表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/74

殺界臨

 カッと光ったかと思うと、大爆発が巻き起こった。

「夜崩!!」

「ニヒヒヒヒッ! ひっかかった!!」

 くそっ! やはり罠か!

「てめえええっ!!」

「うろたえるな!!」

 爆風を風が切り裂き、夜崩が飛び出した。

 ふわりちゃんが爆発寸前に割り込み、なぎなたのエフェクトで爆風を吹き散らしていたのだ。

 だが、ノーダメージとは言えない。ふわりちゃんは膝をつくが、しかし体から煙を吹きながら、それでも夜崩は止まらなかった。

「ばーか! ざーこ!」

 セノが二丁拳銃を乱射する。瞬間、ワニやシカなど巨大なぬいぐるみと化した弾丸が、その弾丸の速度を以って夜崩に襲い掛かる。

 だが、俺も指をくわえているわけじゃない。

 ぬいぐるみに糸のイメージを繋げ、射かけ続ける。

 やはり殺気の類を感知しているのか、ぬいぐるみが避けることはなく、矢が突き立つ。

 その瞬間、爆発が起こ――らない。

 くっ、任意で爆破できるのか!

「構わん! 勢いが落ちるだけ助かる! 続けよ!!」

 背を向けたままで夜崩が叫ぶ。

 戦闘の天才としか言えない幼なじみは、全く速度を落とさず、ぬいぐるみの弾幕をかわしていく。

「ざこのくせに!!」

 ムキになってぬいぐるみを連射するセノ。

 あるいは本当に精神年齢が低いのではないか。かわす際の至近距離で爆破されるほうがよほど脅威のはずだが、そこを攻める冷静さはないらしい。

 加えて、俺の攻撃を読めるがゆえに、俺が狙うだけでかわす動作に入る。

 つまり、簡単に隙を作れるのだ。

「己がはらわたの色を見るチャンスをやろう!!」

 とてつもなく物騒なセリフと共に、夜崩の大鎌が一閃。セノを袈裟斬りにした。

「いたああああいっ!!」

 しかしどんな頑丈さか、切り裂かれることはなく、しかし火炎のエフェクトがその身を苛んだ。

「いじめたああ!! こいつがいじめたああ!!」

 泣き出したセノに、夜崩は持ち替えた鉄球を振り下ろす。

「泣けばより虐めたくなるのが暴君というものだ!!」

 ふわりちゃんが聞いたら怒り出しそうだが、先ほどの爆風のダメージか、膝をついたままだ。

 鉄球を十字に交差させた二丁拳銃で受け止めたセノの、目が真っ赤に輝く。

 セノがぺろりと出した舌の上には、新緑の飴玉が乗っていた。

「もういいもん!! つかっちゃうもんね!! 【殺界臨(サッカリン)】!!」

 ガリッと飴玉を嚙み砕く音が響く。

 瞬間、世界が変わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ