ヴァイオレンス・セノ
空の影は、両手にリボルバーを持っているように見える。
それが銃弾を連発しているのだ。
なんてインチキ。
銃弾は視認できる速度でないがゆえに、銃はv器に出来ない。
俺の矢も物理的威力だけでダメージを与えているわけじゃない。
自身の放ったものの着弾を視認することで、ダメージを認識することが必要なのだ。
しかし、人間の神経伝達速度より速く飛ぶ弾丸を意識するのは物理的に不可能。
そのため、銃弾にはエフェクトをまとわせることも出来ず、また銃弾でダメージを与えることも出来ないのだ。
それを、アイツはギリギリ視認できる程度に速度を落とし、撃ちまくって来る。
野球のストレート並みの速度は、かわせなくはないが連発されたらどうにもならない。
明らかに、弓を持つ俺を優先的に狙っている!
「くそっ!!」
そこに割り込んだのは梃子だった。
「ホォォォォムラン!!」
腰の入ったスイングが、飛来した銃弾をはじき返す。
釘バットで真っすぐ飛ばせるはずがない。
そんな俺の貧弱な想像力を、彼女のイメージは簡単に飛び越していく。
「ほぎゃーーーーっ!?」
「ファビュラス!!」
強烈なホームラン……というよりピッチャー返しが上空の敵に直撃した。
その決定的瞬間を、ピースサインまでして自撮りする梃子よ……。
一方、まるで電線にとまったら感電した鳥かのように落ちて来るv人。
「ニャハハハ!! 着地狩りだ!!」
容赦も躊躇もない暴君が、鉄球を振り回して落下地点に突っ込んで行く。
「ナメ、ないでよっ!!」
着地というのは人間の常識。もともと飛んでいたアイツは、地面までそれを待つまでもなかったのだ。
空中で体勢を立て直し、リボルバーを乱射する。
「させません!」
ふわりちゃんのなぎなたが竜巻めいた大風を起こし、弾丸を巻き上げて吹き散らした。
その結果を待たず、既に夜崩は突っ込んでいる。
「頭が高いぞ! 降りて来い!!」
鉄球をv人の足に引っかけ、引きずり落とす。
「なによ、もーーーーーっ!!」
落とされたv人は駄々っ子のように叫び、その声の圧は、それだけで俺たちを吹っ飛ばした。鉄球の鎖すら、あっさり外れているほどだ。
「くっ」
俺たちを同心円状になぎ倒したそいつは、ゆっくり降りて来る。
見た目は、俺が言うのもなんだが、幼女にしか見えない。
苺の帽子に、苺のかぼちゃパンツ――矛盾して聞こえるがそうとしか言えない。おそらく正式名称はあると思うのだが、俺のおしゃれの語彙ではわからない――に、小悪魔のような翼と尻尾。赤い靴下をなぜか片方だけ履いている。
そんな苺幼女が、腰に手を当てて笑い出した。
「ニーヒッヒッヒッ。はいつくばりゅがいいわ」
「貴様、v7か」
「そうよ。セノこそv7! 最強のヴァイオレンス・セノ!!」




