Lastly key you Lv.5(一話)
パチパチと薪が割れる音が聞こえ、キャリーは目を覚ます。
頭は起きているはずなのに、体はまだ寝ていて思い通り動かない。辺りは暗く、ただ目の前の焚き火が赤く揺らいでいた。
「よぉ、起きたか?」
優しく話しかける声が頭をくすぐる。でも、嫌な気持ちはしない。
キャリーは顔を上げて頷く。
そこには紅い髪と同じ色の瞳をした女性が優しい顔でキャリーを見ていた。
彼女の名前はメアリー・ホルス。
キャリーの大切な仲間だ。
「まだ、眠そうじゃないか」
見えない所から男の声が聞こえる。
メアリーは顔を上げて声の主と話す。
「この子が起きたって言うなら起きたんだよ」
「紅蓮の竜巻と恐れられている団長に聞かれたら、みんな嫌でもイエスって言うさ」
「なにおぉ〜じゃあ何かい? オリパス、あたしはあんたや他の仲間を無理やり戦地に駆り立てているって言いたいのか?」
眉をひそめながら言うが、その顔は楽しそうに笑っていた。すると、別の方から声が聞こえる。
「そんなわけないじゃないですか。俺たちは自分の意思でメアリーの姐さんについててるんですよ。そうだろう?」
話を振られたオリパスは少し溜めてから頷く。
「その通りだ。俺はお前に誘われ……」
言いかけた言葉を飲み込む。
「自分の意思で、このファイアナド騎士団に入ったんだ!」
そう、オリパスが言い終わった直後、よく言った!
暗闇の中から仲間たちがゲラゲラと笑い集まってくる。メアリーも笑った。
釣られてキャリーもへなへなと笑う。ふと、気になってキャリーはメアリーに尋ねる。
「メア姉はこの戦争が終わったら何したい?」
「あたしか?」
彼女は少し困った顔をする。
談笑がやみ、視線が一斉にメアリーに集まった。
誰しもが一度は思うこの先の事、団長は何を考えているのか、皆興味を抱く。
団員全員とキャリーの視線の中で、彼女はしばらく考えてから答える。
「あたしは今までの事で手一杯だったからな、考えてこなかったよ。ただ……ただ、命のやり取りに明け暮れず、夜襲も気にせずに、お前らとまたこうして飲みたいものだ」
その瞬間、騎士団のみんなは一斉に盛り上がった。
キャリーはそんな小さい夢じゃなくてもっと壮大で、大きな夢を語ってくれると期待していた。そのため少し物足りなく感じる。
ファイアナド騎士団のみんなは勝手に盛り上がり、夢を語り始めた。
家族に会いたい。静かに暮らし、花を愛でたい、本を書く、伝説の宝を見つける。大小さまざまな夢だが、誰も貶すものは居なかった。
「キャリーお前はどうしたい?」
メアリーに名前を呼ばれて、キャリーは待っていましたと言わんばかりに目を輝かせる。
「あたしはメア姉と一緒にいたい!」
そう答えた瞬間、大きな白い鳥がどこからともなく舞い降りる。
焚き火を巻き上げ、キャリーの黄色い瞳を覗き込む。
世界は捩れるように歪み白く輝き、キャリーの目を覆っていく。
あやしいものじゃないよ、あやかしだよ。
どうも、あやかしの濫です。
一年たってちょっと手直しがしたいと思ったので「Lastly key you Lv.5」を
書き直しました。それでも、至らぬ点があると思いますがよろしくお願いします。
「キャリー・ピジュンの冒険」を面白い、興味を持ったという方は、
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PS次の日までには前の物と差し替える予定です。