村人の避難 Lv.4
村が襲われた。
酒場を燃やす炎の化身。
村の人たちを襲う不恰好なゴーレムたち。
宿屋の娘ニーナはこの村の壊滅を悟る。
大きな金切り音で、目を覚ました彼女だったが、酒場が燃えていると騒ぎを聞き、寝巻き姿で、外に出てきてしまった。
今、彼女の目の前には、赤く輝く魔石の目をしたゴーレムがゆっくりと手を伸ばしている。
ニーナは恐怖で動けずにいた。その時、ゴーレムの上にベージュのコートにミルクティー色の髪を束ねた、お姉さんが飛び乗った。
「何ボサっとしているの!」
彼女はニーナを睨みつけ叱る。そして、手にしていた釘の様なクナイで、ゴーレムの赤い魔石を砕いた。
大事な芯を抜かれたのか、形を保てなくなり、ゴーレムは土になっていく。
「お姉さん……」
ぼんやりとするニーナの手をレサトは取る。
「逃げるわよ」
険しい表情で、引っ張る。
ニーナは釣られて走るしかなかった。
辺りを見渡すと鎧を着た数人のバシレイアの兵士たちが村の人たちを庇いながら戦っている。
酒場の前では、炎を撒き散らす化身と戦う青年と老人が見えた。
「テト、この子も乗せられる?」
周囲を見渡していたニーナだが、レサトの声に向きを戻す。
そこには集められた村人が馬車に乗り込んでいた。
「無茶だぜ。レサトさん、流石にそろそろ定員オーバーだ」
馬車の上には足腰の弱いお爺ちゃん、お婆ちゃん、自分よりもよっぽど小さい子供が数人乗っていた。
レサトはどうしたものかと悩んでいる。
ニーナは慌てて口を開いた。
「私、歩けます。大丈夫ですよ」
「……」
レサトは一瞬、呆気に取らて口を開くがすぐに微笑んでくれた。
「えぇ、そうね。大変だけどこのまま歩いてくれるかしら」
「はい!」
ニーナはうんと頷いた。
「おい! 早く出してくれ頼む」
馬車に乗っていた一人がテトを急かす。
他にも不安を感じていた村人たちも騒ぎ出した。
「お前ら、俺と大差ない歳だろ。カンロクってのはないのか?」
困り顔を浮かべながらテトは、馬車を走らせる。
「レサトさん、あんたには悪いがしんがりを頼むぜ」
「えぇ、そのつもりよ」
レサトは足を止めて向きを変えた。
まだ戦っているバシレイアの兵士たちをこっちに集める為、彼らの加勢に向かったのだ。
その様子をニーナはジッと見つめる。
テトの村人たちに対するツッコミが苦笑してしまいます。
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