々、ランサン郵便協会も協力させていただきます」


 彼は深々と頭を下げる。しかし、すぐにチラリとウィンクを見せながら呟く。


「形式だけはちゃんとしないとね。僕たちの中だからもう良いかな?」


「あぁ、あたしもそう言う堅苦しいのとかは嫌いだからな」


 それは良かった、とシルフィードは、笑いながら肩をすくめる。

 ミラも話しやすい様にメアリーと彼の間にずれた。


「ふふ、まぁ、私たちは戦わないけど、食料とか素材に関しては、当分気にしなくて良いよ」


 枯れ果てた土地では、水や食料が安定して手に入るのはとても嬉しい。

 頼もしい仲間が来てくれたとメアリーは笑みが溢れる。

 ふと、先程出会った黄色い少女の事を思い出す。


「そうだ、あたしのとこに来た子なんだけどさ」


 メアリーが言い終わる前に、ミラが尋ねる。


「キャリーちゃんがどうかしたの?」


「キャリーって言うのか、あの子」


 こくりと頷く。

 ミラは少し不安げに尋ね返した。


「もしかして、キャリーちゃんが粗相しちゃった?」


 メアリーは笑いながら首を振る。


「いいや、突然現れたと思ったらすぐに消えちまったからさ」


 幻影か何かかと思っちまった、と言いたげにミラを見る。


「何者なんだ。あの子?」


 メアリーの質問にミラは一瞬、口を開きかける。しかし、話して良い事か、分からず、口を閉じてしまった。


 チラリと隣のシルフィードに判断を仰ぐ。

 目線に気づいたシルフィードは、肩をすくめて答える。


「別にいいんじゃない? 先生には秘密にしろ、て言われてないし」


 ミラも納得した様に頷き、改めて話し始めた。


「キャリーちゃんは、ウチに所属する子で、先生……じゃなかった、私たちの社長、クラフティさんの娘なの」


 彼女の話を聞いて、メアリーは納得する。

 確かにあの金髪はどことなく、その人に似ている様な気がしたのだ。

 ミラは指を揃えながら話を続ける。


「あと、貴方と同じ祝福の力も持っていてね。とっても早かったでしょ」


 気づいた時には、いなかったと言うのはザラだと彼女は言う。

 メアリーも同意して頷いた。


「あぁ、雷みたいで早かった。あたしよりも早いんじゃないか?」


 そうかもね、と誇らしげに微笑むミラ。しかし、次の瞬間、浮かない顔を見せる。


「でも、ちょっと、危なっかしいのよね。頑張りすぎちゃうって言うか、目標に向けて一直線って言うか」


「良くも悪くも真っ直ぐなんだ」


 黙っていたシルフィードが呟く。


「そう、そうなの、昔からそんな感じだったんだけど、最近は……」


 ミラは言葉に詰まり始める。


「どうしたんだ?」


 先が気になったメアリーは尋ねた。

 背中を押されたようにミラは気にしている事を話す。


「無理をしているような気がするの。きっと、亡くなったお爺さんの為なんだと思う……その人のお願いで配達を頑張っているから」


「そうか……」


 メアリーはボソリと呟く。


 どうして、そこまで気になってしまうのか、自分でも分からない。

 ただ、これかも、と一つ言えるものがあった。

 人並み外れた祝福の力をキャリーも持っていることだ。


 もしかしたから、そこに親近感を見出したのかもしれない。

 そう思いながらふと、気になる事を尋ねてみた。


「もう一度、会ってみたんだが、どこにいるか知っているか? この部屋にいない様なんだが」


 メアリーの言葉に二人は咄嗟に辺りを見渡す。


「あっ! 本当だ。気づかなかった。キャリーちゃん! どこにいるの?」


 薄暗い部屋の中で呼びかける。


「無駄だよ、ミラ。もう、どこか遠くに行ってるさ。気が向いて戻ってくるのを待つしかない」


 シルフィードは苦笑いを浮かべ肩をすくめる。

 頭を抱える彼女たちに、少し離れて資料に目を通していたオリパスが気づく。


「お前ら、誰探してるんだ?」


 メアリーは腰の辺りで、手を地面と水平に向ける。


「このぐらいの女の子だよ。先、ここにいただろ? 綺麗な金髪の……」


 オリパスは少し考え込んでからあっ、と言葉を漏らす。


「その子ならさっき、ドラゴンの素材を剥ぎ取りに行くとか言ってたぞ」


「「「ウソ!」」」


 話を聞いた三人は一斉に目を丸くした。


「相変わらず行動が早い……」


「感心している場合!」


 余す事のない貴重な素材を早く集めるのはいい事だとメアリーも思う。しかし、この地方で上質なドラゴンの素材を一人で取りに行くのは、非常に危険なことだ。


 当然、獲物を狙う魔物がいるからだ。


「あたしが見てくるよ」


 メアリーは踵を返し、紅オーラを纏いながら外へ走り出した。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

久しぶりの彼らですね。そうなんです。

元々、ミラとシルフィードがスタックタウンにいたんですよ。

え、でも、物語の序盤ではバシレイアに居たって?

えぇ、移動になって今はそってで働いています。

なので、スタックタウンには別のバードスクールの人たちが働いてたりするんですよ。

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