射影機とドラゴンと雨宿り Lv.3(二話)
「うわぁぁぁ!」
落ちる様に叫びながら、飛び起きたキャリーは、小さな部屋の窓際のベットに座っていた。
「……」
キャリーは息を上げて、ゼェハァと肩で呼吸をする。
日はすでに高くどこかで鳥が鳴いていた。
窓からはバシレイアの観光地、バシレイア教会の光の塔が見える。
キャリーは一瞬、何が起きたのか分からずにいたが、すぐに夢だという事に気がついた。
「夢……か……」
それと同時に昨日の事を思い出した。夕暮れに沢山の人たち、処刑台に上がるメアリーのすがた、助けようと動こうとした。その時、自分に向けられたあの恐ろしい殺意の籠った視線。
思い出しただけでキャリーは吐き気にみまわれて一人、ベットの上で口を押さる。
震えて丸くなった。
「行かなきゃ……」
しばらく震えていたキャリーは、思い出したかの様にベットから立ち上がり、着替え始めた。
彼女は何もせずにはいられない。
前回、受け取った配達証明書を届けようとまだ、痛む体を無理やり動す。
あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。
どうも、あやかしの濫です。
今回も、夢から始めました。これが、なんだかんだ始めやすいんですよ。多分気のせいだけど……
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