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羽田ときじく

 下から出てきたのは、ズダボロの羽田ときじく隊長だった。

 頭から血を流し、それが流れ込む左目も開かない様子だ。もともと金髪の毛先を赤に染めているのに、血に塗れてどこからどこまで染めた部分かわからないほどだ。

 だが、それでも闘志が溢れているのがわかる。

「なんや! v7と学生が戦っとんのか! 何、気ィ失っとんのやウチは!! あーーーーーーーーっ!!」

 なんと、頭から血を流しているのに、v器のトンファーに頭をぶつけまくる。

「しゃーないわ! こっから活躍したる!! 見とれよ学生たち!!」

 言うや否や、両手のトンファーを地面に叩きつける羽田隊長。

 すると地面が持ち上がり、それに乗ってヴァージン・ヴァレイに突っ込んで行く。

「マジ!?」

「そんなこと、できるんですか!?」

 梃子たちが驚くのも無理はない。

 エフェクトは実体には影響を及ぼせないのだ。夜崩の飛行はアイツが桁外れのイメージ力を持っているからであって本当に例外のはずだ。

「学生ら覚えとき! ここまでv域化が進行したらな、エフェクトで大地も操れるようになるんや!!」

 半物質半イメージの状態の大地を、自らのエフェクトとして扱う発想――この自由さは実力者の証か。

「授業気分とは舐められたものですわ。いいです、貴方が食らいなさいな!!」

 振り下ろされるイン・デス・メロン。

 巨大なエネルギー果汁の塊が、羽田隊長に突っ込んで行く。

「なめたらアカンでえーー!! ウチは羽田ときじく!! v値は15!! 日本で二番目にv値の高いオンナや!!」

 巨大メロンのエネルギー塊に、大地のエフェクトに乗った羽田隊長が突っ込んで行く。

「トンファぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 そのままメロンの塊に飛び込んだ!

 嘘だろ!?

「お馬鹿さん!!」

 次の瞬間、メロンの塊はオレンジの果汁をまき散らし、大爆発を起こした。

 直撃していない俺も立っているのが精いっぱいなほどの衝撃波と熱が体に押し寄せる。

 本部テントを丸ごと吹き飛ばしたようなものに自分から突っ込んだ羽田隊長がどうなるか、想像もしたくない。

 しかし、爆炎を突き破って、岩の塊が飛び出した。

 その岩を内側からトンファーの衝撃が打ち砕き、更にそこから羽田隊長が踊り出した。

「キックうううううーーーーーーーーーーーーッ!!」

「なん――!?」

 自らの背中を岩のエフェクトで突き飛ばして加速したキックが、ヴァージン・ヴァレイのどてっぱらに突き刺さった。

「うげあっ!?」

 そのまま、強大なv7は吹っ飛んでジャングルの枝という枝を折りながら突っ込んで行った。

「どや! 見たか!!」

 額から流れて来る血をぺろりと舐め、羽田隊長が胸を張った。

「手当てしないと!」

 ふわりちゃんが血相を変えてそちらに走って行く。

 一方、梃子はノックを乱射することで、セノの攻撃の隙を封じていた。

「ちょっとお! だいじょうぶなの!?」

 ペンキボールをかわしながら、セノが叫ぶ。

 それに呼応するように、森が左右に裂けてヴァージン・ヴァレイが飛び出した。

「当然ですわ!!」

 直立姿勢で両手を軽く広げた程度の、物理法則を無視したジャンプは、v7が人間とは違う存在だということを思い出させる。

「やってくれましたわね……!」

 怒りに顔を歪め、ヴァージン・ヴァレイが胸元に手を突っ込む。

 そして、取り出したのは、牡蠣殻のような、楕円でしわしわの白いなにか。

「なんやそれ」

 羽田隊長は、ふわりちゃんの携帯していた包帯で額と左目は覆われているが、右目の眼光鋭く、その謎の品から目を切らない。

「ちょっ、あんたそれって!」

「ヴァーミリオン・ヴェルヴェットの遺した実よ」

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