とある文豪のお孫さん
いつも有り難うございます
よろしくお願いします
とある文豪のお孫さんと、少しだけ関わった事がある。
そこは私が7年くらいお世話になっている場所だった。
ある朝そこに行くと、仲良しさんが「コロンさん、新人君紹介するね」と言って、若い男の人を連れてきた。
「〇〇さんです。彼はなんと、あの有名な「〜〜」を書いた文豪のお孫さんなんですよー」
と言う。
「えっ?」
聞いた事ある
でも…うんん!なんだっけ…あうー。
とりあえずびっくりしとこ。
「えーっ!凄いですねー!(お爺さんが)」
ちょっと思い出せなかったのを誤魔化すように、大袈裟に凄いと言う私。
お孫は満更でもない顔をして「いやー…」照れていた。
凄いのはお爺さんだけど…
私はそう思ったが、言わない。場が読めるからね。
ネットで見る事が出来るお爺さん情報を見てみる。
お爺さんの面影は全くない。お婆さんもたくさんいて、誰がお婆さんかわからない。
お孫はすらっと背が高く、優し気な顔で頼りなげ。
甘いマスクと言えば甘い…ふにゃふにゃしている感じだった。
それでも、資格が必要なこの場所を選んで来ているのだから頑張って欲しい。
「よろしくお願いします」
お互いニコニコと挨拶をした。
それからは、会えば声を掛けたり、挨拶したりしていた。
ある日、仲良しさんと話すお孫の後ろ姿を見かけた私はそばに行く。
私が後ろにいる事を知らないお孫が言う
「あのファンキーな人、今日はいないですね」
「ファンキーな人?」
「コロンさんですよ」
ちょっと小馬鹿にしたような口調だった。
仲良しさんが、私に向かって「おはよう!」と言うと、お孫が振り返る。
驚くお孫。
私は片手をヨッっと挙げながら「そんなにファンキー?」と聞いてみた。
自分の失言に気づいたのだろう。
お孫は真っ赤になった顔半分を腕で隠して、逃げるようにその場を去ってしまった。
ポツンと残された私は、仲良しさんに聞く。
「…そんなにファンキーかな…」
仲良しさんは「ぜーんぜんっ!」と笑った。
お孫よ…
いくら私が外部から来ている人だとしても、7年関わっていて、それなりに人間関係は出来ているのだよ。
きみ、まだ半年経ってないよね?
調子に乗ってそんな事言っちゃダメよ…。
その日私は「お孫に「ファンキーな人」と言われたよ〜。私のどこがファンキー?」と、周りの人と笑い話のネタにしてた。
そしてお孫に会えば「私のどこが…」と、聞こうとするが、お孫に逃げられてしまった。
その後、しばらくそこに行かない日々が続いていた。
そしてまた行くようになった時、そういえばお孫を見かけないな…と思ったので、仲良しさんに聞く。
「お孫見ないけどどうしたの?」
「辞めた」
「えっ?そうなんだ…」
仲良しさんはお孫の事をちょっと怒っている様子だった。
確か4月から入ってきたわけじゃない中途採用だった。
数ヶ月で辞めてしまうなんて。
あまり中途採用も聞かないけど、数ヶ月で辞めた人も聞かない。
仲良しさんから流れる気配は「どうでもいい」って感じだったので、それ以上は聞かなかった。
彼との会話は「ファンキー」が最後だった。
とてつもないお爺さんを持つお孫。
(凄いのはお爺さんだけど)
ファンキーの真意を聞きたかった。
《ファンキー》
英語で「怯えた」ないし「悪臭を放つ」などを意味する単語「funky」の音写で、日本語ではもっぱら音楽ジャンルとして「ファンク」の形容詞という意味合いで用いられる。 人に対して用いられる場合は、個性的・独創的といった意味で使われることが多い。
(Wikipediaより)
えっ…
「悪臭を放つ」だったら…
泣いてもいいですか?
追記。
有名人の家族って大変だなと思いました。
彼を紹介されたのは「文豪のお孫さん」でしたし、私も「文豪のお孫さん」と紹介しましたし。
でも、彼はそれが嫌じゃなさそうでした。
言わなければ「文豪の孫」とわからないのを、わざわざ言っていたのだから。
どう思うかは、人それぞれですね。
拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございました。




