ヴァーミリオン・ヴァージン・ヴァレイ
ヴァーミリオン?
聞いたことがない名だ。別のv7か……!?
「なにやってんのよ! 正気!?」
「この戦いで使うべきでしょう。それがヴァーミリオンの望みでもある」
セノの驚きようからしても尋常ではないことがわかるし、事実、羽田隊長も血相を変えていた。
「おいアンタ! ヴァーミリオンって確か……」
「棘抜紗々璃に倒されたv7ですわ。そしてこれは回収した種」
言うや、ヴァージン・ヴァレイは、それを丸呑みにした。
「あら、美味し」
「!?」
セノまで含めた一同に衝撃が走る。
「オホホ……ホホホホ……」
ヴァージン・ヴァレイは、含み笑いを繰り返す。
「オーッホッホッホッホッホッ!!」
そして堰を切ったように笑い出した。
瞬間、不可視の圧力が放たれた。
体が持って行かれそうになる。糸の束が大きく震える。森が鳴動する。
ヴァージン・ヴァレイの体が、変化している。
縦ロールの髪は左右で緑と黄色に変わり、両胸のメロンの間に赤々と熟したマンゴーが現れ、賽の目切りにされたマンゴーの黄色い果実が、戦国武将の甲冑のように体のあちこちを覆っている。
おそらくはマンゴーのv7の力を吸収したのだ。
「天上の果実……名付けて、ヴァーミリオン・ヴァージン・ヴァレイ、といったところでしょうか」
「vが3つ!? ずるい!!」
「オホホ、ごめん遊ばせ」
存在するだけで強烈な圧力が周囲に広がっていく。
v値にして30以上、いや40近いであろう怪物が誕生した。
「これで貴方たちの敗北は決定しましたわ」
「ウチはそうは思わへんなあ!! 「奥の手を出すほど追い詰められた」ってことやろ!」
本気でそう思っているはずがない。
だけど、絶望を広げないように、そう言い切って羽田隊長が向かって行く。
「愚かですわ」
vvvが手をかざしただけで、羽田隊長が吹っ飛んだ。