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八重する企みと囚人たち Lv.4(三十九話)

 看守長室に呼ばれたダイン。

 アシュメは重々しい雰囲気で外を見ていた。


「此度の件、リードちゃんは脱獄に加担した罪がある。それにアンちゃんも恐らくは濡れ衣でしょうけど麻薬所持の罪がある。二人とも刑期が伸びる事になるわ」


 話を聞きダインの拳に力が入る。


「まぁ、厄災の方で多少はマシになると思うけどね……」


 アシュメは目を瞑り、深くため息を吐いた。

 堅苦しい話は面倒でたまらない。

 彼女は別の話をし始める。


「ねぇ、ダインくん。十年って長いと思う?」


 ダインは少し考え込んでから答える。


「はい」


「そうよね、十年あれば、種は木に変わる。子供はもう立派な大人と同じぐらいだわ。じゃあ二十年は? 三十年は? きっと、今とは別世界になっているに違いないわ」


 アシュメはゆっくりと歩き始める。

 少し落ち着かないのだ。


「ねぇ、ダインくん。あなたは後、どのくらいでアンちゃんを自由にしてあげられるの?」


 彼女の問いにダインは口を開けられずにいた。


「今回の件、刑期を足すことだけならすぐに出せる。ざっと二十年よ。二十年、子供が大人に、若者がおじさん、おばさんと呼ばれ始める年月よ。ダインくんは二十年後、シワが増えたアンちゃんに人生を生きさせ気?」


 ダインは首を強く振る。


「ふふ、そうよね♡ そうじゃなきゃ」


 彼女は急いで机に向かう。

 引き出しから書類を取り出ていた。


「彼女の契機と引き換えに貴方には極めて危険な依頼を専属で行ってもらうわ。覚悟は良いわよね♡」


 不敵に微笑む彼女はダインに悪魔の契約書を見せる。

 苦難だが短く、早く恋人を自由に出来る道を教えるのだった。


 この提案にダインは迷うだろうか?

 もちろん、迷わない。

 ダインは、アシュメが差し出す契約書を受け取るのだった。

あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。

どうも、あやかしの濫です。

一昨日、今日と大分短い話を投稿してしまいましたね。

少し物足りないかもしれませんが、明日まで待っててくれませんか?

次回は海沿いの豊かな国でのお話です。楽しみに待っててください。

「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、

是非、ブックマーク、高評価をよろしくお願いします。


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