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孤立と孤独の少女たち Lv.3 (一話)

 枯れ果てた大地の様に、メアリー・ホルスの周囲には誰もいなかった。


 自分の髪と同じ、真紅のドラゴンを切り倒した彼女は、ぼんやりと遠くに見える光の塔を見つめる。


 技術の街スタックタウンを独立する為に、立ち上がった彼女は、日々戦いに明け暮れていた。

 人や魔物、ありとあらゆる相手を確実に一掃していったのだ。

 戦う中で、仲間は次々と集まっていく。しかし、不思議な事にメアリーは彼らから孤立するのを感じていた。


 別に嫌われている訳ではない。むしろ、尊敬や憧れの眼差しを向けられている。

 ただ、彼らは誰一人、メアリーに近づこうとはしてこなかった。


 彼女にはそれが不思議でならない。


 こちらから話しかければ、ちゃんと話てくれる。ただ、またすぐに離れてしまうのだ。


(オリパスは、他の奴に指示を出すので忙しいし……)


 別に戦いには関係ない。

 孤立する理由も分かっていた。


 自身が持つ祝福の力が原因だと。

 メアリーは、生まれ持って、他とは違う力を持っている。

 破壊、崩壊、絶望、殺意、と相手を威圧し、簡単に壊せてしまう力だ。


(あたしから紅く吹き出すこのオーラは、確実に人を可笑しくするのだろう……)


 そんな風に彼女は自身の手を見つめていた。

 孤立する彼女に、孤独の少女が声をかける。


「あなたがメアリー・ホルス……様ですか?」


 一瞬、聞き漏らしそうな小さな声。


 振り返ると綺麗な金髪に、黄色い瞳をした少女がこちらを見上げていた。


 前触れもなく、荒野のど真ん中にちょこんと立っている。

 目の前に倒れるドラゴンに臆する事はなく。ただ、マジマジとメアリーを見つめていた。


「そ、そうだが、あんたは……? どうしてここに?」


 突然、現れた少女に驚きながらも頷く。


 うろたえるメアリーを気にも留めず、少女は鞄から一枚の手紙を取り出す。


「……」


 ドラゴンの上にいたメアリーだったが、差し出された手紙に気づき、降りてくる。

 手紙を受け取り、差し出し人に目をやった。


 "ランサン郵便協会 社長フィリス・クラフティより"


 以前、霧の国で関わった人物だ。


(そういや、オリパスが頼ってみようとか言ってたな)


 連絡や軍資金の確保をそこに頼む為に前々から連絡していたのだ。


「わざわざ、遠い所までありがとな……あれ? いない」


 メアリーは手紙を届けてくれた少女にお礼を言おうとした。しかし、まるで雷が光った様にあっという間に彼女は居なくなる。


「……」


 辺りを探しても、人の影一つ、見えなかった。

 ここにはドラゴンの亡骸と自分の影だけだ。


 これは最速の少女キャリー・ピジュンとメアリー・ホルスの出会いの物語である。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

メアリーは強さゆえの孤独と言うより、尊重されすぎて距離を置かれている感じなんですよ。

そんな彼女の元に突然現れた、少女こそキャリー・ピジュンだったのです。

「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

是非、ブックマーク、高評価をよろしくお願いします。


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