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緑と青

 そのため、見た瞬間に――

「あ、エロ本の」

 と言ってしまい、

「言うなし!!」

「ごふぁっ」

 鬼の形相で地獄突きされた。

 そう、仕切り直しになったクラスにいたのは、以前本屋でモメていた、緑と青のツインテールのギャルだった。

「あれ喋ったらコロス」

 こわい。でもこれは全面的に俺が悪いので平謝りしておく。

 ぷんすこした彼女が去っていくのと入れ替わりに、獣のような動きで夜崩が駆けてきた。

「おい、命人。今のが泥棒猫か」

「なんだそりゃ。名前も知らん」

「本当ですかぁ?」

「うわぁ!?」

 夜崩にしか意識が向いていなかったので、背後にふわりちゃんがいるのに全く気付いておらず、口から心臓が飛び出るほど驚いた。

「脅かさないでくれ」

「驚くということは後ろ暗いことがあるのでは?」

「そうじゃそうじゃ」

 どういう2対1?

 いつもならここで九介がアクロバティックな理屈で絡んでくるものだが、生態系は崩れてしまった。収拾がつかない。

 幸い、ホームルームが始まったのでうやむやになった。

 いや、うやむやも何も、最初から何も知らないのだが。

 教壇に立つ担任は、引き続き吹田透先生である。

 メガネのフレームが新調されていた。何しろクラス替えが起こっても絶対に一番前の席なので、そういうのもわかる。

 ちなみに、v獣を視認するのにメガネを噛ませて問題ない。

 視覚を通して脳内のチャンネルが合うかどうかなので、メガネの有無は関係ないのだ。見やすさ自体は全然変わってくるが。

 ただし、全く見えない場合は、音でチャンネルを合わせることが出来るという研究報告がある。

 一方、匂いでの報告はなく、そもそもVRなどの現代のヴァーチャル空間に嗅覚の要素がないためだろう。

 ところで、そんな先生のメガネの奥が、潤んで見える。

 どういうことだろう……?

 胸がざわつく。

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